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三章
レベッカ、デライラ、それぞれの決心
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取り敢えずの情報交換は終わったけど、僕達にとって新しい情報は無かった。ユーイングさんには真新しい話だったけどね。
「そして、四大精霊王が唆された件ですが、風以外の三属性は、未だ洗脳されたままだと考えます」
「何という……」
これは女王陛下も初めて聞く事だったらしい。
「僕とノワール、そしてアーテル、更にデライラ達の力を借りて、どうにかシルフを無力化した後、シルフの洗脳状態が解けました」
精霊王すら操ってしまう強大な存在の影に、女王陛下もユーイングさんも、黙って考え込んでしまった。これは僕とデライラ以外の人には、あまり重要な事ではないと思われてしまうかも知れないね。
何しろ、精霊王が洗脳されていようがいまいが、日常は不自由なく回っている。目に見える不都合もない。僕が冒険者になる以前だってそうだった。
「お前さんは、他の精霊王とも戦うつもりか?」
ユーイングさん、難しい顔で聞いてくる。これも難しい話だなぁ。接点が無ければ僕からどうのこうのするつもりはないんだけど……
「いずれそうなるであろうな」
僕の頭の上に浮いている、シルフがそう切り出した。
「この私は、洗脳されている間の記憶がある。そこの闇と光の属性の者達には、並々ならぬ敵意を持ってしまうのだ。幸い、洗脳を解かれた今はそんな事はないがな」
「つまり、解放されたオスト公爵家以外の三公は、ショーンを敵視するようにされていると?」
「そういう事だ」
シルフが凄く嫌な事を言い、陛下がわざわざ分かりやすいように確認を取り、さらにシルフが止めを刺すかのように認めてしまった。
それでも、ノワール達を封印するように仕向けた元凶は、僕の敵には間違いない。それには強大な力を持つ精霊王達を解放し、正気に戻すのが一番なのかも知れないね。
「僕を味方に引き込むと、どうやら他の公爵家を敵に回す事になるみたいですね。それが世の為になるとお考えですか?」
僕は陛下に問いかける。陛下が僕を取り込もうという意思を見せなければ、あくまでも僕個人と公爵家、そして精霊王との戦いだ。でもそこで陛下が僕の味方になるなんて事態になれば、国を二分する内乱になる可能性もある。
「……そもそも、光と闇の二属性が無くなると、何が不都合なんだ?」
そう、それだ。ない事が当たり前になっている今の世の中を生きる人は、今のユーイングさんのような考えに至ってしまうんだろうね。
「闇とは人の悪の心を司る者。光とは人の善なる心を司る者」
ユーイングさんの問いには陛下が答えた。
「闇は人に眠りを与え、心に平穏をもたらす。光は人に活力を与え、希望をもたらす。そのように伝わっています」
「つまりですね、二つの属性がないと、人の心が荒んでしまうんです。だから人は奪い、争い、殺し合う。魔物とは、そんな荒んだ人の心が生み出したんです」
陛下の言葉を僕が補足する。四大属性の魔法を攻撃に使うようになったのだって、そんな人の心が原因なんだ。光と闇の大精霊と、かつて創造神ルーベラ様の傍らにいた神獣が目の前におり、それらが従う僕の言葉は説得力があるらしい。
「なんてこった。こりゃあ迂闊な事は出来ませんね、陛下」
「ええ……」
僕を引き込む事が思った以上に大問題である事を悟ったのか、陛下もユーイングさんも困り顔だね。まあ、僕自身は陛下に味方になって欲しい訳じゃないし、プラチナランクにも昇格出来たから、ここで王都へさよならするのも全然構わない。
あ、そう言えば。
「グリペン侯爵が武力を増強しているのはご存知ですか?」
「え、ええ。ダンジョンを攻略して、元の鉱山として生かすのは、良質な武具を生産する為だと」
「そうですね。僕は侯爵が何と戦うつもりでそうしているのかは知りません。ですが、グリペン侯爵、そしてオスト公爵と連携を密にするのはいかがでしょうか?」
