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四章
根競べ
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「攻撃、してこないね」
「ええ。でも魔力は感じます。ただの木という事はないでしょう」
アーテル達と分断された僕とノワールは、突然生い茂ったトレントによって出来た森の中で身構えていたんだけど、一向に攻撃してくる気配がない。
それでも、一瞬でこれだけ戦力をふやしてしまう能力は脅威だ。
「僕もかなり木の実を回収したんだけど、それでもこれだけの規模の森が出来てしまうなんて、やっぱり恐ろしい敵だね。もう軍隊並みの戦力になっている」
「どうしましょうか? わざわざ馬鹿正直に地上に出て戦わなくても、直接マザーのところへ浮上すれば……」
ノワールの提案も頷けるところだ。ただ……
「少しでもこのトレント共を潰して行こう。その方がアーテルも助かるだろう?」
「なるほど、ではそのように」
僕は手当たり次第ストックから炎弾を放ち、新たに生えて来たトレントを燃やしていく。ノワールは靄となって広範囲に自らを拡散し、トレントを枯らしていった。
「まだ三割ってとこか……」
「そうですね。このままでは埒が空きません。私がマザーを……」
結構頑張ったんだけどまだ七割程度のトレントが残っている。そしてトレントを枯らしていくノワールの方が時間効率は高いみたいだ。僕もまだまだだね。
「いや、効率重視で行くならノワールがトレントを始末していった方が早いんじゃないかな? 先が見えて来たらアーテル達にも手伝ってもらおう」
「なるほど……」
「それよりノワール、気付いてる?」
「え?」
実は今こうしてノワールと話している間にも、トレントは数を減らしている上に、相変わらず攻撃もしてこない。その代わり……
「はっ!?」
僕がマザートレントを見上げると、ノワールもそれに倣う。
「また青々と葉が……」
そう、一度は焼き尽くしたはずの木の葉がまた茂っている。同時に現在進行形でトレントが消滅しているのだ。
「自らの種でトレントを増やし、それを吸収して再生するとは。本当に生意気な植物ですね」
「そうだね。ヤツらが攻撃してこないからと言って待ってやる義理もない。僕がマザーをやる。ノワールはアーテル達とトレントの殲滅を。マザーの再生が終わるまで攻撃はしてこないだろうし」
全戦力でトレントを倒し、これ以上の再生を食い止め、その間にマザートレントを僕が倒す。
「しかしご主人様の身に何かあれ――」
僕はノワールが全て言い終える前に彼女の唇に人差し指を当てた。
「大丈夫。ノワールがいる限り僕の魔力は無限大さ。仕留めて見せるよ」
「分かりましたご主人様! こんな雑草如き、あっという間に枯らして見せます。ご主人様の愛を頂いた今の私は、超強力除草剤ですっ!」
「え、ああ、そう? じゃあ、頼むよ」
「はい!」
何故か頬を染めてやる気が限界突破したノワールに若干引きながら、僕は影に潜った。確実に仕留める為にはまずは奇襲を掛けよう。
まずは接近だ。いきなりマザートレントの根本に浮上する。トレントの五感がどうなっているのかなんて知る由もないけれど、すぐに僕に反応して地面を滑るように離れていく。これがトレント種の厄介なところで、足の動きというものがないからどちらに移動するのかまるで見当が付かない。
それにしても、熱感知センサーか何かなのか。僕が詰めると的確に離れようとする。逆に言えば、これだけ接近してもまだ攻撃してこないという事は、僕のさっきの『爆撃』はそれなりにダメージを与えていて、回復の必要があるという事だ。
「それなら追加で行くしかないよねっ!」
ストックの中から火属性魔法を適当に、本当に適当にマザートレントの周囲にばら撒く。当然、僕とマザートレントの周囲は炎で囲まれ、マザートレントの逃げ道は塞がれた。もっともそれは僕も同じなんだけど、影の中に逃げれば問題ないしね。
今度の追加魔法は強烈なヤツをお見舞いしてやろう。シルフに加護を受けて強力な威力を叩き出せるようになった風属性魔法を練り上げる。
「これはどうだい?」
足下に小さな旋風が発生した。それはマザートレントに接近していき、接触するほど近付くと急成長する。マザートレントもそよ風くらいにしか思っていなかったのか、全く動こうとしなかった。
巨大な竜巻に成長した僕の魔法は、マザートレントの巨体を全て包み込む。次いでに竜巻の中にストックしておいた風魔法や火魔法も放り込んでやれ。
ファイアーストーム。炎そのものが竜巻となったかのような。包み込まれたマザートレントの様子を外から窺う事は出来ないほど激しい。近くにいては僕も巻き込まれるほどの威力だったため、影泳ぎで一時的に距離を取る。
ただ、竜巻の内部からはバキバキという破壊音が響き渡り、枝も葉も激しく損傷しているのが聞いて取れた。ダメージは確実に与えられている。
でも、周囲にあったトレント達の減りが早すぎる。おそらく大ダメージを負った分、吸収を早くしているんだろう。マザートレントの再生力が勝るか僕の魔力が勝るか、根競べになってきたね。
