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四章
いざ、ドラケンへ
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僕達はカーザード子爵に続いて、ザフト領の西側を治める寄子の貴族でザフト公爵の企みに加担する者を葬った。カイザードの時とは違い、書状などの証拠を掴んだ上で連中が兵を動かす前に潰したので、一般兵には被害は出ていない。これが吉と出るか凶と出るかは分からないけどね。
ザフト領を出る前に、一度ザフト公爵の居城に忍び込んで来たんだけど、それはもう上を下への大騒ぎさ。一晩のうちに寄子の貴族を一気に失い、ドラケン領への工作も失敗に終わったからね。
「ここが領都のドラグーンバーグか」
敵の企みを潰した僕達は、今度は影泳ぎで一気にドラケン領の領都、ドラグーンバーグの近郊に浮上した。ドラグーンバーグへはきちんと手続きを踏んで、プラチナランクの冒険者として入るつもりだ。
「やはり国境、そして辺境だけあって、街の防御は固い作りになっているね」
「郊外にダンジョンもあるし、街づくりの思想は我がグリペンと似通っているんだろう。他民族と魔物との戦いの歴史なのさ」
まだ門をくぐる前の街の防壁の印象からの僕の発言に、ヨシュア君がそう答えた。確かに立地条件はグリペンと似通っている所も多いから、似たような発展を遂げていくのも必然なのかも知れない。
僕達は貴族や要人専用の通用門へと進み、手続きを待つ行列を避けて行く。こちらは他に手続きをしようとする人はいない。そこへ見た目は冒険者の僕達が来た事で、門番が不審そうな顔で呼び止めて来た。
「こっちは貴族や要人専用の門なのだ。君達の素性を教えてもらえるか?」
見た目は冒険者だけど万が一貴人だった場合の事も考えてか、頭ごなしに怒鳴るような事はせず、こちらの気分を害するような対応はしてこない。
「僕はプラチナランクの冒険者、ショーンです。そして僕のパーティの『ダークネス』です。そしてこちらは僕達の依頼主の――」
「私はヨシュア・グリペン。グリペン侯爵家の者だ」
僕はプラチナのタグを、ヨシュア君は予備で持っている短剣の鞘を見せる。それには見事なグリフォンの紋章が刻まれていた。
「こっ、これは失礼致しました! どうぞ、こちらへ!」
ビシッと敬礼を決めて僕等を先導してくれた門番さん、連れて行ってくれた先は結構立派な待合室っぽいところ。さすがに貴人が出入りするところだから一定水準以上のものを用意しているんだね。
「お待たせいたしました。私はここの責任者、ナークと申します。ようこそドラグーンバーグへ」
少し待つと、品の良い中年男性が現れた。腰に剣を佩いているけど防具の類は付けていない。
「早速ですが、ドラグーンバーグへはどういったご用件で?」
この問いにはヨシュア君が答えた。
「いくつか目的はありますが、まずはドラケン侯爵に我が父の書状をお届けする事。そしてダンジョンに潜る事。さらにはもう一つは人探し、ですね」
「なるほど……」
そんなヨシュア君の話を聞きながら、ナークと名乗ったこの人物は、ちらりとノワールに視線を送った。僕でもアーテルでもなく、ノワールに、だ。
「僕の仲間のノワールがどうかしましたか?」
これを訊ねた時の僕の視線は鋭かっただろう。ナークさんのノワールに対する視線があまり好意的ではなかったからだ。
「い、いえ、失礼しました。褐色の肌を持つ方は珍しいものですから、つい……」
「ああ、それはそうですね。ですが不躾けな視線はご遠慮願います」
「は、申し訳ございません。それで、閣下への面会の件なのですが……」
謝罪のあと、ナークさんが言い淀む。
「?」
「いえ、閣下は今体調を崩されておりまして。現在公務はシェラ公女が代行なさっておられるのです」
おや、それはこんなタイミングで中々に由々しき事態ではないだろうか?
その、代行している公女様がどれだけの手腕を持っているかだけど。
「シェラ公女にはお会い出来るのですか?」
「先程城にヨシュア公子が参られた事は伝令を走らせております。追って連絡が来ると思いますのでそれまでお待ちいただければ……」
「そうですか。ドラケン侯爵閣下の御病気の方は?」
「それについては私の方から詳しくは……申し訳ありません」
ヨシュア君とナークさんが何やら打ち合わせをしているけど、侯爵との面会についてはヨシュア君の仕事なので、僕の出番は殆どない。僕としてはダンジョンに行ければそれで……いや?
