残滓と呼ばれたウィザード、絶望の底で大覚醒! 僕を虐げてくれたみんなのおかげだよ(ニヤリ)

SHO

文字の大きさ
156 / 206
四章

これってユニーク?

しおりを挟む
 魔導士っていうのは魔法使いの上位ジョブの一つなんだけど、それに何か余計な一言が付いちゃった。確かに闇属性魔法に特化した僕なら納得のジョブではあるんだけど……

闇の魔導士ダーク・アデプトですか……何やら不吉な名称ですね。これは司祭様に、いえ、教主様か女王陛下に!」

 ヤバいヤバいヤバい! なんかこのシスター、僕を危険人物扱いし始めた!
 こでがもし変な方向に転がると、僕は教会全体から敵認定されて迫害される未来が待っている?

「見たか、ショーン。これが闇に対する人の恐れ。未知なるものへの潜在的な恐怖だ」

 後ろからユーイングさんがそっと告げる。
 そうか。ドラケン領で褐色の巫女が迫害されていたのも、こういう事なのかも知れない。

「あー、取り敢えず落ち着いてくれ、シスター。俺は冒険者ギルドのグランドマスター、ユーイングだ」
「あ、はっ!? はい!」

 ちょっと取り乱しているシスターも、ユーイングさんのお陰で少し落ち着きを取り戻したみたいだ。ふう、助かった。

「コイツは見た目はこんなんだが、プラチナランクの冒険者でな」

 見た目がこんなんって……

(ご主人様が優しそうだという事ですよ)

 そっとノワールがフォローを入れてくれる。ありがとうね。ちょっと涙が出たよ。
 そんな僕に構わず、ユーイングさんはシスターに語り掛けている。

「知っての通り、プラチナランカーになるには王族の認可が必要だ。つまり、コイツの事は女王陛下も先刻ご承知って事だな。上に報告しても徒労に終わるだけだ」
「はい……」
「もちろん、陛下もコイツの力を知っての事だから、このジョブの話を聞いても、『ああ、それはピッタリですね』くらいの軽い反応だと思うぞ?」
「ええ……」

 そ、そうかな? 少しは驚いて欲しいんだけど!?
 僕だって自分の事なのに驚いたんだよ?

「それに、こいつはこれから陛下の元へ行く用もあるんでな。自分の口から報告させるさ。ただ……」
「……ただ?」

 一旦言葉を切ったユーイングさんに、シスターが息を飲む。

「このジョブの事は他言無用にしてくれ。もちろん、教会上層部にもだ」
「そ、それはなぜでしょうか?」
「それはあんたの反応だ」

 うん。本質も見る事をせず、そして僕という人間を知りもせず、そのジョブを授かったというだけの事で僕を悪しきものとして嫌悪した感じはあった。

「分かるだろ? 今の話が広がると、コイツが何もしてねえのに色眼鏡で見られちまう。それは教会としても望むところじゃねえだろ」

 無実の人間を偏見だけで陥れる。それを平気で出来るのもまた人間だ。残滓と呼ばれた僕はそれを身に染みている。でもユーイングさんはそれから僕を守ろうとしてくれている。流石はグランドマスターだね。

「分かりました。この事は私の胸に留め置くとします」
「ああ、頼む。今後同じような事があったら、まず俺に一報を入れてくれ。立場上把握しておく必要があるんでな」
「ええ。分かりました。すべてはいらぬ混乱を避けるためなのですね」
「そういうこった」

