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四章
攻略完了!
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シェラさんが眷属云々の話は取り敢えず置いといて。
彼女の眷属になるという闇精霊から詳細を聞く事が出来た。と言っても、ノワールのように会話が出来る訳ではなくて、意識をリンクさせて情報が伝達されると言った方がいいだろうか。
ノワールが四大精霊王によってウサギの中に封印された頃と前後して、下位精霊、中位精霊なども次々と確保されこの地に集められたという事だった。
そしてあの地下の空間に閉じ込められ、その直上にトレントが植え付けられ、ひたすらに魔力を吸われ続けていたという。そのトレントが長きに渡り魔力を吸い続けた結果、マザートレントというバケモノに進化してしまったと。
「君達を拉致してここに連れて来たのは四大精霊王達かい?」
いくつかの疑問を闇精霊にぶつけてみる。
「……」
闇精霊から伝わってくる思念によれば、答えはノーだ。精霊王どころか、見た目は人間だったという。何やら得体の知れない道具で精霊達を搔き集め、この場所に封じ込めた後、トレントを植え付けたのもその人間だというのだ。
「四大精霊王と連携して動いているようにも思えますね」
そう、シェラさんの言う通りだ。じゃあ、その人間とは何者なのか。そして精霊王達を操った黒幕と何か関係があるのか。かえって謎が増えた気がしないでもない。
あとは、外の世界にしかいないと言われていた魔物の存在。エレキテルバッファローだ。あんなものがなぜこのダンジョンにいたのか。
「まあ、その人間が今も生きているとは思えないし、この事は後回しにしようか。ヨシュア君も心配しているだろうから、地上に戻ろうか」
アーテルは僕達を信頼しているからそんなに心配はしていないと思うけど、ヨシュア君はかなり心配しているんじゃないかな?
「そうですね、私も少し疲れてしまいました。あはは……」
シェラさんも苦笑いだ。体感では数時間しか経っていないけど、現実とは合致しないのは影泳ぎの件で察しは付いている。
僕達は地上に出たところでノワールとの同化を解き、元の肉体へと戻った。その直後、心配していたヨシュア君が猛ダッシュでシェラさんを抱きしめに来たので、一同はそれを生温かく見守る。
どうやらマザートレントの中に突入してから丸一日以上経過していたらしい。それならヨシュア君の心配も頷けるかな。
△▼△
ヨシュア君も落ち着いたところで、僕達がマザートレントの中で見聞きした事を待っていた二人にも話して聞かせた。
ダンジョンコアを破壊した事で、この雑木林一帯の空気も清浄なものとなり、急な魔物のポップは警戒しなくてもいいだろう。ダンジョン化は解かれたんだ。
気になるノワールの索敵能力に対するジャミングも今は正常に戻っている。あれは闇属性の魔力を吸い続けたマザートレントが、自らの存在を隠蔽する為に起こしていたものらしい。同じ闇属性の魔力ゆえ、ノワールも欺かれてしまったという事かな。
「それでは生身の肉体を持ったままでは、このダンジョンを攻略するのは不可能だったという事になるね」
「そうだね。封じた闇属性の精霊達を絶対逃がさないという悪意を感じるよ」
半ば呆れたようにヨシュア君が言う。それに僕も同意した。
「まあとにかく、闇属性の精霊の多くが解放された。その精霊達によって新たな情報がもたらせるかも知れん」
「そうですね。アーテルの言う通りです。仲間の精霊、そして光属性の精霊達についても情報を集めさせましょう」
課題はまだ多く残っているけど、今は焦っても仕方がない。
それよりも重要な事は、ドラケン家の跡取りであるシェラさんが闇属性の加護を受け、更には精霊を眷属に出来た事だろう。この先彼女が偏見に満ちたこのドラケン領で戦っていくためにはこれ以上ない結果になったのではないだろうか。
「おいおい、なんだこりゃあ?」
「おい、あれ、呪われた女共がいるぜ?」
そこへ無粋な冒険者パーティが近付いて来た。辺り一面焼け野原になっている状況に驚いたのと、ノワールとシェラさんの二人がいる事に対する嫌悪が言葉の刃となって飛んできた。
あの顔は見覚えがある。ダンジョン前で記帳しようと並んでいる時に侮辱した冒険者だ。
彼等にシェラさんが近付いていく。その姿には些かの恐れも見られない。当然か。あんな一山いくらの冒険者、殴り合いだって今のシェラさんには勝てないだろう。それに、マザートレントの精神世界での戦いで、ハートの強さも身に付けた。
「なんだぁ? なんか文句でもあんのか、この、呪われてる――ブワッ!?」
彼女を前にオラついている冒険者の言葉を遮り、シェラさんが魔力の弾をぶつける。あれは精神世界の中で使った爆裂魔法の応用かな? 爆裂まではさせなかったけど。
「な、なにしやが――」
いきなりの攻撃に、冒険者が剣を抜く。しかしそれよりも早くシェラさんが懐剣を抜いた。そしてその鞘を見せつけるように冒険者に語る。魔力を乗せた、かなりプレッシャーのある声色だ。
「この紋章が分かりますか?」
「そ、それはドラケン侯爵家の……」
「ええ、私はシェラ・ドラケン。その侯爵家の公女です。あなた方、中々に無礼な事を言ってくれましたね? 今ここで不敬罪で処刑してもいいですか?」
「ひ、ひぃ……」
ははは。まさか呪いの女と嘲った相手が領主代行をしていたシェラさんだったとは思わないだろうね。
「この事は冒険者ギルドを通してきつく抗議しておきますので。続けられるといいですね、冒険者」
その言葉を聞いた冒険者がガックリと項垂れた。
