残滓と呼ばれたウィザード、絶望の底で大覚醒! 僕を虐げてくれたみんなのおかげだよ(ニヤリ)

SHO

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三章

トラブルの後で

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 第二区画にある冒険者支部でのトラブルは、良くも悪くも僕達の顔と名前を盛大に宣伝してしまった。ゴールドランクで二つ名持ちのアナークを赤子の手を捻るように無力化し、ギルドマスターであるドレクスラーですら黙らせた。
 しかしそれ以上に、僕達が売却した魔物の素材の量が話題になっているようで。
 カウンターで買い取り依頼をした時に、かなりの量があるからこの場では出せない事を受付嬢さんに告げると、別フロアにある倉庫で出すように言われたんだ。そしてデライラが持つマジックバッグから出すフリをして影収納から素材をポンポン出したんだけど……

「ちょ、ちょっとお待ちください! これ以上は今日中に査定が終わりません!」

 焦ったを通り越して、半泣きになった受付嬢さんがそう叫んだ。
 ロクな荷物も持っていない僕達が出す素材なんてどうという事はないだろう。そう高を括っていたのが見え見えだったので、僕は遠慮なしに影収納の中にある素材を取り出していったんだけど。

「それに大金を手に入れたところで、あなた方はこの王都で――ひっ!?」
「は?」

 不機嫌そうな顔で何かを言いかけた受付嬢さんに殺気を浴びせる。

「どうせブンドルに睨まれている僕達に、モノを売ってくれる店なんかないって事ですか? それとも僕からの買い取りはしないよう、ブンドルから圧力でも掛かっているのかな?」
「い、いえ……」

 そんな僕の追及に、受付嬢さんはしどろもどろになる。

「生憎、第一区画の各ギルド本部で話をつけてありましてね。問題なく買い物は出来ますので。それに、ほらこれ」

 ニッコリと笑いながら、商業ギルド本部のカートライトさんから受け取った戦利品、全品二割引のカードを見せた。

「そ、それは! 全市民憧れのビップカード!」
「まあ、そういう事なんで、査定お願いしますね。お金は明日受け取りにきます」

 僕のそんな言葉に、受付嬢さんはがっくりと肩を落とし『はい』とだけ短く答えた。影収納の中身はまだまだたくさんあるけど、今日はこれくらいで勘弁してあげよう。今日のところはね。

▼△▼

 そして僕達はその後も王都内を散策しながら買い物をしたり、装備を整えたり、美味しいものを食べたりする毎日を送っていた。
 時にはギルドの依頼で王都の外に出る事もある。主に魔物討伐だけど、ダンジョンでもないところに出る野生の魔物なんて僕達にとっては大した脅威にはならない。いいお小遣い稼ぎだね。その度に大量の魔物の素材をギルドに持っていくものだから、あの受付嬢さんは僕等の姿を見るだけで涙目になるようになった。

 そして僕はと言えば、ノワール、アーテルを相手に模擬戦を繰り返していた。短双戟に魔法を織り交ぜたトリッキーな戦法がメインだけど、シルフのおかげで風の大魔法を使えるようにもなったため、その制御の特訓もしている。
 今日はその特訓を、王都郊外の平原で行っているんだ。

「ぐあっ!?」

 ノワールを相手に接近戦を繰り広げながら、アーテルに牽制の風魔法を放ったその瞬間、背中に激痛が走る。ルークスが放った光魔法、ライトカノンだ。光の魔力を撃ち出すだけの初歩的な魔法だけど、撃ち出したのが光の大精霊ともなればその威力は半端じゃない。

「ご主人様、後ろにも目を付けるのです!」

 ノワールが心配そうな顔をしながらも随分と無茶な要求をする。精霊の君なら可能なんだろうけど、僕って一応人間だからね?
 とは言っても、プラチナランク昇格試験の内容が分からない上、グランドマスターのユーイングさんからは万全を期すように言われているので、『対多数の凄腕との戦闘』という模擬戦のシチュエーションを望んだのは僕だ。もっとも、今のルークスの攻撃はまったくの不意打ちで、まさにこれ以上ない実戦的な訓練になっている。

「善処する」

 僕はそう言って立ち上がり、短双戟を構えた。どうせ相手は大精霊と神獣だ。僕がいくら本気を出したって敵いっこない。それなら全力でいくだけだ。



 その翌日、僕は疲労と打撲などでボロボロの身体を宿で癒していた。デライラとルークス、グランツはギルドの依頼を受けに出かけているので、今ここにいるのは僕とノワール、アーテルの三人。そんなタイミングで、一人の女性が訪ねて来た。

「こんにちは。お休みのところを申し訳ありません」

 そう言ってペコリと頭を下げる女性は見覚えがある。

「ギルド本部の……」

 そう、冒険者ギルド本部で僕達の応対をしてくれた受付のお姉さんだった。

「はい。早速で申し訳ありませんが、本部までご一緒願えませんか?」

 あらら、本部からの呼び出しか。アナークやドレクスラーの事かな? それとも昇格試験の事かな。心当たりがいっぱいあるぞ。
 とにかく、僕は急いで支度をした。
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