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AD1189
17話 怒らせると怖い子
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「我が愛剣エクスカリバーと共に、お前に従う事に決めたぞ! 存分に使ってくれ!」
「儂も共に行かせてもらおう。相棒はこのシャムシール。名はジハードじゃ」
アパッチから降りた三戸に近付いて来た二人が、いきなりの共闘宣言をしてきた。なぜこうなったか分からない三戸は怪訝な顔をするしかできずにいる。
「ミト殿はこの二人に認められたという事だ」
関羽がそんな事を言うが、だから何故そうなったか分からないんだよ、と心の中で突っ込む三戸。そんな彼を、可笑しそうに口を手で隠し、笑いを堪えながら見ているジャンヌ。
「ぬ? 余とエクスカリバーの力では不足と申すか?」
アパッチの中からリチャード一世やサラディンの戦いぶりは見ている。三戸はひらひらと手を振りながら答えた。
「いやいや、そうじゃない。何故あんた達に認められたのか分からないのが一つ。それからもう一つがそのエクスカリバーだ」
今度は逆にリチャード一世が分からない。あのような超火力の空飛ぶ鉄の箱を出し、魔物を殲滅したではないか、と。
それが三戸の相棒の能力であれば、それすなわち三戸の力ではないか、と。
さらに、イングランド王家を継承する自分がエクスカリバーを持っていて、何か問題があるのか、と。
「いや、俺の認識違いかも知れないが、リチャード王、あんたの時代の王家はフランス貴族を祖としているんじゃなかったか?」
「如何にも」
「それなら、アーサー王が実在していたとしても血統的には無関係だよな? なぜエクスカリバーなんだ?」
「それは余がイングランド王だからだ!」
身も蓋もなかった。血統など無意味。イングランドを統治していたその事実のみが重要。ならば自分が愛剣をエクスカリバーと呼称していたとて何の不思議があろうか。リチャード一世のドヤ顔が言葉よりも雄弁にそれを語っていた。
腰に手を当て胸を張るその偉丈夫が着こんでいる白いサーコートには、誇らしげに赤い十字が染め抜かれている。それは、イングランドの英雄たるアーサー王の後継者は自分だと主張しているかの様だった。
「こやつはこういう男でな。諦めることじゃ。じゃが露払いぐらいには使えるじゃろう」
サラディンの言葉に、ビキビキと青筋を立てるリチャード一世。
「爺いが言うではないか。今度こそ叩きのめしてやっても良いのだぞ?」
「ふん! 爺い呼ばわりされる歳ではないぞ? まだまだ若々しい事を、己の無駄にデカい体に教えてしんぜようかの?」
どうにもバトルマニアとはこういった生き物らしい。その瞬間、スッと両者の間に銀色が割って入る。両手には拳銃が握られており、銃口は額に突き付けられていた。
(ひゅう! 目で追うのがやっとだったな!)
