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四章
貴族が相手だから何?
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翌朝、ロープで縛ってミノムシ状態のコンスを連れ、僕達は村を出た。影泳ぎを使った方が時間短縮にはなるんだけど、今回、ザフト公爵の配下を潰していく事はザフト公爵自体の弱体化にもつながる事なので、多少の時間ロスはあまり問題にはならないと考えた。むしろ、こちらの方が罪もない村人が犠牲になる事がないので、優先度は高いと言える。
「何も礼は出来んが、せめてこれを持っていって下され」
「これは?」
「村で育てたモンじゃ。道中の腹の足しにはなるじゃろう」
村の門を出ようとした時、長老がそう言って四つの包みを手渡してきた。まだほんのりと温かい。匂いからすると焼きたてのパンと言ったところだろうか。
「有難く頂戴します。それではお元気で」
「おい、あんたら! 今回は本当に感謝してるぜ! 帰りには是非立ち寄ってくれよな! 今度は美味いモン食わせてやるからよ!」
昨夜、僕達を広場に案内してくれた若い男がそう言って手を振ってくれた。そうだね。今度は仕事抜きで立ち寄ってみたいと思う。
「おいお前。こんな事してタダで済むと思ってんのか?」
村を出てしばらく歩いた頃、コンスが偉そうにそんな事を言う。バックに大物が付いている、典型的な悪党の台詞に思わず笑ってしまう。
「ははは。タダで済むも何も、野盗を捕えて突き出すだけですからね」
「大人しく俺を解放するんだ。そうすりゃお前らも――」
「無理ですね、それは。あなたの背後にいる人も懲らしめないといけないんで」
「なっ!?」
まさか僕達が黒幕の正体を知っているとは思わないもんね。僕の言葉に顔色を無くすコンス。
「お、俺達盗賊に、そんなバックなんて付いてる訳は……」
「実はね、あなた方が出立していく時から、追跡してたんですよ、僕等」
「なん……だと?」
コンスが愕然とした顔をしている。
「この意味が分かりますか? あなた方がやろうとしていた事は最初から分かっていました。ええ、もちろんカイザード子爵が黒幕なのもね」
「それならお前も分かるだろ? 貴族に盾突いたらどうなるか……」
「ええ、それは勿論」
ここでコンスは浅ましいものでも見るように口元を歪めた。そしてこう考えた事だろう。
どうせ貴族に盾突くなんて出来っこない。自分を引き渡して謝礼でも貰うつもりだろう。その上で、今回の事で弱みを握ってさらに金を強請るつもりなんだろう――
そして待っているのは処分。
どういう想像をしようが知った事ではないけれど、この男の想像の遥か上を行く事態になる事には間違いないね。
「この辺で食事にしようか」
三時間ほど歩いたところで、僕達は休憩を取る事にした。もちろんコンスにはあげないよ? 水くらいは飲ませてあげるけど。
ハンセン村の長老から貰った包みを開くと、何やらいい香りのする葉っぱに包まれたパンが入っていた。厚みのある丸いパンで、真ん中をカットしたところに葉野菜、チーズ、後は燻製肉を挟んである。影収納の中に入れておいたので、まだホカホカだ。
僕とノワール、アーテルはこれを両手で持って豪快に齧り付いた。それを見たヨシュア君が真似る。貴族の彼はこういうワイルドな食べ方はしないのかも知れないね。
「美味しいね! これは冒険者風の食べ方なのかい?」
「冒険者風……というか、平民ならこんな感じだと思いますよ? 多分ですが、このパンも貴族の食卓でお上品に食べたらそんなに美味しく感じられないかも知れません」
ヨシュア君は感激しているけど、冷静に味わえば味付けもシンプルだし、特別手の込んだ調理をしている訳でもない。ただ、葉野菜は新鮮で瑞々しいし、燻製肉もチーズも村で作った自慢の品なんだろうね。素朴だけどとても美味しい。そしてこのワイルドな食べ方が途轍もない調味料になっている。
「そうか、料理にもそれぞれ合ったシチュエーションがあるって事か」
そうだね。コース料理は上品にテーブルで、ジャンクな食べ物は豪快に。そういう事だろう。
とても美味しそうに食べている僕達を羨ましそうに見ているコンスだけど、村人を皆殺しにしようとしたコイツには食わせるものなど何もない。
「さて、そろそろ行こうか。あ、あなたには暫く眠っていてもらいますね」
