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四章
これってユニーク?
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魔導士っていうのは魔法使いの上位ジョブの一つなんだけど、それに何か余計な一言が付いちゃった。確かに闇属性魔法に特化した僕なら納得のジョブではあるんだけど……
「闇の魔導士ですか……何やら不吉な名称ですね。これは司祭様に、いえ、教主様か女王陛下に!」
ヤバいヤバいヤバい! なんかこのシスター、僕を危険人物扱いし始めた!
こでがもし変な方向に転がると、僕は教会全体から敵認定されて迫害される未来が待っている?
「見たか、ショーン。これが闇に対する人の恐れ。未知なるものへの潜在的な恐怖だ」
後ろからユーイングさんがそっと告げる。
そうか。ドラケン領で褐色の巫女が迫害されていたのも、こういう事なのかも知れない。
「あー、取り敢えず落ち着いてくれ、シスター。俺は冒険者ギルドのグランドマスター、ユーイングだ」
「あ、はっ!? はい!」
ちょっと取り乱しているシスターも、ユーイングさんのお陰で少し落ち着きを取り戻したみたいだ。ふう、助かった。
「コイツは見た目はこんなんだが、プラチナランクの冒険者でな」
見た目がこんなんって……
(ご主人様が優しそうだという事ですよ)
そっとノワールがフォローを入れてくれる。ありがとうね。ちょっと涙が出たよ。
そんな僕に構わず、ユーイングさんはシスターに語り掛けている。
「知っての通り、プラチナランカーになるには王族の認可が必要だ。つまり、コイツの事は女王陛下も先刻ご承知って事だな。上に報告しても徒労に終わるだけだ」
「はい……」
「もちろん、陛下もコイツの力を知っての事だから、このジョブの話を聞いても、『ああ、それはピッタリですね』くらいの軽い反応だと思うぞ?」
「ええ……」
そ、そうかな? 少しは驚いて欲しいんだけど!?
僕だって自分の事なのに驚いたんだよ?
「それに、こいつはこれから陛下の元へ行く用もあるんでな。自分の口から報告させるさ。ただ……」
「……ただ?」
一旦言葉を切ったユーイングさんに、シスターが息を飲む。
「このジョブの事は他言無用にしてくれ。もちろん、教会上層部にもだ」
「そ、それはなぜでしょうか?」
「それはあんたの反応だ」
うん。本質も見る事をせず、そして僕という人間を知りもせず、そのジョブを授かったというだけの事で僕を悪しきものとして嫌悪した感じはあった。
「分かるだろ? 今の話が広がると、コイツが何もしてねえのに色眼鏡で見られちまう。それは教会としても望むところじゃねえだろ」
無実の人間を偏見だけで陥れる。それを平気で出来るのもまた人間だ。残滓と呼ばれた僕はそれを身に染みている。でもユーイングさんはそれから僕を守ろうとしてくれている。流石はグランドマスターだね。
「分かりました。この事は私の胸に留め置くとします」
「ああ、頼む。今後同じような事があったら、まず俺に一報を入れてくれ。立場上把握しておく必要があるんでな」
「ええ。分かりました。すべてはいらぬ混乱を避けるためなのですね」
「そういうこった」
やっぱり影響力のある人の言葉は違うなあ、などと考えながらそのやり取りを見ていると、シスターが僕に向き直って頭を下げた。
「先程は申し訳ありませんでした」
「あ、いえいえ。あのこれ、お布施です」
なんだかペコペコされるのも居心地が悪いので、シスターに金貨を二枚渡して教会を後にした。相場? 銀貨二枚くらいかな? まあ、口止め料さ。
「しっかし、闇の魔導士ねえ……確かに、怪しさ満載のジョブだな」
大きなお世話ですよユーイングさん。
「しかし、中々威圧感があっていいではないか。主にはちと迫力が足りん。ちょうど良かったのではないか?」