うんうん、ダンジョンに入る時とは違って、今のシェラさんは自信に満ち溢れている気がする。僕の精霊解放という目的も達成出来たし、ここドラケン領での仕事はほぼ完了かな。
彼女の眷属になるという闇精霊から詳細を聞く事が出来た。と言っても、ノワールのように会話が出来る訳ではなくて、意識をリンクさせて情報が伝達されると言った方がいいだろうか。
ノワールが四大精霊王によってウサギの中に封印された頃と前後して、下位精霊、中位精霊なども次々と確保されこの地に集められたという事だった。
そしてあの地下の空間に閉じ込められ、その直上にトレントが植え付けられ、ひたすらに魔力を吸われ続けていたという。そのトレントが長きに渡り魔力を吸い続けた結果、マザートレントというバケモノに進化してしまったと。
「君達を拉致してここに連れて来たのは四大精霊王達かい?」
いくつかの疑問を闇精霊にぶつけてみる。
「……」
闇精霊から伝わってくる思念によれば、答えはノーだ。精霊王どころか、見た目は人間だったという。何やら得体の知れない道具で精霊達を搔き集め、この場所に封じ込めた後、トレントを植え付けたのもその人間だというのだ。
「四大精霊王と連携して動いているようにも思えますね」
そう、シェラさんの言う通りだ。じゃあ、その人間とは何者なのか。そして精霊王達を操った黒幕と何か関係があるのか。かえって謎が増えた気がしないでもない。
あとは、外の世界にしかいないと言われていた魔物の存在。エレキテルバッファローだ。あんなものがなぜこのダンジョンにいたのか。
「まあ、その人間が今も生きているとは思えないし、この事は後回しにしようか。ヨシュア君も心配しているだろうから、地上に戻ろうか」
アーテルは僕達を信頼しているからそんなに心配はしていないと思うけど、ヨシュア君はかなり心配しているんじゃないかな?
「そうですね、私も少し疲れてしまいました。あはは……」
シェラさんも苦笑いだ。体感では数時間しか経っていないけど、現実とは合致しないのは影泳ぎの件で察しは付いている。
僕達は地上に出たところでノワールとの同化を解き、元の肉体へと戻った。その直後、心配していたヨシュア君が猛ダッシュでシェラさんを抱きしめに来たので、一同はそれを生温かく見守る。
どうやらマザートレントの中に突入してから丸一日以上経過していたらしい。それならヨシュア君の心配も頷けるかな。
△▼△
ヨシュア君も落ち着いたところで、僕達がマザートレントの中で見聞きした事を待っていた二人にも話して聞かせた。
ダンジョンコアを破壊した事で、この雑木林一帯の空気も清浄なものとなり、急な魔物のポップは警戒しなくてもいいだろう。ダンジョン化は解かれたんだ。
気になるノワールの索敵能力に対するジャミングも今は正常に戻っている。あれは闇属性の魔力を吸い続けたマザートレントが、自らの存在を隠蔽する為に起こしていたものらしい。同じ闇属性の魔力ゆえ、ノワールも欺かれてしまったという事かな。
「それでは生身の肉体を持ったままでは、このダンジョンを攻略するのは不可能だったという事になるね」
「そうだね。封じた闇属性の精霊達を絶対逃がさないという悪意を感じるよ」
半ば呆れたようにヨシュア君が言う。それに僕も同意した。
「まあとにかく、闇属性の精霊の多くが解放された。その精霊達によって新たな情報がもたらせるかも知れん」
「そうですね。アーテルの言う通りです。仲間の精霊、そして光属性の精霊達についても情報を集めさせましょう」
課題はまだ多く残っているけど、今は焦っても仕方がない。
それよりも重要な事は、ドラケン家の跡取りであるシェラさんが闇属性の加護を受け、更には精霊を眷属に出来た事だろう。この先彼女が偏見に満ちたこのドラケン領で戦っていくためにはこれ以上ない結果になったのではないだろうか。
「おいおい、なんだこりゃあ?」
「おい、あれ、呪われた女共がいるぜ?」
そこへ無粋な冒険者パーティが近付いて来た。辺り一面焼け野原になっている状況に驚いたのと、ノワールとシェラさんの二人がいる事に対する嫌悪が言葉の刃となって飛んできた。
あの顔は見覚えがある。ダンジョン前で記帳しようと並んでいる時に侮辱した冒険者だ。
彼等にシェラさんが近付いていく。その姿には些かの恐れも見られない。当然か。あんな一山いくらの冒険者、殴り合いだって今のシェラさんには勝てないだろう。それに、マザートレントの精神世界での戦いで、ハートの強さも身に付けた。
「なんだぁ? なんか文句でもあんのか、この、呪われてる――ブワッ!?」
彼女を前にオラついている冒険者の言葉を遮り、シェラさんが魔力の弾をぶつける。あれは精神世界の中で使った爆裂魔法の応用かな? 爆裂まではさせなかったけど。
「な、なにしやが――」
いきなりの攻撃に、冒険者が剣を抜く。しかしそれよりも早くシェラさんが懐剣を抜いた。そしてその鞘を見せつけるように冒険者に語る。魔力を乗せた、かなりプレッシャーのある声色だ。
「この紋章が分かりますか?」
「そ、それはドラケン侯爵家の……」
「ええ、私はシェラ・ドラケン。その侯爵家の公女です。あなた方、中々に無礼な事を言ってくれましたね? 今ここで不敬罪で処刑してもいいですか?」
「ひ、ひぃ……」
ははは。まさか呪いの女と嘲った相手が領主代行をしていたシェラさんだったとは思わないだろうね。
「この事は冒険者ギルドを通してきつく抗議しておきますので。続けられるといいですね、冒険者」
その言葉を聞いた冒険者がガックリと項垂れた。
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