僕は二人の会話が一段落したところを見計らって、ナークさんに問いかけた。
「そう言えば、ハンセン村の長老から何か報告は来ていませんか?」
「ええ、来ておりますよ。なんでも野盗に襲われたところを凄腕の四人組冒険者に助けられたとか――え? まさか……」
「はい、そのまさかです。この件で分かった事があるので、是非ドラケン侯爵かシェラ公女に直接お伝えしなければなりません」
さて、シェラ公女とやらがどんな人物かは知らないけれど、これから盛大な厄介事に巻き込む事になるね。
ザフト領を出る前に、一度ザフト公爵の居城に忍び込んで来たんだけど、それはもう上を下への大騒ぎさ。一晩のうちに寄子の貴族を一気に失い、ドラケン領への工作も失敗に終わったからね。
「ここが領都のドラグーンバーグか」
敵の企みを潰した僕達は、今度は影泳ぎで一気にドラケン領の領都、ドラグーンバーグの近郊に浮上した。ドラグーンバーグへはきちんと手続きを踏んで、プラチナランクの冒険者として入るつもりだ。
「やはり国境、そして辺境だけあって、街の防御は固い作りになっているね」
「郊外にダンジョンもあるし、街づくりの思想は我がグリペンと似通っているんだろう。他民族と魔物との戦いの歴史なのさ」
まだ門をくぐる前の街の防壁の印象からの僕の発言に、ヨシュア君がそう答えた。確かに立地条件はグリペンと似通っている所も多いから、似たような発展を遂げていくのも必然なのかも知れない。
僕達は貴族や要人専用の通用門へと進み、手続きを待つ行列を避けて行く。こちらは他に手続きをしようとする人はいない。そこへ見た目は冒険者の僕達が来た事で、門番が不審そうな顔で呼び止めて来た。
「こっちは貴族や要人専用の門なのだ。君達の素性を教えてもらえるか?」
見た目は冒険者だけど万が一貴人だった場合の事も考えてか、頭ごなしに怒鳴るような事はせず、こちらの気分を害するような対応はしてこない。
「僕はプラチナランクの冒険者、ショーンです。そして僕のパーティの『ダークネス』です。そしてこちらは僕達の依頼主の――」
「私はヨシュア・グリペン。グリペン侯爵家の者だ」
僕はプラチナのタグを、ヨシュア君は予備で持っている短剣の鞘を見せる。それには見事なグリフォンの紋章が刻まれていた。
「こっ、これは失礼致しました! どうぞ、こちらへ!」
ビシッと敬礼を決めて僕等を先導してくれた門番さん、連れて行ってくれた先は結構立派な待合室っぽいところ。さすがに貴人が出入りするところだから一定水準以上のものを用意しているんだね。
「お待たせいたしました。私はここの責任者、ナークと申します。ようこそドラグーンバーグへ」
少し待つと、品の良い中年男性が現れた。腰に剣を佩いているけど防具の類は付けていない。
「早速ですが、ドラグーンバーグへはどういったご用件で?」
この問いにはヨシュア君が答えた。
「いくつか目的はありますが、まずはドラケン侯爵に我が父の書状をお届けする事。そしてダンジョンに潜る事。さらにはもう一つは人探し、ですね」
「なるほど……」
そんなヨシュア君の話を聞きながら、ナークと名乗ったこの人物は、ちらりとノワールに視線を送った。僕でもアーテルでもなく、ノワールに、だ。
「僕の仲間のノワールがどうかしましたか?」
これを訊ねた時の僕の視線は鋭かっただろう。ナークさんのノワールに対する視線があまり好意的ではなかったからだ。
「い、いえ、失礼しました。褐色の肌を持つ方は珍しいものですから、つい……」
「ああ、それはそうですね。ですが不躾けな視線はご遠慮願います」
「は、申し訳ございません。それで、閣下への面会の件なのですが……」
謝罪のあと、ナークさんが言い淀む。
「?」
「いえ、閣下は今体調を崩されておりまして。現在公務はシェラ公女が代行なさっておられるのです」
おや、それはこんなタイミングで中々に由々しき事態ではないだろうか?
その、代行している公女様がどれだけの手腕を持っているかだけど。
「シェラ公女にはお会い出来るのですか?」
「先程城にヨシュア公子が参られた事は伝令を走らせております。追って連絡が来ると思いますのでそれまでお待ちいただければ……」
「そうですか。ドラケン侯爵閣下の御病気の方は?」
「それについては私の方から詳しくは……申し訳ありません」
ヨシュア君とナークさんが何やら打ち合わせをしているけど、侯爵との面会についてはヨシュア君の仕事なので、僕の出番は殆どない。僕としてはダンジョンに行ければそれで……いや?
僕は二人の会話が一段落したところを見計らって、ナークさんに問いかけた。
「そう言えば、ハンセン村の長老から何か報告は来ていませんか?」
「ええ、来ておりますよ。なんでも野盗に襲われたところを凄腕の四人組冒険者に助けられたとか――え? まさか……」
「はい、そのまさかです。この件で分かった事があるので、是非ドラケン侯爵かシェラ公女に直接お伝えしなければなりません」
さて、シェラ公女とやらがどんな人物かは知らないけれど、これから盛大な厄介事に巻き込む事になるね。
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