「ええ。でも魔力は感じます。ただの木という事はないでしょう」
アーテル達と分断された僕とノワールは、突然生い茂ったトレントによって出来た森の中で身構えていたんだけど、一向に攻撃してくる気配がない。
それでも、一瞬でこれだけ戦力をふやしてしまう能力は脅威だ。
「僕もかなり木の実を回収したんだけど、それでもこれだけの規模の森が出来てしまうなんて、やっぱり恐ろしい敵だね。もう軍隊並みの戦力になっている」
「どうしましょうか? わざわざ馬鹿正直に地上に出て戦わなくても、直接マザーのところへ浮上すれば……」
ノワールの提案も頷けるところだ。ただ……
「少しでもこのトレント共を潰して行こう。その方がアーテルも助かるだろう?」
「なるほど、ではそのように」
僕は手当たり次第ストックから炎弾を放ち、新たに生えて来たトレントを燃やしていく。ノワールは靄となって広範囲に自らを拡散し、トレントを枯らしていった。
「まだ三割ってとこか……」
「そうですね。このままでは埒が空きません。私がマザーを……」
結構頑張ったんだけどまだ七割程度のトレントが残っている。そしてトレントを枯らしていくノワールの方が時間効率は高いみたいだ。僕もまだまだだね。
「いや、効率重視で行くならノワールがトレントを始末していった方が早いんじゃないかな? 先が見えて来たらアーテル達にも手伝ってもらおう」
「なるほど……」
「それよりノワール、気付いてる?」
「え?」
実は今こうしてノワールと話している間にも、トレントは数を減らしている上に、相変わらず攻撃もしてこない。その代わり……
「はっ!?」
僕がマザートレントを見上げると、ノワールもそれに倣う。
「また青々と葉が……」
そう、一度は焼き尽くしたはずの木の葉がまた茂っている。同時に現在進行形でトレントが消滅しているのだ。
「自らの種でトレントを増やし、それを吸収して再生するとは。本当に生意気な植物ですね」
「そうだね。ヤツらが攻撃してこないからと言って待ってやる義理もない。僕がマザーをやる。ノワールはアーテル達とトレントの殲滅を。マザーの再生が終わるまで攻撃はしてこないだろうし」
全戦力でトレントを倒し、これ以上の再生を食い止め、その間にマザートレントを僕が倒す。
「しかしご主人様の身に何かあれ――」
僕はノワールが全て言い終える前に彼女の唇に人差し指を当てた。
「大丈夫。ノワールがいる限り僕の魔力は無限大さ。仕留めて見せるよ」
「分かりましたご主人様! こんな雑草如き、あっという間に枯らして見せます。ご主人様の愛を頂いた今の私は、超強力除草剤ですっ!」
「え、ああ、そう? じゃあ、頼むよ」
「はい!」
何故か頬を染めてやる気が限界突破したノワールに若干引きながら、僕は影に潜った。確実に仕留める為にはまずは奇襲を掛けよう。
まずは接近だ。いきなりマザートレントの根本に浮上する。トレントの五感がどうなっているのかなんて知る由もないけれど、すぐに僕に反応して地面を滑るように離れていく。これがトレント種の厄介なところで、足の動きというものがないからどちらに移動するのかまるで見当が付かない。
それにしても、熱感知センサーか何かなのか。僕が詰めると的確に離れようとする。逆に言えば、これだけ接近してもまだ攻撃してこないという事は、僕のさっきの『爆撃』はそれなりにダメージを与えていて、回復の必要があるという事だ。
「それなら追加で行くしかないよねっ!」
ストックの中から火属性魔法を適当に、本当に適当にマザートレントの周囲にばら撒く。当然、僕とマザートレントの周囲は炎で囲まれ、マザートレントの逃げ道は塞がれた。もっともそれは僕も同じなんだけど、影の中に逃げれば問題ないしね。
今度の追加魔法は強烈なヤツをお見舞いしてやろう。シルフに加護を受けて強力な威力を叩き出せるようになった風属性魔法を練り上げる。
「これはどうだい?」
足下に小さな旋風が発生した。それはマザートレントに接近していき、接触するほど近付くと急成長する。マザートレントもそよ風くらいにしか思っていなかったのか、全く動こうとしなかった。
巨大な竜巻に成長した僕の魔法は、マザートレントの巨体を全て包み込む。次いでに竜巻の中にストックしておいた風魔法や火魔法も放り込んでやれ。
ファイアーストーム。炎そのものが竜巻となったかのような。包み込まれたマザートレントの様子を外から窺う事は出来ないほど激しい。近くにいては僕も巻き込まれるほどの威力だったため、影泳ぎで一時的に距離を取る。
ただ、竜巻の内部からはバキバキという破壊音が響き渡り、枝も葉も激しく損傷しているのが聞いて取れた。ダメージは確実に与えられている。
でも、周囲にあったトレント達の減りが早すぎる。おそらく大ダメージを負った分、吸収を早くしているんだろう。マザートレントの再生力が勝るか僕の魔力が勝るか、根競べになってきたね。
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