その一瞬の動きに三戸が感心している。
「お二人とも、つまらない事でマスターのお手を煩わせないでいただけますか?」
怖い。この場にいた全員が内股になるほどの殺気だった。魔物との戦闘時すら余裕があるアンジーが、本気で怒るとここまで怖い。
「アンジー、引け。二人ともそこまで本気じゃないんだよ。様式美と言うか……この二人はこういったやり取り無しじゃあ、きっと飯も食えないし夜も眠れないのさ」
三戸が苦笑を浮かべながらそう言うと、リチャード一世とサラディンも、焦った様子で同意する。
「そ、そうなのだ、アンジー嬢!」
「うむ! 挨拶じゃ挨拶!」
二人にそれぞれジロリと一瞥をくれた後、アンジーは両手は降ろして謝罪した。
「これは勘違いをしたようで申し訳ありませんでした。ですが今後、紛らわしい真似は御遠慮下さいね? 私もうっかりトリガーを引いてしまうかも知れませんので」
銀の美少女の氷の微笑。
「う、うむ! うむ! 承知したのだぞ!」
「儂もしっかりと心に刻みつけたのじゃ!」
それにしても、なぜアンジーはこの二人に対しては感情を剥き出しにするのだろうかと、三戸は疑問に思う。
ジャンヌや関羽は、三戸に対して一定の敬意のようなものは感じられるが、特にへりくだっている訳ではない。戦時の指揮は三戸に任せる事が多いが、どう考えても対等の関係であるように三戸には思えた。
対してリチャード一世とサラディンはどうだろう? 言葉尻や態度からは確かに三戸を軽視しているような部分もあるかも知れない。しかし彼等は王なのだ。一般人の、しかも自分よりも相当若い(見た目は)小僧に対して十分すぎる程に認めて、対等に接している。
(王に対してタメ口きいてるのって俺の方なんだけどな。仕方ない、少し釘を刺しておくか)
「アンジー、この二人は本来は王様だ。俺みたいなのが軽々しく話ができるような人達じゃないんだよ。それがどうだ? この二人はまるで友に接する様に、俺にも気安く接するだろう? この二人なりに俺の事を認めてくれてるのさ」
「そ、その通りなのだぞ! アンジー嬢!」
「うむっ! そう言う訳じゃから、あんまり儂らを毛嫌いせんでもらえるかの? の?」
失点分を挽回させようと必死な二人の姿は些か滑稽ではあったが、先程のアンジーの殺気が自分に向けられていたらと思うと背筋が寒くなる。アンジーが構えていたのは拳銃だったが、銃口を向けられていた側はファントムの機関砲でも向けられていたかのようなプレッシャーだったのではないか。
「私とした事がっ……マスターの事になるとつい熱くなってしまいまして……申し訳ありませんでしたっ!」
顔を真っ赤にしながら必死に謝罪するアンジーはとても可愛らしかったが、くるりと振り返り三戸に向かいツカツカと歩みよると真面目な顔でこう言った。
「マスター! 私、ばとるまにあという人種の思考は理解不能なのです! 詳しくレクチャーをお願いしますっ! 詳しくですっ!」
俺に言われてもな――
三戸はそう思った。
「儂も共に行かせてもらおう。相棒はこのシャムシール。名はジハードじゃ」
アパッチから降りた三戸に近付いて来た二人が、いきなりの共闘宣言をしてきた。なぜこうなったか分からない三戸は怪訝な顔をするしかできずにいる。
「ミト殿はこの二人に認められたという事だ」
関羽がそんな事を言うが、だから何故そうなったか分からないんだよ、と心の中で突っ込む三戸。そんな彼を、可笑しそうに口を手で隠し、笑いを堪えながら見ているジャンヌ。
「ぬ? 余とエクスカリバーの力では不足と申すか?」
アパッチの中からリチャード一世やサラディンの戦いぶりは見ている。三戸はひらひらと手を振りながら答えた。
「いやいや、そうじゃない。何故あんた達に認められたのか分からないのが一つ。それからもう一つがそのエクスカリバーだ」
今度は逆にリチャード一世が分からない。あのような超火力の空飛ぶ鉄の箱を出し、魔物を殲滅したではないか、と。
それが三戸の相棒の能力であれば、それすなわち三戸の力ではないか、と。
さらに、イングランド王家を継承する自分がエクスカリバーを持っていて、何か問題があるのか、と。
「いや、俺の認識違いかも知れないが、リチャード王、あんたの時代の王家はフランス貴族を祖としているんじゃなかったか?」
「如何にも」
「それなら、アーサー王が実在していたとしても血統的には無関係だよな? なぜエクスカリバーなんだ?」
「それは余がイングランド王だからだ!」
身も蓋もなかった。血統など無意味。イングランドを統治していたその事実のみが重要。ならば自分が愛剣をエクスカリバーと呼称していたとて何の不思議があろうか。リチャード一世のドヤ顔が言葉よりも雄弁にそれを語っていた。
腰に手を当て胸を張るその偉丈夫が着こんでいる白いサーコートには、誇らしげに赤い十字が染め抜かれている。それは、イングランドの英雄たるアーサー王の後継者は自分だと主張しているかの様だった。
「こやつはこういう男でな。諦めることじゃ。じゃが露払いぐらいには使えるじゃろう」
サラディンの言葉に、ビキビキと青筋を立てるリチャード一世。
「爺いが言うではないか。今度こそ叩きのめしてやっても良いのだぞ?」
「ふん! 爺い呼ばわりされる歳ではないぞ? まだまだ若々しい事を、己の無駄にデカい体に教えてしんぜようかの?」
どうにもバトルマニアとはこういった生き物らしい。その瞬間、スッと両者の間に銀色が割って入る。両手には拳銃が握られており、銃口は額に突き付けられていた。
(ひゅう! 目で追うのがやっとだったな!)