僕はそう提案をする。明らかに僕の味方の大貴族が二人いる。彼等と陛下が連携すれば、少なくとも陛下が僕の敵になる事はないだろう。
「そうですね。二人を呼んで、話してみましょう」
取り敢えずの悪の根源であるブンドルは潰した。そして彼に与する要人たちも、陛下の本気は分かったはずだ。何より今の陛下にはルークスの加護がある。もうただの小娘じゃない。僕の役目はこれで終わりなはずだ。
あとは冒険者ギルドだけど……
僕はユーイングさんにチラリと視線を送る。
「冒険者ギルドとしちゃあ、依頼を出してもらってあとは冒険者に任せるってスタンスだなぁ」
まあ、冒険者ってのは自由な職業だからね。何かしら志がある人もいるだろうけど、軍隊に入らないあたりが、何事も自分達で判断して決めるっていうポリシーみたいなものを持っている。
「まあ、俺個人は陛下が悪に染まらない限りは陛下に付きますがね」
「僕は僕の敵にならないのならそれでいいです」
「まあ、そうなった時は仕方ねえ。冒険者稼業のさだめってヤツだ。はっはっは!」
僕とユーイングさんのやり取りを聞いていた陛下が、真面目な顔で言う。
「これは、お二人に愛想を尽かされぬよう、心して動かねばなりませんね」
「ねえショーン」
ん?
デライラ、どうしたんだろう? 陛下より更に神妙な顔つきだ。
「あたし、このまま王都に残るわ。今の陛下には力が足りない。あたしが支えようと思うの」
「デライラ様がそう仰るのであれば、私も勿論」
「ふぉっふぉっふぉ。儂もこの娘っ子にもふもふしてもらおうかの」
へえ、意外。デライラ達光属性のチームは王都に残って陛下の為に働くそうだ。でも、それがいいかも知れないね。陛下にはまだまだ敵は多いだろうし、ルークスとグランツが付いていれば安心だ。
「ありがとうございます!」
陛下が深々と頭を下げる。
「あ、えーと、陛下? 彼女の一応冒険者なんで、ギルドに適当な指名依頼を出しといてもらえますかね?」
「あ、そうですね! そうします!」
陛下の屈託のない笑顔。日々こういう笑顔で過ごせる事が、彼女の望みなんだろうか。
「そして、四大精霊王が唆された件ですが、風以外の三属性は、未だ洗脳されたままだと考えます」
「何という……」
これは女王陛下も初めて聞く事だったらしい。
「僕とノワール、そしてアーテル、更にデライラ達の力を借りて、どうにかシルフを無力化した後、シルフの洗脳状態が解けました」
精霊王すら操ってしまう強大な存在の影に、女王陛下もユーイングさんも、黙って考え込んでしまった。これは僕とデライラ以外の人には、あまり重要な事ではないと思われてしまうかも知れないね。
何しろ、精霊王が洗脳されていようがいまいが、日常は不自由なく回っている。目に見える不都合もない。僕が冒険者になる以前だってそうだった。
「お前さんは、他の精霊王とも戦うつもりか?」
ユーイングさん、難しい顔で聞いてくる。これも難しい話だなぁ。接点が無ければ僕からどうのこうのするつもりはないんだけど……
「いずれそうなるであろうな」
僕の頭の上に浮いている、シルフがそう切り出した。
「この私は、洗脳されている間の記憶がある。そこの闇と光の属性の者達には、並々ならぬ敵意を持ってしまうのだ。幸い、洗脳を解かれた今はそんな事はないがな」
「つまり、解放されたオスト公爵家以外の三公は、ショーンを敵視するようにされていると?」
「そういう事だ」
シルフが凄く嫌な事を言い、陛下がわざわざ分かりやすいように確認を取り、さらにシルフが止めを刺すかのように認めてしまった。
それでも、ノワール達を封印するように仕向けた元凶は、僕の敵には間違いない。それには強大な力を持つ精霊王達を解放し、正気に戻すのが一番なのかも知れないね。
「僕を味方に引き込むと、どうやら他の公爵家を敵に回す事になるみたいですね。それが世の為になるとお考えですか?」
僕は陛下に問いかける。陛下が僕を取り込もうという意思を見せなければ、あくまでも僕個人と公爵家、そして精霊王との戦いだ。でもそこで陛下が僕の味方になるなんて事態になれば、国を二分する内乱になる可能性もある。
