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AD1855
40話 具現化の謎
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「へえ、すごいじゃないか! あとは中で暮らす人達の利便性とかも考えて、調整しなくちゃな!」
三戸はリチャードとサラディンが造営した六芒星型の防壁を見て、感心していた。しかし、この防壁には大きな穴があったのだ。いや、ある意味『穴』がないのが大問題で。
苦笑しながらの三戸のコメントに首を傾げるリチャードとサラディン。
「あのな、二人とも。これじゃあ防壁の中と外、出入りできないだろ?」
「「あ……!」」
外部からの攻撃に備える事ばかりに意識を集中するあまり、出入口を作るのを失念していたのである。これではまるで巨大な監獄だ。
しかし、三戸は二人の発想に唸っていた。外側に向けて傾斜している防壁のおかげで、四方を囲まれてはいるがそれ程の圧迫感は感じられない。巨大なすり鉢の底にいるような感じだろうか。空が開けて見えるだけで、随分と開放的だ。
それからこの六芒星型にした意味、である。突き出した六つ三角形のエリアには、それぞれciwsと見張り台を配置しており、全周囲にスキがない。関羽やジャンヌの話では、魔物も瘴気弾を発射する遠距離攻撃を使ってくるようになったそうだが、そうなると、攻め寄せてくる魔物に対してアンジーの火器で先制打撃を与えられるというのはとても重要になってくる。
つまり、この防壁の設計思想は、アンジーの能力も考慮されているという事だ。もしも自分ならば、と三戸は考える。
(俺なら、普通に壁で囲っておしまい、って感じだったろうな)
そう、脳筋で脳筋でバトルマニアで脳筋だと思っていた彼らが、意外にも柔軟な発想を持っていた事に脱帽だった。
(まあ、出入口作らねえあたりが脳筋なんだけどな)
そう思いながら頬を緩める三戸の耳に、アンジーの剣呑な声がが聞こえてきた。
「リチャード様!」
「な、なんであろうか?」
早く出入口を作れ、そういう事だろう。アンジーが有無を言わせずリチャードを引き摺っていく。確かに地形操作の能力を持つリチャードにしかできない事だ。
「おーいアンジー! 程々にな!」
「はーい、マスター!」
一応手加減するよう釘を刺す三戸に、満面の笑顔で手を振りながら返してくるアンジー。そしてそれを見てホッとしているサラディン。
「何ホッとしてんだよ。一緒にやってたんだからあんたも同罪だぞ? 今のうちに一緒に行って謝ってたほうがいいんじゃないか?」
「そ、そうじゃの!」
サラディンが慌てて二人を追いかけていく。また傍らで談笑していたナイチンゲールとジャンヌ、関羽達が近付いてきた。
「アンジーもサラディン殿達には厳しいのね」
ジャンヌがクスクス笑いながらそう言えば、
「これだけの防壁を短時間で造り上げたのだ。もう少し労ってもよかろうに」
関羽も苦笑だ。
「あいつら、調子に乗りそうなタイプだからな。このくらいが丁度いいんだと思うぜ?」
「そうだな。締めるところは締める。アンジーも中々心得ているよ。彼らの『相棒』が具現化して、その役目を負ってくれればよいのだがな」
そうかと思えば、赤いオウム姿のブリューナクと青龍が、アンジーの行動を肯定する発言をする。三戸はそれを聞いて思ったのだが、この二人の相棒は、自分とアンジーほどには主従関係がはっきりしていない。本当の意味での相棒のように、必要以上の敬意は払っていないように見える。
アンジーは常に自分を立て従順に従うが、ブリューナクも青龍もそんな事はなさそうだ。その事について二人に聞いてみた。
「ああ、その事か。何つったらいいかなー。ジャンヌはまだ俺を屈服させてねえんだよ、ミト様とアンジーの関係と違って」
「屈服?」
三戸はブリューナクの発言に首を傾げた。
「つまりは、ジャンヌ様も雲長も、我々の真の力を使いこなせていないというですよ、ミト様」
「?」
青龍の言葉を聞いて、益々分からなくなる。
「それは、具現化と関係があるのですか?」
今まで黙って聞いていたナイチンゲールが二人に訊ねた。この二人の具現化の条件が分かれば、いずれは自分のドクターも、さらにはリチャードとサラディンのエクスカリバー、ジハードも具現化させられる目途が立つかも知れない。そう思ったのだろう。
三戸としても、なぜ自分のアンジーだけが初めから人型であったのか。ブリューナクと青龍の言葉を信じるなら、自分はアンジーの力を全て使いこなしていた事になるが、果たして本当にそうだろうか。そんな疑問が渦巻く。
「そこらへんは俺達にもよく分からねえかな。でも、具現化したおかげでこうしてより細やかな意思疎通ができるようになった。だからこそ、ジャンヌがまだ知らない俺の能力を伝える事ができるんだ」
「うむ。今まではどちらかと言えば、私が雲長に力を貸してやっていた。だが、見事私を使いこなして見せたなら、その時こそ私の全てを雲長に捧げよう」