食事も終わって立ち上がり、コンスには首に手刀を当てて意識を刈り取った。そのまま影収納に放り込み、僕達も影泳ぎでの移動に移行した。
目指すは勿論カイザード子爵の屋敷。さて、どんな反応をしてくるのか楽しみだね。
「何も礼は出来んが、せめてこれを持っていって下され」
「これは?」
「村で育てたモンじゃ。道中の腹の足しにはなるじゃろう」
村の門を出ようとした時、長老がそう言って四つの包みを手渡してきた。まだほんのりと温かい。匂いからすると焼きたてのパンと言ったところだろうか。
「有難く頂戴します。それではお元気で」
「おい、あんたら! 今回は本当に感謝してるぜ! 帰りには是非立ち寄ってくれよな! 今度は美味いモン食わせてやるからよ!」
昨夜、僕達を広場に案内してくれた若い男がそう言って手を振ってくれた。そうだね。今度は仕事抜きで立ち寄ってみたいと思う。
「おいお前。こんな事してタダで済むと思ってんのか?」
村を出てしばらく歩いた頃、コンスが偉そうにそんな事を言う。バックに大物が付いている、典型的な悪党の台詞に思わず笑ってしまう。
「ははは。タダで済むも何も、野盗を捕えて突き出すだけですからね」
「大人しく俺を解放するんだ。そうすりゃお前らも――」
「無理ですね、それは。あなたの背後にいる人も懲らしめないといけないんで」
「なっ!?」
まさか僕達が黒幕の正体を知っているとは思わないもんね。僕の言葉に顔色を無くすコンス。
「お、俺達盗賊に、そんなバックなんて付いてる訳は……」
「実はね、あなた方が出立していく時から、追跡してたんですよ、僕等」
「なん……だと?」
コンスが愕然とした顔をしている。
「この意味が分かりますか? あなた方がやろうとしていた事は最初から分かっていました。ええ、もちろんカイザード子爵が黒幕なのもね」
「それならお前も分かるだろ? 貴族に盾突いたらどうなるか……」
「ええ、それは勿論」
ここでコンスは浅ましいものでも見るように口元を歪めた。そしてこう考えた事だろう。
どうせ貴族に盾突くなんて出来っこない。自分を引き渡して謝礼でも貰うつもりだろう。その上で、今回の事で弱みを握ってさらに金を強請るつもりなんだろう――
そして待っているのは処分。
どういう想像をしようが知った事ではないけれど、この男の想像の遥か上を行く事態になる事には間違いないね。
「この辺で食事にしようか」
三時間ほど歩いたところで、僕達は休憩を取る事にした。もちろんコンスにはあげないよ? 水くらいは飲ませてあげるけど。
ハンセン村の長老から貰った包みを開くと、何やらいい香りのする葉っぱに包まれたパンが入っていた。厚みのある丸いパンで、真ん中をカットしたところに葉野菜、チーズ、後は燻製肉を挟んである。影収納の中に入れておいたので、まだホカホカだ。
僕とノワール、アーテルはこれを両手で持って豪快に齧り付いた。それを見たヨシュア君が真似る。貴族の彼はこういうワイルドな食べ方はしないのかも知れないね。
「美味しいね! これは冒険者風の食べ方なのかい?」
「冒険者風……というか、平民ならこんな感じだと思いますよ? 多分ですが、このパンも貴族の食卓でお上品に食べたらそんなに美味しく感じられないかも知れません」
ヨシュア君は感激しているけど、冷静に味わえば味付けもシンプルだし、特別手の込んだ調理をしている訳でもない。ただ、葉野菜は新鮮で瑞々しいし、燻製肉もチーズも村で作った自慢の品なんだろうね。素朴だけどとても美味しい。そしてこのワイルドな食べ方が途轍もない調味料になっている。
「そうか、料理にもそれぞれ合ったシチュエーションがあるって事か」
そうだね。コース料理は上品にテーブルで、ジャンクな食べ物は豪快に。そういう事だろう。
とても美味しそうに食べている僕達を羨ましそうに見ているコンスだけど、村人を皆殺しにしようとしたコイツには食わせるものなど何もない。
「さて、そろそろ行こうか。あ、あなたには暫く眠っていてもらいますね」
食事も終わって立ち上がり、コンスには首に手刀を当てて意識を刈り取った。そのまま影収納に放り込み、僕達も影泳ぎでの移動に移行した。
目指すは勿論カイザード子爵の屋敷。さて、どんな反応をしてくるのか楽しみだね。
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