僕は別に他人を怖がらせたい訳じゃないんですよアーテルさん。
「大丈夫ですご主人様! 闇とご主人様の事を悪し様に言う輩は、私がぴちゅんとして参ります!」
張り切ってふんず! とかやってるけど、そういうのいいからね? ノワールさん。
まあね、ユーイングさんはともかく、アーテルもノワールも僕をフォローしようとしてくれてるんだろうから……
「ところで、そういうユーイングさんのジョブはなんなんです?」
物腰や一見隙だらけに見えても全く隙がない佇まい、時折発する威圧感や超が付くほど素早い反応。この人がとんでもない強さなのは分かる。でも実際はどういう戦い方をするのか、全く分からないんだよね。
「うん? 俺か? 俺は魔弾士だ。魔法使いや魔女の上位ジョブ……ユニークジョブだな」
「ユニークジョブ、ですか?」
「ああ、ユニークジョブってのはな……」
てくてくと歩きながら、ユーイングさんの説明に耳を傾ける。
通常のジョブから上位ジョブに『進級』出来る人もかなりレアなんだけど、実績を上げたり特殊な出自の人はユニークジョブってやつを授かるらしい。例えば王族。これは『キング』とか『プリンス』とか『クイーン』とか、そういうジョブ。これは他の人がいくら頑張ってもなれるものじゃない。
ユーイングさんの魔弾士はどうか。彼の場合は、簡単に言えば魔法による狙撃を突き詰めていった結果、そのユニークジョブを授かったらしい。
かなり遠距離から高威力の魔法弾を叩き込むっていうから恐ろしい。しかも彼が認識した敵に対しては百発百中とか。接近する事すら難しいってチートだよね。
「んで俺は、ホークアイっていう二つ名もある。並の人間よりもかなり目がいいんだよ」
なるほど。
「すごく嫌なジョブですね」
「んだとコラ! お前のだって相当イヤじゃねえか! 影からひょっこり出てこられたんじゃ、俺のジョブが役に立たねえだろ」
でもユーイングさんはその弱点にもしっかり対応できていた。さすがプラチナランカー、さすがグランドマスターだよね。
結果、やっぱり本人の努力と才能、女神から授かった運命……そんな条件が揃わないと、中々得られるものじゃないって事らしい。
「闇の魔導士ですか……何やら不吉な名称ですね。これは司祭様に、いえ、教主様か女王陛下に!」
ヤバいヤバいヤバい! なんかこのシスター、僕を危険人物扱いし始めた!
こでがもし変な方向に転がると、僕は教会全体から敵認定されて迫害される未来が待っている?
「見たか、ショーン。これが闇に対する人の恐れ。未知なるものへの潜在的な恐怖だ」
後ろからユーイングさんがそっと告げる。
そうか。ドラケン領で褐色の巫女が迫害されていたのも、こういう事なのかも知れない。
「あー、取り敢えず落ち着いてくれ、シスター。俺は冒険者ギルドのグランドマスター、ユーイングだ」
「あ、はっ!? はい!」
ちょっと取り乱しているシスターも、ユーイングさんのお陰で少し落ち着きを取り戻したみたいだ。ふう、助かった。
「コイツは見た目はこんなんだが、プラチナランクの冒険者でな」
見た目がこんなんって……
(ご主人様が優しそうだという事ですよ)
そっとノワールがフォローを入れてくれる。ありがとうね。ちょっと涙が出たよ。
そんな僕に構わず、ユーイングさんはシスターに語り掛けている。
「知っての通り、プラチナランカーになるには王族の認可が必要だ。つまり、コイツの事は女王陛下も先刻ご承知って事だな。上に報告しても徒労に終わるだけだ」
「はい……」
「もちろん、陛下もコイツの力を知っての事だから、このジョブの話を聞いても、『ああ、それはピッタリですね』くらいの軽い反応だと思うぞ?」
「ええ……」
そ、そうかな? 少しは驚いて欲しいんだけど!?
僕だって自分の事なのに驚いたんだよ?
