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AD1189
19話 難民救出作戦
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エルサレム市街を出て、アンジーの帰還を待つ一同の視線が上空の煌めきを捉え、目線とはズレた位置から聞こえるジェットエンジンの音を聞く。
アンジーが音速を超えて飛んできたという事態に、嫌な予感が三戸の頭をよぎる。
「ただいま帰還しました、マスター!」
銀髪を靡かせ垂直に、ゆっくりと降下してきたアンジーの頭を、三戸はポフポフして労ってやる。
「えへへ……」
「で、どうだった?」
「はい! かなりの規模の難民がキャンプを形成しています。現状は大きな混乱は見受けられませんでしたが……」
言い淀むようにやや間を置くアンジーの態度に、ジャンヌも嫌な予感がしたのだろう。
「どうしたの? マズイ事態?」
「……はい。死海上空に魔界の穴が出現していました」
(魔界の穴が移動したってのか? なんだよそりゃ! 自由すぎんだろ!)
心の中で毒づく三戸だが、状況は非常に良くない。難民となった住人達は、目的としている死海方面に魔界の穴が出現した事を知らないだろう。折角エルサレムを放棄してまで逃げ延びようとしているのに、その先には魔物が待っているのだ。
「……急ぐぞ。アンジー。基地防空用SAMを二台出してくれ。分乗していくぞ。一台はお前が運転してくれ」
「はい! ではジャンヌ様、関羽様、こちらへ!」
さりげなく脳筋二人を除外したアンジーの姿を見て、頬を緩ませる三戸。
「じゃあむさ苦しい二人はこっちだな。早く乗ってくれ。ブッ飛ばして行くぞ!」
「むさ苦しい……?」
「儂ら、嫌われておるのう……」
ブツブツ文句を言いながらも乗り込んで来るリチャード一世とサラディンだが、いざ走り始めると好奇心に輝く少年のような瞳になる。
「うおおお! この鉄の馬車は馬もなしにこんなに速く走るのか!」
「ほっほっほ、これは愉快じゃの。癖になるわい!」
(戦闘狂はスピード狂でもあったってか。全く、いい歳して心はガキのまんまか)
車のスピードにはしゃぐ二人を見て三戸は苦笑するが、自分も飛行機に初めて乗った時の事を思えば人の事は笑えない。年甲斐もなく気持ちが高揚したのを昨日のように覚えている。
三戸は難民の位置は知らされていないので、アンジーの車を先行させて追従している形だが、アンジーから無線連絡が入る。
『マスター、レーダー画像を念送します』
『念送』とは、三戸とアンジーの間で便宜的に使用している単語で、アンジーの入手した情報を直接三戸の脳内や網膜に伝達する方法の事である。本来ならば、無線機など使わなくてもテレパシーのようなもので会話すら可能なのだが、敢えて無線による会話を選択したという事は、同乗者にも情報を開示した方が良いとの判断なのだろう。
「なるほど……」
「何か動きがあったかの?」
「うむ。そろそろ出番であるか?」
「ああ。出番だな。どうやら魔物が湧きだして難民キャンプへ向かって動き出したみたいだ。少し作戦を練ろう」
耳聡く無線の会話を聞いていた二人そう告げると、三戸は無線機でアンジーに連絡した。
「難民キャンプに敵を通さないように防衛線を張ろう。その場に集合して作戦会議だ。アンジー、場所の選定は任せる」
『はいっ! お任せ下さい、マスター!!』
「おーおー、お主にはデレデレじゃのう。この果報者めが」
「ふん、爺の癖に妬いておるか」
「ほっほ、お主と違ってまだ枯れてはおらぬでな」
また始まったか、とややうんざりしながら二人のやり取りを聞いていた三戸だが、前を走るアンジーの車がスピードダウンしてきたのを見て、好機とばかりに二人を諫める。
「もうすぐ作戦会議の場所に到着するぞ? あんたらもいい加減大人にならねえとアンジーに刺されるぞ?」
「うっ……」
「あの娘には敵わんわい……」
すっかりアンジーに苦手意識を植え込まれた二人が大人しくなった丁度その時、アンジーが停車した。
「なるほど、ここか」
アンジーが選んだ場所は、遥か東に死海を望む高台。ここなら迫る魔物の群れを一望できるし、後方の難民キャンプを襲う為にはこの高台に築いた防衛線を突破しなければならない。後は自分達が不退転の覚悟で戦うだけだ。
「いい場所じゃないか、アンジー。遮蔽物もないし、俺達の火力が存分に生かされるな」
「えへへ~、ありがとうございますっ! ここにいっぱい火砲並べてしまいますね!」
三戸に褒められて、本当に嬉しそうに微笑むアンジーの愛くるしさに一同蕩けそうになるが、ドッコンドッコンとCWISやらミサイル類やらを鼻歌まじりに並べて行く姿を見て顔を引き攣らせる。
「あー、設置の方はアンジーに任せて、こっちは作戦会議と行こう。折角メンバーも増えた事だし、今回は二面作戦を提案する」
三戸の提案に一同が興味を引かれた。
アンジーが音速を超えて飛んできたという事態に、嫌な予感が三戸の頭をよぎる。
「ただいま帰還しました、マスター!」
銀髪を靡かせ垂直に、ゆっくりと降下してきたアンジーの頭を、三戸はポフポフして労ってやる。
「えへへ……」
「で、どうだった?」
「はい! かなりの規模の難民がキャンプを形成しています。現状は大きな混乱は見受けられませんでしたが……」
言い淀むようにやや間を置くアンジーの態度に、ジャンヌも嫌な予感がしたのだろう。
「どうしたの? マズイ事態?」
「……はい。死海上空に魔界の穴が出現していました」
(魔界の穴が移動したってのか? なんだよそりゃ! 自由すぎんだろ!)
