残滓と呼ばれたウィザード、絶望の底で大覚醒! 僕を虐げてくれたみんなのおかげだよ(ニヤリ)

SHO

文字の大きさ
165 / 206
四章

闇属性の可能性

しおりを挟む
 王都の第一区画から第三区画までは、それぞれ城壁で仕切られ、入出門をしっかり管理する強固な扉と検問がある。そこには当たり前の光景として入出門の手続きを待つ人々の行列が出来ており、そこに並ぶのもちょっとね。いや、僕はプラチナランカーの肩書を使えば行列に並ぶ事なく別口から出入り出来るし、ヨシュア君に至っては貴族専用の通用口がある。
 でも行列を無視してそっちに行くと、並んでる人達の視線が痛いんだよね。だから、影泳ぎで王都の外まで脱出だ。
 人気の少ない路地に向かい、周囲を確認して影の中に沈み込む。ヨシュア君も流石に慣れてきたみたいで、表情にも少し余裕がある。

 王都の外に出るまでの土地勘はあるので、僕達は影の中を移動しながらノワールに色々と疑問に思っている事を聞いた。
 まずは女王陛下から拝領したガントレット、『ブーメラン』に関する事。
 これは敵の攻撃、魔法でも物理でも、飛んで来たものを影の中に吸い込み、そのまま射出する能力を持っている。この事から、闇属性魔法の影収納の力を応用したらしい事が分かる。
 それで思ったのが、影収納の中では発動済みの魔法をそのまま保管できるのか、って事だ。その事をノワールに聞いてみると……

「それは試した事がありませんでした。そもそも魔法は外の世界で発動させてそのまま使用するものですし……でも、そのガントレットの能力では、魔法はそのままの状態で影収納の中を通過していった事になりますよね」

 今まで考えた事が無かったけど、影収納の中に魔法を出来ないだろうか?
 物質の状態保存が出来る空間だけに、可能性は高いと思っている。そして魔法をストックする事が出来れば、闇属性魔法の可能性はとんでもなく広がるはずだ。

「くっくっく……流石は我が主人だ」
「ショーン君……君、かなりえげつない事を考えているんじゃないか?」

 僕の考えが伝わっているアーテルはさも可笑しそうに笑い、何となく察したヨシュア君はちょっと青褪めている。

「いや、高威力の大魔法とかをストックしておいたら、魔力を練り上げるタイムロスなしでいきなり発動できて便利だし、例えば炎弾や水弾なんかの小威力の魔法を百でも千でもストックしておいて、飽和攻撃も出来るとか――」
「流石ご主人様ですっ! 今まで闇属性魔法をそんな風に使おうとする者はいませんでした!」

 僕の言葉を途中で遮り、ノワールが腕に抱き着いてきた。それはもうキラッキラの笑顔で。
 ノワールを良く知らない人は、あまり表情を変えずにしゃべり方もテンションが低く、可愛らしいけど暗い子だと思っている人が多い。でもそれは彼女が他に人間に興味がないだけで、事僕に関してはこの通りだ。良く笑い、よく話し、表情豊かなんだ。

「旅の途中は色々試しながら行こうと思うんだ」
「それがいいですね!」
「うむ。我にも出来る事があれば協力するぞ?」
「ああ、二人共ありがとう」

 僕はプラチナランカーになったからと言って、強くなる事を止める訳には行かない。これから戦う相手は精霊王。そしてその精霊王すら洗脳してしまう得体の知れない存在だからね。
 旅の途中では出来るだけ魔力を消費し、体内に含有する魔力総量を上げていかなくちゃ。魔力だって体力や筋力と同じように、鍛えれば強く多くなっていくんだから。
 そしてもうひとつ、確認したい事がある。
 影泳ぎの間は外と時間の流れが違うのは薄々分かっている。数日掛かる道程を数時間で移動してしまうのだから。その反面、物質の状態保存。これは時間が止まっているんじゃないのかな?
 生ものが腐らない。氷が溶けない。熱いものが冷めない。こういった事から考えられるのは時間の停止だ。

「影泳ぎについては、時間というよりも空間を操作していると言った方がいいでしょう。マジックバッグに使われている空間拡張の魔法の逆ですね。目的地までの空間を収縮させて早く到着させているのです」

 ノワールの説明によれば、時間はあんまり関係ないのか。それであれば体感時間に個人差があるのは単に習熟度合によるものなのかな?

「僕が思ったのは、影収納の中で時間が止まっているのなら、その時間を修行に当てたらかなり有効だろうって事なんだ」
「なるほど……」

 時間が止まっている中で自分達が動く事が出来れば。影の中での一日での訓練が十年分にも百年分にもなる可能性があるじゃないか。
 その事をノワールに話したら、ちょっと今までに見せた事がないような難しい表情になった。

「可能かと思います。ですが、時間が止まっている世界での修行の成果は、影収納から表の世界に出た途端に急激に現れるでしょう」

 そうか、止まっていた時間の流れが一気に外の世界と同調しようとするから……停止していた時間の中で動いていないものは外に出してもそのままだ。でも意図的に変化させたものは経過した時間の分だけ変化の進行が進む訳だもんねえ。

「かなりの負荷が掛かるって事だよね」
「ええ、恐らく」

 ノワールにしても前例がない事なので確信を持って答えている訳ではなさそうだ。少しずつ試してみるしかないかな。

しおりを挟む
感想 283

あなたにおすすめの小説

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく

かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。 ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!? 俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。 第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。 「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」 信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。 賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。 様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する! 異世界ざわつき転生譚、ここに開幕! ※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。 ※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

S級パーティを追放された無能扱いの魔法戦士は気ままにギルド職員としてスローライフを送る

神谷ミコト
ファンタジー
【祝!4/6HOTランキング2位獲得】 元貴族の魔法剣士カイン=ポーンは、「誰よりも強くなる。」その決意から最上階と言われる100Fを目指していた。 ついにパーティ「イグニスの槍」は全人未達の90階に迫ろうとしていたが、 理不尽なパーティ追放を機に、思いがけずギルドの職員としての生活を送ることに。 今までのS級パーティとして牽引していた経験を活かし、ギルド業務。ダンジョン攻略。新人育成。そして、学園の臨時講師までそつなくこなす。 様々な経験を糧にカインはどう成長するのか。彼にとっての最強とはなんなのか。 カインが無自覚にモテながら冒険者ギルド職員としてスローライフを送るである。 ハーレム要素多め。 ※隔日更新予定です。10話前後での完結予定で構成していましたが、多くの方に見られているため10話以降も製作中です。 よければ、良いね。評価、コメントお願いします。励みになりますorz 他メディアでも掲載中。他サイトにて開始一週間でジャンル別ランキング15位。HOTランキング4位達成。応援ありがとうございます。 たくさんの誤字脱字報告ありがとうございます。すべて適応させていただきます。 物語を楽しむ邪魔をしてしまい申し訳ないですorz 今後とも応援よろしくお願い致します。

追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る

夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~

海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。 地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。 俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。 だけど悔しくはない。 何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。 そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。 ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。 アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。 フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。 ※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています

処理中です...