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四章
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その後、僕は冒険者とはどういうものか、シェラ公女やヨシュア君に説明したり、本当に命懸けの危険な職業である事を口酸っぱく説明した。
命懸けという意味では兵士や官憲なんかもそうだろうけど、常に危険に晒されているかと言えば必ずしもそうじゃない。
だけど冒険者は、日々の糧を得る為に魔物や猛獣と戦う事が日常なんだよね。訓練ばかりの軍隊よりも危険と隣り合わせだとさえ思っている。
もちろん簡単に比較できるようなものじゃないって事は分かっているけどね。
その後招待されていた晩餐に参加し、ドラケン家の重臣の皆さんに紹介された。立食形式の堅苦しいものではなかったのでこちらは大助かりだし、アーテルも好きなだけ食べられるので彼女も大喜び。
ただ、ノワールに対してだけはどこか余所余所しい感じは否めなかった。それでも、僕等のパーティがハンセン村を救い、さらにザフト公爵の企みを事前に潰しておいた事を知らされていたためか、概ね家臣達は好意的だったよ。
僕もプラチナランカーという事でそれほど見下される事も無かったし、ヨシュア君に至ってはドラケン家と同格の二候家の公子という事で、随分と歓待されていた。
そんな時、僕のところへシェラ公女が近付いてきた。お付きの侍女が一人付き添っている。
「晩餐が終わったら、父上に会っていただけないでしょうか?」
ふむ。ヨシュア君ではなく僕が?
「我がドラケンは光のグリペンと対を成す闇を司ると言われた家柄。ヨシュア公子とはまだ別途お話をする機会もあるでしょうが、ショーン殿とは今日がベストのタイミングと思います」
「なるほどです。分かりました。侯爵閣下とお会いさせていただきます。シェラ様はヨシュア君とお話されましたか?」
僕がヨシュア君の名前を出した途端、シェラ公女はモジモジしてしまった。ヴェールのお陰で表情は見えないけど、やっぱりさっきの突然のプロポーズが効いているみたいだね。
「彼の一番の目的は、クリーム色の髪、褐色の肌、黒曜のような瞳を持つ美少女を探す事だったんですよ。お話だけでも聞いてあげて下さいね」
「は、はあ……困りました。初めての事なので」
まあ、恋愛の事は僕が出る幕じゃないのでね、ヨシュア君頑張れとしか言えない。でも二人の縁が結ばれれば最高の結果になるだろうね。二候家の繋がりの強化は他の四伯家にも影響を及ぼすだろうし。
「ところでシェラ様、肌の色の事はこの先どうなさるのですか?」
僕は周囲に聞こえないよう、小声で公女に訊ねた。ドラケン侯爵にもしもの事があれば、彼女もずっとこのまま隠したままというのは難しいんじゃないだろうか?
「それは……ダンジョンで力を付けて、周囲を黙らせる程の力を……」
なるほど。でも肝心のダンジョンに行くという事のハードルが高い。今シェラ公女を失えば、ドラケン侯爵家は跡継ぎもいないし、国内の内乱どころかお家騒動にもなりかねない。簡単にはいかないだろうね。
せめて侯爵が万全の状態なら……
「ねえノワール、王都からルークスだけを連れて来るのって、どれだけ掛かるかな?」
「私とルークスの二人だけなら、小一時間程もあれば大丈夫かと」
こうなったらドラケン侯爵には健康になっていただこう。ノワールの時空を操る力でも病気を無かった事には出来るだろうけど、周囲や侯爵自身に間違った認識を与えたくない。それにはルークスかグランツの癒しの力を使ってもらうのが一番だ。
でもグランツがシェラ公女のお尻を撫でたりなんかしたら、ヨシュア君が暴れる未来しか見えないからね。
「じゃあ悪いけど、事情を話してルークスを連れて来てくれるかな?」
「ルークスだけでよろしいのですか?」
「ああ、デライラとグランツはレベッカ陛下の近くにいた方がいいだろう?」
「そうですね。では至急連れて参ります」
そう言ってノワールはズブズブと影の中に沈み込んでしまった。今頃は影泳ぎで遥か彼方だろう。それにしても、王都まで往復で小一時間とは、僕達がいかに彼女のお荷物になっているかって話だよね。
「侯爵閣下とお会いする前に、少しばかりお時間をいただけますか――? シェラ様?」
「……」
「シェラ様?」
「……はっ!?」
シェラ公女に向き直って話しかけたのに、彼女が全く反応しない。再び呼びかけて漸く我に返ったみたいだ。
「す、すみません。あの、彼女は?」
「ノワールですか? 僕のパーティメンバーで、ゴールドランカーです」
「いや、そうではなくてですね!」
あれ?
僕、大事な事を言ってなかった?