 やっぱり影響力のある人の言葉は違うなあ、などと考えながらそのやり取りを見ていると、シスターが僕に向き直って頭を下げた。

「先程は申し訳ありませんでした」
「あ、いえいえ。あのこれ、お布施です」

 なんだかペコペコされるのも居心地が悪いので、シスターに金貨を二枚渡して教会を後にした。相場? 銀貨二枚くらいかな? まあ、口止め料さ。




「しっかし、闇の魔導士ねえ……確かに、怪しさ満載のジョブだな」

 大きなお世話ですよユーイングさん。

「しかし、中々威圧感があっていいではないか。主にはちと迫力が足りん。ちょうど良かったのではないか?」

 僕は別に他人を怖がらせたい訳じゃないんですよアーテルさん。

「大丈夫ですご主人様! 闇とご主人様の事を悪し様に言う輩は、私がぴちゅんとして参ります!」

 張り切ってふんず! とかやってるけど、そういうのいいからね? ノワールさん。
 まあね、ユーイングさんはともかく、アーテルもノワールも僕をフォローしようとしてくれてるんだろうから……

「ところで、そういうユーイングさんのジョブはなんなんです?」

 物腰や一見隙だらけに見えても全く隙がない佇まい、時折発する威圧感や超が付くほど素早い反応。この人がとんでもない強さなのは分かる。でも実際はどういう戦い方をするのか、全く分からないんだよね。

「うん? 俺か? 俺は魔弾士ガンナーだ。魔法使いウィザード魔女ウィッチの上位ジョブ……ユニークジョブだな」
「ユニークジョブ、ですか?」
「ああ、ユニークジョブってのはな……」

 てくてくと歩きながら、ユーイングさんの説明に耳を傾ける。
 通常のジョブから上位ジョブに『進級』出来る人もかなりレアなんだけど、実績を上げたり特殊な出自の人はユニークジョブってやつを授かるらしい。例えば王族。これは『キング』とか『プリンス』とか『クイーン』とか、そういうジョブ。これは他の人がいくら頑張ってもなれるものじゃない。
 ユーイングさんの魔弾士ガンナーはどうか。彼の場合は、簡単に言えば魔法による狙撃を突き詰めていった結果、そのユニークジョブを授かったらしい。
 かなり遠距離から高威力の魔法弾を叩き込むっていうから恐ろしい。しかも彼が認識した敵に対しては百発百中とか。接近する事すら難しいってチートだよね。

「んで俺は、ホークアイっていう二つ名もある。並の人間よりもかなり目がいいんだよ」

 なるほど。

「すごく嫌なジョブですね」
「んだとコラ! お前のだって相当イヤじゃねえか! 影からひょっこり出てこられたんじゃ、俺のジョブが役に立たねえだろ」

 でもユーイングさんはそのにもしっかり対応できていた。さすがプラチナランカー、さすがグランドマスターだよね。
 結果、やっぱり本人の努力と才能、女神から授かった運命……そんな条件が揃わないと、中々得られるものじゃないって事らしい。
しおりを挟む
感想 283

あなたにおすすめの小説

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

辻ヒーラー、謎のもふもふを拾う。社畜俺、ダンジョンから出てきたソレに懐かれたので配信をはじめます。

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
 ブラック企業で働く社畜の辻風ハヤテは、ある日超人気ダンジョン配信者のひかるんがイレギュラーモンスターに襲われているところに遭遇する。  ひかるんに辻ヒールをして助けたハヤテは、偶然にもひかるんの配信に顔が映り込んでしまう。  ひかるんを助けた英雄であるハヤテは、辻ヒールのおじさんとして有名になってしまう。  ダンジョンから帰宅したハヤテは、後ろから謎のもふもふがついてきていることに気づく。  なんと、謎のもふもふの正体はダンジョンから出てきたモンスターだった。  もふもふは怪我をしていて、ハヤテに助けを求めてきた。  もふもふの怪我を治すと、懐いてきたので飼うことに。  モンスターをペットにしている動画を配信するハヤテ。  なんとペット動画に自分の顔が映り込んでしまう。  顔バレしたことで、世間に辻ヒールのおじさんだとバレてしまい……。  辻ヒールのおじさんがペット動画を出しているということで、またたくまに動画はバズっていくのだった。 他のサイトにも掲載 なろう日間1位 カクヨムブクマ7000  

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

処理中です...