三戸達のように主従関係が明確になっていないのは、今だ二人が相棒の秘められた力を開放できていないため。しかし、その力を開放するためには具現化が必要だと。ではこの先の課題は具現化の条件の洗い出しという事になる。
「戦力アップの為にも、具現化条件、分かるといいな」
仕事を終えてアンジーに引き摺って来られるリチャードとサラディンを見ながら、三戸がそう呟いた。
三戸はリチャードとサラディンが造営した六芒星型の防壁を見て、感心していた。しかし、この防壁には大きな穴があったのだ。いや、ある意味『穴』がないのが大問題で。
苦笑しながらの三戸のコメントに首を傾げるリチャードとサラディン。
「あのな、二人とも。これじゃあ防壁の中と外、出入りできないだろ?」
「「あ……!」」
外部からの攻撃に備える事ばかりに意識を集中するあまり、出入口を作るのを失念していたのである。これではまるで巨大な監獄だ。
しかし、三戸は二人の発想に唸っていた。外側に向けて傾斜している防壁のおかげで、四方を囲まれてはいるがそれ程の圧迫感は感じられない。巨大なすり鉢の底にいるような感じだろうか。空が開けて見えるだけで、随分と開放的だ。
それからこの六芒星型にした意味、である。突き出した六つ三角形のエリアには、それぞれciwsと見張り台を配置しており、全周囲にスキがない。関羽やジャンヌの話では、魔物も瘴気弾を発射する遠距離攻撃を使ってくるようになったそうだが、そうなると、攻め寄せてくる魔物に対してアンジーの火器で先制打撃を与えられるというのはとても重要になってくる。
つまり、この防壁の設計思想は、アンジーの能力も考慮されているという事だ。もしも自分ならば、と三戸は考える。
(俺なら、普通に壁で囲っておしまい、って感じだったろうな)
そう、脳筋で脳筋でバトルマニアで脳筋だと思っていた彼らが、意外にも柔軟な発想を持っていた事に脱帽だった。
(まあ、出入口作らねえあたりが脳筋なんだけどな)
そう思いながら頬を緩める三戸の耳に、アンジーの剣呑な声がが聞こえてきた。
「リチャード様!」
「な、なんであろうか?」
早く出入口を作れ、そういう事だろう。アンジーが有無を言わせずリチャードを引き摺っていく。確かに地形操作の能力を持つリチャードにしかできない事だ。
「おーいアンジー! 程々にな!」
「はーい、マスター!」
一応手加減するよう釘を刺す三戸に、満面の笑顔で手を振りながら返してくるアンジー。そしてそれを見てホッとしているサラディン。
「何ホッとしてんだよ。一緒にやってたんだからあんたも同罪だぞ? 今のうちに一緒に行って謝ってたほうがいいんじゃないか?」
「そ、そうじゃの!」
サラディンが慌てて二人を追いかけていく。また傍らで談笑していたナイチンゲールとジャンヌ、関羽達が近付いてきた。
「アンジーもサラディン殿達には厳しいのね」
ジャンヌがクスクス笑いながらそう言えば、
「これだけの防壁を短時間で造り上げたのだ。もう少し労ってもよかろうに」
関羽も苦笑だ。
「あいつら、調子に乗りそうなタイプだからな。このくらいが丁度いいんだと思うぜ?」
「そうだな。締めるところは締める。アンジーも中々心得ているよ。彼らの『相棒』が具現化して、その役目を負ってくれればよいのだがな」
そうかと思えば、赤いオウム姿のブリューナクと青龍が、アンジーの行動を肯定する発言をする。三戸はそれを聞いて思ったのだが、この二人の相棒は、自分とアンジーほどには主従関係がはっきりしていない。本当の意味での相棒のように、必要以上の敬意は払っていないように見える。
アンジーは常に自分を立て従順に従うが、ブリューナクも青龍もそんな事はなさそうだ。その事について二人に聞いてみた。
「ああ、その事か。何つったらいいかなー。ジャンヌはまだ俺を屈服させてねえんだよ、ミト様とアンジーの関係と違って」
「屈服?」
三戸はブリューナクの発言に首を傾げた。
「つまりは、ジャンヌ様も雲長も、我々の真の力を使いこなせていないというですよ、ミト様」
「?」
青龍の言葉を聞いて、益々分からなくなる。
「それは、具現化と関係があるのですか?」
今まで黙って聞いていたナイチンゲールが二人に訊ねた。この二人の具現化の条件が分かれば、いずれは自分のドクターも、さらにはリチャードとサラディンのエクスカリバー、ジハードも具現化させられる目途が立つかも知れない。そう思ったのだろう。
三戸としても、なぜ自分のアンジーだけが初めから人型であったのか。ブリューナクと青龍の言葉を信じるなら、自分はアンジーの力を全て使いこなしていた事になるが、果たして本当にそうだろうか。そんな疑問が渦巻く。
「そこらへんは俺達にもよく分からねえかな。でも、具現化したおかげでこうしてより細やかな意思疎通ができるようになった。だからこそ、ジャンヌがまだ知らない俺の能力を伝える事ができるんだ」
「うむ。今まではどちらかと言えば、私が雲長に力を貸してやっていた。だが、見事私を使いこなして見せたなら、その時こそ私の全てを雲長に捧げよう」
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