「それに、こいつはこれから陛下の元へ行く用もあるんでな。自分の口から報告させるさ。ただ……」
「……ただ?」
一旦言葉を切ったユーイングさんに、シスターが息を飲む。
「このジョブの事は他言無用にしてくれ。もちろん、教会上層部にもだ」
「そ、それはなぜでしょうか?」
「それはあんたの反応だ」
うん。本質も見る事をせず、そして僕という人間を知りもせず、そのジョブを授かったというだけの事で僕を悪しきものとして嫌悪した感じはあった。
「分かるだろ? 今の話が広がると、コイツが何もしてねえのに色眼鏡で見られちまう。それは教会としても望むところじゃねえだろ」
無実の人間を偏見だけで陥れる。それを平気で出来るのもまた人間だ。残滓と呼ばれた僕はそれを身に染みている。でもユーイングさんはそれから僕を守ろうとしてくれている。流石はグランドマスターだね。
「分かりました。この事は私の胸に留め置くとします」
「ああ、頼む。今後同じような事があったら、まず俺に一報を入れてくれ。立場上把握しておく必要があるんでな」
「ええ。分かりました。すべてはいらぬ混乱を避けるためなのですね」
「そういうこった」
やっぱり影響力のある人の言葉は違うなあ、などと考えながらそのやり取りを見ていると、シスターが僕に向き直って頭を下げた。
「先程は申し訳ありませんでした」
「あ、いえいえ。あのこれ、お布施です」
なんだかペコペコされるのも居心地が悪いので、シスターに金貨を二枚渡して教会を後にした。相場? 銀貨二枚くらいかな? まあ、口止め料さ。
「しっかし、闇の魔導士ねえ……確かに、怪しさ満載のジョブだな」
大きなお世話ですよユーイングさん。
「しかし、中々威圧感があっていいではないか。主にはちと迫力が足りん。ちょうど良かったのではないか?」
僕は別に他人を怖がらせたい訳じゃないんですよアーテルさん。
「大丈夫ですご主人様! 闇とご主人様の事を悪し様に言う輩は、私がぴちゅんとして参ります!」
張り切ってふんず! とかやってるけど、そういうのいいからね? ノワールさん。
まあね、ユーイングさんはともかく、アーテルもノワールも僕をフォローしようとしてくれてるんだろうから……
「ところで、そういうユーイングさんのジョブはなんなんです?」
物腰や一見隙だらけに見えても全く隙がない佇まい、時折発する威圧感や超が付くほど素早い反応。この人がとんでもない強さなのは分かる。でも実際はどういう戦い方をするのか、全く分からないんだよね。
「うん? 俺か? 俺は魔弾士だ。魔法使いや魔女の上位ジョブ……ユニークジョブだな」
「ユニークジョブ、ですか?」
「ああ、ユニークジョブってのはな……」
てくてくと歩きながら、ユーイングさんの説明に耳を傾ける。
通常のジョブから上位ジョブに『進級』出来る人もかなりレアなんだけど、実績を上げたり特殊な出自の人はユニークジョブってやつを授かるらしい。例えば王族。これは『キング』とか『プリンス』とか『クイーン』とか、そういうジョブ。これは他の人がいくら頑張ってもなれるものじゃない。
ユーイングさんの魔弾士はどうか。彼の場合は、簡単に言えば魔法による狙撃を突き詰めていった結果、そのユニークジョブを授かったらしい。
かなり遠距離から高威力の魔法弾を叩き込むっていうから恐ろしい。しかも彼が認識した敵に対しては百発百中とか。接近する事すら難しいってチートだよね。
「んで俺は、ホークアイっていう二つ名もある。並の人間よりもかなり目がいいんだよ」
なるほど。
「すごく嫌なジョブですね」
「んだとコラ! お前のだって相当イヤじゃねえか! 影からひょっこり出てこられたんじゃ、俺のジョブが役に立たねえだろ」
でもユーイングさんはその弱点にもしっかり対応できていた。さすがプラチナランカー、さすがグランドマスターだよね。
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