残滓と呼ばれたウィザード、絶望の底で大覚醒! 僕を虐げてくれたみんなのおかげだよ(ニヤリ)

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四章

女王陛下におねだり

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 左手のガントレットが攻撃されたものを影の中に収納し、右手のガントレットがそれをそのまま敵に返す。敵にしてみれば攻撃がそのまま返って来るので、ブーメランとは言い得て妙だよね。
 魔法騎士さんは重装騎士さんに付き添われて立ち去っていったけど、去り際に見せた怯えたような目が印象的だった。
 そして女王陛下も。

「以前もそうでしたが、今も殺されるかと思いました……」

 おかげでちょっと出ちゃったじゃないですかとか何とか言ってるけど、聞こえない聞こえない。

「あー、でもあれは騎士さんが酷いと思いません?」
「ええ、それはまあ……」
「って事でデライラ! 君の教育が悪い」
「なんでよ!?」

 いきなり飛び火したデライラが、びっくりしている。いや、君は見た目もいいし実力もあるんだから、もうちょっとみんなの印象がよくなるようにさあ……

「大体王城にいる騎士なんて、殆どがプライドのバケモノばっかりなのよ? 村娘が成り上がったあたしにどうしろって言うのかしら!?」

 ああ、うん、そうだね……

「ごめん、遠慮なくやっちゃって下さい」
「分かればいいのよ」

 女だてらに冒険者になろうって子だ。気の強さも並じゃないもんね。恐らく実力行使に出た事もあるんだろう。王城の騎士団がどれだけ実戦を熟しているかは分からないけど、ダンジョンの最下層まで行って生還してきたデライラ程の修羅場を潜っているかどうか。もしかしたら気迫で既に負けているなんて事もあり得るよね。
 まあ、デライラに関しては騎士団レベルでどうこう出来ないだろうし、あんまり気にしない事にする。それよりこの『ブーメラン』だ。ちょっと欲しいけど、流石に王家の宝物だし――

「人の王よ。このガントレットはご主人様に頂けるのですよね?」

 ちょ、ノワール!?
何をナチュラルにおねだりしてんの!?

「え、いえ、えっとぉ……」
「どうせ使える者がいないのなら、ただのガラクタと一緒ではないですか」
「え、ええ……」

 困っている陛下と苦笑いのデライラ達。

「でも実際のところ、ショーンにはこれからも戦ってもらわなきゃいけないんだし、眠らせておくよりはいいんじゃない?」

 仕方なくだろうな、デライラが陛下を説得してくれる。しかし陛下とそんなにフレンドリーに話すの君だけだぞデライラ。

「くっ、仕方ありませんね。ショーン、それはあなたが使って下さい……」

 ゴリ押しに負けた陛下が、全てを諦めたような表情で決心して下さった。いや、これは本当に使えるアイテムなので嬉しい。

「有難き幸せ! 必ずや役に立てて見せます!」

 きちんと片膝を地面につき、胸に手を当てて頭を下げて感謝の言葉を述べる。しかし陛下は相変わらず冴えない表情のままだ。

「私の為、とは言わないのですね……まあいいでしょう。あなたの働きに期待します」

 ああ、そういう事か。僕は陛下に忠誠を誓っている訳じゃない。それどころか、グリペン侯爵にもオスト公爵にだって仕えている訳でもない。友誼は結んだし関係も悪くはないけど、状況が変われば敵にもなり得るのが権力者だ。僕達一般人はそれに振り回されるだけだもの。

「陛下が味方である限りは、と付け足させていただきますね」
「いいでしょう」

 ここでようやく、陛下から笑みが零れた。



 さて、オスト公に会ったしユーイングさんにも会った。陛下にジョブの報告もしたしデライラも元気そうだった。後は……そうだな、防具職人のケビンさんの所に寄ってみよう。
 陛下とデライラ、ルークス、グランツに別れを告げ、王城を出た僕達はそのまま第二区画へと向かう。
 ケビンさんの住居兼工房はブンドルに焼かれてしまったけど、その代わり職人ギルドのグランドマスターが以前住んでいた物件を譲って貰ったんだよね。家財道具もブンドルの財産から押収したものを揃えたので、暮らしに不自由はしていないはずだ。
 そうして僕等はケビンさんの新たな工房を訪ねてみた。

「生意気言ってねえで、装備に見合う腕になってから来やがれヒヨッコがぁっ!」
「ちっくしょ、覚えてろよジジィ!」

 工房の中で響き渡る頑固親父の怒声と、叩き出されて捨て台詞を吐いて走り去って行く若い冒険者の男。それを見た僕等は、お互い顔を見合わせて吹き出してしまう。

「どうやら心配なさそうだね」
「ええ、殺しても死にそうにありませんね」
「あの火事の中を生き残った御仁だ。そうそう簡単には老いぼれないだろうな」

 僕の言葉に、苦笑しながらノワールとアーテルが答える。不思議そうにしてたのはヨシュア君だけだけど、旅の途中で聞かせてあげよう。
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