その一瞬の動きに三戸が感心している。
「お二人とも、つまらない事でマスターのお手を煩わせないでいただけますか?」
怖い。この場にいた全員が内股になるほどの殺気だった。魔物との戦闘時すら余裕があるアンジーが、本気で怒るとここまで怖い。
「アンジー、引け。二人ともそこまで本気じゃないんだよ。様式美と言うか……この二人はこういったやり取り無しじゃあ、きっと飯も食えないし夜も眠れないのさ」
三戸が苦笑を浮かべながらそう言うと、リチャード一世とサラディンも、焦った様子で同意する。
「そ、そうなのだ、アンジー嬢!」
「うむ! 挨拶じゃ挨拶!」
二人にそれぞれジロリと一瞥をくれた後、アンジーは両手は降ろして謝罪した。
「これは勘違いをしたようで申し訳ありませんでした。ですが今後、紛らわしい真似は御遠慮下さいね? 私もうっかりトリガーを引いてしまうかも知れませんので」
銀の美少女の氷の微笑。
「う、うむ! うむ! 承知したのだぞ!」
「儂もしっかりと心に刻みつけたのじゃ!」
それにしても、なぜアンジーはこの二人に対しては感情を剥き出しにするのだろうかと、三戸は疑問に思う。
ジャンヌや関羽は、三戸に対して一定の敬意のようなものは感じられるが、特にへりくだっている訳ではない。戦時の指揮は三戸に任せる事が多いが、どう考えても対等の関係であるように三戸には思えた。
対してリチャード一世とサラディンはどうだろう? 言葉尻や態度からは確かに三戸を軽視しているような部分もあるかも知れない。しかし彼等は王なのだ。一般人の、しかも自分よりも相当若い(見た目は)小僧に対して十分すぎる程に認めて、対等に接している。
(王に対してタメ口きいてるのって俺の方なんだけどな。仕方ない、少し釘を刺しておくか)
「アンジー、この二人は本来は王様だ。俺みたいなのが軽々しく話ができるような人達じゃないんだよ。それがどうだ? この二人はまるで友に接する様に、俺にも気安く接するだろう? この二人なりに俺の事を認めてくれてるのさ」
「そ、その通りなのだぞ! アンジー嬢!」
「うむっ! そう言う訳じゃから、あんまり儂らを毛嫌いせんでもらえるかの? の?」
失点分を挽回させようと必死な二人の姿は些か滑稽ではあったが、先程のアンジーの殺気が自分に向けられていたらと思うと背筋が寒くなる。アンジーが構えていたのは拳銃だったが、銃口を向けられていた側はファントムの機関砲でも向けられていたかのようなプレッシャーだったのではないか。
「私とした事がっ……マスターの事になるとつい熱くなってしまいまして……申し訳ありませんでしたっ!」
顔を真っ赤にしながら必死に謝罪するアンジーはとても可愛らしかったが、くるりと振り返り三戸に向かいツカツカと歩みよると真面目な顔でこう言った。
「マスター! 私、ばとるまにあという人種の思考は理解不能なのです! 詳しくレクチャーをお願いしますっ! 詳しくですっ!」
俺に言われてもな――
三戸はそう思った。
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