「……そもそも、光と闇の二属性が無くなると、何が不都合なんだ?」
そう、それだ。ない事が当たり前になっている今の世の中を生きる人は、今のユーイングさんのような考えに至ってしまうんだろうね。
「闇とは人の悪の心を司る者。光とは人の善なる心を司る者」
ユーイングさんの問いには陛下が答えた。
「闇は人に眠りを与え、心に平穏をもたらす。光は人に活力を与え、希望をもたらす。そのように伝わっています」
「つまりですね、二つの属性がないと、人の心が荒んでしまうんです。だから人は奪い、争い、殺し合う。魔物とは、そんな荒んだ人の心が生み出したんです」
陛下の言葉を僕が補足する。四大属性の魔法を攻撃に使うようになったのだって、そんな人の心が原因なんだ。光と闇の大精霊と、かつて創造神ルーベラ様の傍らにいた神獣が目の前におり、それらが従う僕の言葉は説得力があるらしい。
「なんてこった。こりゃあ迂闊な事は出来ませんね、陛下」
「ええ……」
僕を引き込む事が思った以上に大問題である事を悟ったのか、陛下もユーイングさんも困り顔だね。まあ、僕自身は陛下に味方になって欲しい訳じゃないし、プラチナランクにも昇格出来たから、ここで王都へさよならするのも全然構わない。
あ、そう言えば。
「グリペン侯爵が武力を増強しているのはご存知ですか?」
「え、ええ。ダンジョンを攻略して、元の鉱山として生かすのは、良質な武具を生産する為だと」
「そうですね。僕は侯爵が何と戦うつもりでそうしているのかは知りません。ですが、グリペン侯爵、そしてオスト公爵と連携を密にするのはいかがでしょうか?」
僕はそう提案をする。明らかに僕の味方の大貴族が二人いる。彼等と陛下が連携すれば、少なくとも陛下が僕の敵になる事はないだろう。
「そうですね。二人を呼んで、話してみましょう」
取り敢えずの悪の根源であるブンドルは潰した。そして彼に与する要人たちも、陛下の本気は分かったはずだ。何より今の陛下にはルークスの加護がある。もうただの小娘じゃない。僕の役目はこれで終わりなはずだ。
あとは冒険者ギルドだけど……
僕はユーイングさんにチラリと視線を送る。
「冒険者ギルドとしちゃあ、依頼を出してもらってあとは冒険者に任せるってスタンスだなぁ」
まあ、冒険者ってのは自由な職業だからね。何かしら志がある人もいるだろうけど、軍隊に入らないあたりが、何事も自分達で判断して決めるっていうポリシーみたいなものを持っている。
「まあ、俺個人は陛下が悪に染まらない限りは陛下に付きますがね」
「僕は僕の敵にならないのならそれでいいです」
「まあ、そうなった時は仕方ねえ。冒険者稼業のさだめってヤツだ。はっはっは!」
僕とユーイングさんのやり取りを聞いていた陛下が、真面目な顔で言う。
「これは、お二人に愛想を尽かされぬよう、心して動かねばなりませんね」
「ねえショーン」
ん?
デライラ、どうしたんだろう? 陛下より更に神妙な顔つきだ。
「あたし、このまま王都に残るわ。今の陛下には力が足りない。あたしが支えようと思うの」
「デライラ様がそう仰るのであれば、私も勿論」
「ふぉっふぉっふぉ。儂もこの娘っ子にもふもふしてもらおうかの」
へえ、意外。デライラ達光属性のチームは王都に残って陛下の為に働くそうだ。でも、それがいいかも知れないね。陛下にはまだまだ敵は多いだろうし、ルークスとグランツが付いていれば安心だ。
「ありがとうございます!」
陛下が深々と頭を下げる。
「あ、えーと、陛下? 彼女の一応冒険者なんで、ギルドに適当な指名依頼を出しといてもらえますかね?」
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陛下の屈託のない笑顔。日々こういう笑顔で過ごせる事が、彼女の望みなんだろうか。
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