「ああ、ノワールは僕が封印から解き放った闇の大精霊です。まったくの偶然だったんですけどね」
「や、闇の大精霊様!?」
「ええ。あと向こうでご機嫌に料理をかっ食らっているのがアーテル。あんなお色気美人の姿ですけど、実はミスティウルフ――古の神狼です」
「古の神狼様……」
それっきりシェラ公女はへたり込んでしまった。
ちょっとショックが強すぎただろうか。
命懸けという意味では兵士や官憲なんかもそうだろうけど、常に危険に晒されているかと言えば必ずしもそうじゃない。
だけど冒険者は、日々の糧を得る為に魔物や猛獣と戦う事が日常なんだよね。訓練ばかりの軍隊よりも危険と隣り合わせだとさえ思っている。
もちろん簡単に比較できるようなものじゃないって事は分かっているけどね。
その後招待されていた晩餐に参加し、ドラケン家の重臣の皆さんに紹介された。立食形式の堅苦しいものではなかったのでこちらは大助かりだし、アーテルも好きなだけ食べられるので彼女も大喜び。
ただ、ノワールに対してだけはどこか余所余所しい感じは否めなかった。それでも、僕等のパーティがハンセン村を救い、さらにザフト公爵の企みを事前に潰しておいた事を知らされていたためか、概ね家臣達は好意的だったよ。
僕もプラチナランカーという事でそれほど見下される事も無かったし、ヨシュア君に至ってはドラケン家と同格の二候家の公子という事で、随分と歓待されていた。
そんな時、僕のところへシェラ公女が近付いてきた。お付きの侍女が一人付き添っている。
「晩餐が終わったら、父上に会っていただけないでしょうか?」
ふむ。ヨシュア君ではなく僕が?
「我がドラケンは光のグリペンと対を成す闇を司ると言われた家柄。ヨシュア公子とはまだ別途お話をする機会もあるでしょうが、ショーン殿とは今日がベストのタイミングと思います」
「なるほどです。分かりました。侯爵閣下とお会いさせていただきます。シェラ様はヨシュア君とお話されましたか?」
僕がヨシュア君の名前を出した途端、シェラ公女はモジモジしてしまった。ヴェールのお陰で表情は見えないけど、やっぱりさっきの突然のプロポーズが効いているみたいだね。
「彼の一番の目的は、クリーム色の髪、褐色の肌、黒曜のような瞳を持つ美少女を探す事だったんですよ。お話だけでも聞いてあげて下さいね」
「は、はあ……困りました。初めての事なので」
まあ、恋愛の事は僕が出る幕じゃないのでね、ヨシュア君頑張れとしか言えない。でも二人の縁が結ばれれば最高の結果になるだろうね。二候家の繋がりの強化は他の四伯家にも影響を及ぼすだろうし。
「ところでシェラ様、肌の色の事はこの先どうなさるのですか?」
僕は周囲に聞こえないよう、小声で公女に訊ねた。ドラケン侯爵にもしもの事があれば、彼女もずっとこのまま隠したままというのは難しいんじゃないだろうか?
「それは……ダンジョンで力を付けて、周囲を黙らせる程の力を……」
なるほど。でも肝心のダンジョンに行くという事のハードルが高い。今シェラ公女を失えば、ドラケン侯爵家は跡継ぎもいないし、国内の内乱どころかお家騒動にもなりかねない。簡単にはいかないだろうね。
せめて侯爵が万全の状態なら……
「ねえノワール、王都からルークスだけを連れて来るのって、どれだけ掛かるかな?」
「私とルークスの二人だけなら、小一時間程もあれば大丈夫かと」
こうなったらドラケン侯爵には健康になっていただこう。ノワールの時空を操る力でも病気を無かった事には出来るだろうけど、周囲や侯爵自身に間違った認識を与えたくない。それにはルークスかグランツの癒しの力を使ってもらうのが一番だ。
でもグランツがシェラ公女のお尻を撫でたりなんかしたら、ヨシュア君が暴れる未来しか見えないからね。
「じゃあ悪いけど、事情を話してルークスを連れて来てくれるかな?」
「ルークスだけでよろしいのですか?」
「ああ、デライラとグランツはレベッカ陛下の近くにいた方がいいだろう?」
「そうですね。では至急連れて参ります」
そう言ってノワールはズブズブと影の中に沈み込んでしまった。今頃は影泳ぎで遥か彼方だろう。それにしても、王都まで往復で小一時間とは、僕達がいかに彼女のお荷物になっているかって話だよね。
「侯爵閣下とお会いする前に、少しばかりお時間をいただけますか――? シェラ様?」
「……」
「シェラ様?」
「……はっ!?」
シェラ公女に向き直って話しかけたのに、彼女が全く反応しない。再び呼びかけて漸く我に返ったみたいだ。
「す、すみません。あの、彼女は?」
「ノワールですか? 僕のパーティメンバーで、ゴールドランカーです」
「いや、そうではなくてですね!」
あれ?
僕、大事な事を言ってなかった?
「ああ、ノワールは僕が封印から解き放った闇の大精霊です。まったくの偶然だったんですけどね」
「や、闇の大精霊様!?」
「ええ。あと向こうでご機嫌に料理をかっ食らっているのがアーテル。あんなお色気美人の姿ですけど、実はミスティウルフ――古の神狼です」
「古の神狼様……」
それっきりシェラ公女はへたり込んでしまった。
ちょっとショックが強すぎただろうか。
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