心の中で毒づく三戸だが、状況は非常に良くない。難民となった住人達は、目的としている死海方面に魔界の穴が出現した事を知らないだろう。折角エルサレムを放棄してまで逃げ延びようとしているのに、その先には魔物が待っているのだ。
「……急ぐぞ。アンジー。基地防空用SAMを二台出してくれ。分乗していくぞ。一台はお前が運転してくれ」
「はい! ではジャンヌ様、関羽様、こちらへ!」
さりげなく脳筋二人を除外したアンジーの姿を見て、頬を緩ませる三戸。
「じゃあむさ苦しい二人はこっちだな。早く乗ってくれ。ブッ飛ばして行くぞ!」
「むさ苦しい……?」
「儂ら、嫌われておるのう……」
ブツブツ文句を言いながらも乗り込んで来るリチャード一世とサラディンだが、いざ走り始めると好奇心に輝く少年のような瞳になる。
「うおおお! この鉄の馬車は馬もなしにこんなに速く走るのか!」
「ほっほっほ、これは愉快じゃの。癖になるわい!」
(戦闘狂はスピード狂でもあったってか。全く、いい歳して心はガキのまんまか)
車のスピードにはしゃぐ二人を見て三戸は苦笑するが、自分も飛行機に初めて乗った時の事を思えば人の事は笑えない。年甲斐もなく気持ちが高揚したのを昨日のように覚えている。
三戸は難民の位置は知らされていないので、アンジーの車を先行させて追従している形だが、アンジーから無線連絡が入る。
『マスター、レーダー画像を念送します』
『念送』とは、三戸とアンジーの間で便宜的に使用している単語で、アンジーの入手した情報を直接三戸の脳内や網膜に伝達する方法の事である。本来ならば、無線機など使わなくてもテレパシーのようなもので会話すら可能なのだが、敢えて無線による会話を選択したという事は、同乗者にも情報を開示した方が良いとの判断なのだろう。
「なるほど……」
「何か動きがあったかの?」
「うむ。そろそろ出番であるか?」
「ああ。出番だな。どうやら魔物が湧きだして難民キャンプへ向かって動き出したみたいだ。少し作戦を練ろう」
耳聡く無線の会話を聞いていた二人そう告げると、三戸は無線機でアンジーに連絡した。
「難民キャンプに敵を通さないように防衛線を張ろう。その場に集合して作戦会議だ。アンジー、場所の選定は任せる」
『はいっ! お任せ下さい、マスター!!』
「おーおー、お主にはデレデレじゃのう。この果報者めが」
「ふん、爺の癖に妬いておるか」
「ほっほ、お主と違ってまだ枯れてはおらぬでな」
また始まったか、とややうんざりしながら二人のやり取りを聞いていた三戸だが、前を走るアンジーの車がスピードダウンしてきたのを見て、好機とばかりに二人を諫める。
「もうすぐ作戦会議の場所に到着するぞ? あんたらもいい加減大人にならねえとアンジーに刺されるぞ?」
「うっ……」
「あの娘には敵わんわい……」
すっかりアンジーに苦手意識を植え込まれた二人が大人しくなった丁度その時、アンジーが停車した。
「なるほど、ここか」
アンジーが選んだ場所は、遥か東に死海を望む高台。ここなら迫る魔物の群れを一望できるし、後方の難民キャンプを襲う為にはこの高台に築いた防衛線を突破しなければならない。後は自分達が不退転の覚悟で戦うだけだ。
「いい場所じゃないか、アンジー。遮蔽物もないし、俺達の火力が存分に生かされるな」
「えへへ~、ありがとうございますっ! ここにいっぱい火砲並べてしまいますね!」
三戸に褒められて、本当に嬉しそうに微笑むアンジーの愛くるしさに一同蕩けそうになるが、ドッコンドッコンとCWISやらミサイル類やらを鼻歌まじりに並べて行く姿を見て顔を引き攣らせる。
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