残滓と呼ばれたウィザード、絶望の底で大覚醒! 僕を虐げてくれたみんなのおかげだよ(ニヤリ)

SHO

文字の大きさ
176 / 206
四章

褐色に対する嫌悪

しおりを挟む
 それから暫くはナークさんとの雑談……という名の情報収集合戦だった。彼が主に知りたいのは僕達がドラケン領を訪れた本当の目的、そして中央の情勢みたいだ。逆に僕達が知りたいのはドラケン侯爵家そのもの、と言ったらいいだろうか。
 何しろ国の東端と西端という位置関係の為、お互いに詳細は良く知らない。もしかしたら世俗や文化なんてものも、同じ国家の中でありながらまるで違うという事もあるかもしれないしね。
 そして何より、褐色の肌に関する話。ユーイングさんが以前話したのはあくまでも噂話のレベルだったけど、本当の所はどうなのか。
 ナークさんの方もこちらの真意を知りたいのだろうけれど、肝心のナークさんがどの程度の地位の人で、どれくらい信頼できる人かが掴めていない。だからのらりくらいと躱しながら話している。
 何しろノワールに対する視線があんまり好意的じゃなかったからね。

 暫くして、ナークさんが城に走らせたという部下が戻ってきた。

「シェラ公女が今夜の晩餐に四名様をお招きしたいのとの事です」

 ナークさんが伝令の言葉を僕達に伝えた。二日や三日くらいは待たされると思ったんだけど、随分と反応が早いね。やっぱりヨシュア君の存在が大きいのかな。

「分かりました。それまでの間、僕達は自由にしていても?」
「そうですね……もう昼時ですし、街を案内がてら昼食でもいかがでしょう? そのまま城まで案内いたします」

 こうして僕達はナークさんの案内で、ドラグーンバーグの市街地へと繰り出した。
 街並みは石造りの建物が並ぶが、主に庶民向けの飲食店や商店などは木造も多い印象だ。道路は石畳で舗装されている所とそうでない所があり、舗装された道は全て城へと続いているらしい。その事をナークさんに訊ねると、軍事的な理由、との答えが返ってきた。

「ダンジョンがあると、当然魔物の襲撃に備えなければなりません。舗装路は、その際に戦力の移動をスムーズにする為のものです」

 なるほど、悪天候で地面がぬかるんだりすると機動力にも影響が出るからね。やはりこの街も辺境にあって国土を守る、重要な役割を担っているという事なんだろう。
 そうした会話をしながら歩いている最中でも、道行く人々の視線を感じる。その殆どがノワールに対するもので、やはり好意的なものとは言い難い。

「ナークさん」
「はい、なんでしょう?」
「このドラケンの人々は、ノワールに何か恨みでもあるんですか?」

 意味もなく悪意をぶつけられるのはやっぱり面白くない。ノワールの肌の色が問題で、ここの人達が敵対するようなら僕達のパーティはここで別行動だ。ヨシュア君も恐らくそうするだろうね。何しろ彼の想い人も褐色の肌を持つんだし。

「え、いや、何の事でしょう?」

 ナークさんが額に目を泳がせながらとぼける。

「あなたも明らかにノワールを見る目に悪意がありました。個人的な好みかもと思いましたが、どうやら街の人達もそのようですね」
「そ、そんな事はないかと……」

 僕の不快感が伝わっているんだろう、ノワールもアーテルもかなり抑えてはいるけど圧力を出している。

「やはり、闇の巫女の噂のお陰かな。何もせずにひっそりと暮らしていた親子を、ただ肌の色が違うからといって迫害し、いざ魔物がスタンピードを起こすとその親子に罪を被せる。自分達人間が恨みを買うような事をしておいてだ」

 アーテルがいかにも不機嫌にそう吐き捨てる。

「しかしそのおかげで沢山の人が死んだ!」

 それに反論するようにナークさんが声を荒げた。

「知った事か。ノワールがその張本人ならばいざ知らず。その闇の巫女がやったという証拠でもあるのか?」
「いや、それは……」
「それ見た事か。単なる噂と偏見で、関係ない者をも嫌悪する。我々も悪意をぶつけてくる相手にまで寛容ではないからな?」
「……」

 アーテルの静かで、そして重苦しい雰囲気と共に吐き出した言葉に、それっきりナークさんは反論する事が無かった。

「ナーク殿、私の同行者への無礼は許さない。しかし美味い昼飯を食わせる店を教えてくれたなら手打ちにしようと思うがどうだろう?」

 ここで険悪な雰囲気になったところをヨシュア君がフォローに入る。確かに、ノワールに対する視線は不愉快だけど、これはもうこの人に限った事ではないのだろう。それに基本的には悪い人ではない感じもする。

「貴族のヨシュア様のお口に合うかどうかは分かりませんが、安くて腹いっぱい食わせてくれるお店に行ってみましょうか。もちろん味の方も保証します。ただ、荒くれ者が多いのですが」

 そう言ってナークさんが苦笑した。ダンジョン目当ての冒険者が多く集まる街なんだろうね。冒険者が集まれば、トラブルも日常茶飯事なんだろう。そんな場所に敢えて僕達を連れて行くという事は、余程料理の出来がいいか、それとも別の目的があるのか。

「ここです」

 観音扉を開くと、その中には昼時の喧噪と、食欲をそそる料理の匂い。そして中の客の視線。ああ、これは知っている。初めてのギルドに行った時にありがちなアレだね。
 この後絶対に何かある。
しおりを挟む
感想 283

あなたにおすすめの小説

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

A級パーティーを追放された黒魔導士、拾ってくれた低級パーティーを成功へと導く~この男、魔力は極小だが戦闘勘が異次元の鋭さだった~

名無し
ファンタジー
「モンド、ここから消えろ。てめえはもうパーティーに必要ねえ!」 「……え? ゴート、理由だけでも聴かせてくれ」 「黒魔導士のくせに魔力がゴミクズだからだ!」 「確かに俺の魔力はゴミ同然だが、その分を戦闘勘の鋭さで補ってきたつもりだ。それで何度も助けてやったことを忘れたのか……?」 「うるせえ、とっとと消えろ! あと、お前について悪い噂も流しておいてやったからな。役立たずの寄生虫ってよ!」 「くっ……」  問答無用でA級パーティーを追放されてしまったモンド。  彼は極小の魔力しか持たない黒魔導士だったが、持ち前の戦闘勘によってパーティーを支えてきた。しかし、地味であるがゆえに貢献を認められることは最後までなかった。  さらに悪い噂を流されたことで、冒険者としての道を諦めかけたモンドだったが、悪評高い最下級パーティーに拾われ、彼らを成功に導くことで自分の居場所や高い名声を得るようになっていく。 「魔力は低かったが、あの動きは只者ではなかった! 寄生虫なんて呼ばれてたのが信じられん……」 「地味に見えるけど、やってることはどう考えても尋常じゃなかった。こんな達人を追放するとかありえねえだろ……」 「方向性は意外ですが、これほどまでに優れた黒魔導士がいるとは……」  拾われたパーティーでその高い能力を絶賛されるモンド。  これは、様々な事情を抱える低級パーティーを、最高の戦闘勘を持つモンドが成功に導いていく物語である……。

もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜

双葉 鳴
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」 授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。 途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。 ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。 駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。 しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。 毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。 翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。 使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった! 一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。 その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。 この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。 次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。 悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。 ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった! <第一部:疫病編> 一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24 二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29 三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31 四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4 五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8 六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11 七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

処理中です...