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AD1855
62話 ヘキサゴン大攻防戦⑤
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「まさか馬だったとはな……しかし、相棒とは人型をしておるものだと思ったぞ――いだぃっ!」
感慨深げにエクスカリバーを撫でようとしたリチャードの左手に、エクスカリバーが噛みついた。
「慣れ慣れしくするのはお前が十全に力を使いこなしてからにするのだな」
「ぐぬぬぬぬ……」
「それから、私は馬ではない。お前が理解しやすいように、この姿になっただけだ」
「ぬ?」
目の前の馬が、自分は馬ではないと言う。リチャードでなくても首を傾げたくなる話だが、真面目くさった表情(に見える)でエクスカリバーは続けた。
「土の属性を持つ私に、エクスカリバーと名付けたのはまあ正解だ。あの伝説の剣の本質は『守り』にあるのは知っているだろう?」
「うむ。その鞘があれば傷付く事なく、不死身になれるという伝説であったな」
「そうだ。私の土を自在に操る能力は、エクスカリバーの鞘の能力を補完するものだと言っていいだろう」
何となく分かってはいた。地形操作はこういった防衛戦に真価を発揮する。雑魚相手には無双できても、大物相手には決め手が少ない。大地を割って敵を落とす。あるいは土や岩を硬化させ、形状を変えて攻撃する。はたしてその手段がどこまで通用するか。
「だが、私は伝説のエクスカリバーではない。敵を倒す為に作られたもの。お前の気性とてそうだろう? 立場とその能力から受け身に回る場合が多いようだが、本来は突撃して大暴れしたい。そのはずだ」
「……」
「そしてお前の本当の力は、突撃に特化したものなのだ」
リチャードはエクスカリバーの話を聞きながら、頭の中で考えを纏めていた。
今まで自分の能力として使っていた地形操作が、自分のものではなかった事。本来の自分の力は突撃に秀でたものである事。エクスカリバーが馬の姿で現れたこと。
「馬……突撃……まさか、余の能力とは騎馬突撃か!?」
「惜しいが違う。戦車を知っているか?」
「うむ。すでに廃れて久しいが、馬で車を引き、車から矢を射るアレであろう?」
「そうだ。あとはお前がそのイメージをどこまで昇華させることが出来るか。そうさな……ミト様の車などは中々参考になる」
三戸の車と聞いて、リチャードは今まで見た車両を思い起こす。高機動車。7tトラック。LAV。ガンタンク……
どれも突撃というならかなり強そうだ。機銃を撃ちながらの突撃などは戦車に通じるものがある。しかし、突撃をぶちかますならば、もっと鋭角的な……そう、船の船首にある衝角のような……
(船首の突き出した部分が衝角。突っ込んで敵船にダメージを与えるのが目的)
「ほう、衝角を思い浮かべたか。中々良いイメージ力をしている」
文字通りの馬面のエクスカリバーが、口角を吊り上げた。
また、リチャードは突撃の威力、火力、装甲……様々の状況を思い浮かべ、さらに自分なりの戦車をイメージしていく。それそのものが自分の能力であるためか、次々とイメージが湧いてくる。思わず笑みを零すリチャード。
「どうやら固まったようだな。そのイメージを私と共有しろ。媒体はその手にしている『エクスカリバー』だ」
その言葉を聞いたリチャードは、剣の切っ先を目の前の黒馬に向ける。
「貴様の力と余の力、存分に魔物共に見せつけてやろうぞ!」
その口は弧を描き、瞳は蘭々と輝いている。
「ふん。失望させるなよ?」
黒馬エクスカリバーは軽く憎まれ口を叩き、剣の中へと宿っていった。
「ふふ。さて……」
リチャードを覆っていた土のドームが崩れていく。
中から現れたリチャードは、姿形こそ変化はないが、纏う気迫というかオーラというか、敵に与えるプレッシャーが段違いになっている。それは防壁上から迎撃を再開していた三戸やアンジーにもすぐに分かった。
「へええ、凄いな」
「どうやらリチャード様も覚醒されたみたいですねっ!」
三戸は防壁上の兵士達に、味方に当てないように指示をだしつつも、注意深くリチャードの様子を見つめている。
すると、リチャードの足元に動きが見られた。リチャードの全身を土が覆うように集まっていく。土が硬化して彼のアーマーとなっているかのようだ。しかも、全身に棘があり、その姿はハリネズミを思わせる。
「防御力を上げた? でもそれだけじゃなさそうだが……」
しかし、三戸が見ている間にも変化は続いていた。リチャードの足下の土がサーフボードのように変化していき、さらにそれが小舟のようになる。その土の小舟の選手には長く鋭く尖った衝角が突き出しており、さらに全方位にリチャードと同じようにハリネズミのような棘がある。しかもご丁寧に、その『小舟』の中央には座席まで形作られており、リチャードはどっかりとそれに跨った。
「では、行くぞ、エクスカリバーよ!」
リチャードが剣を振りかざす。すると、地形操作の効果なのか、『小舟』が地面を滑りだし、どんどん加速していく。だがそれだけではない。ハリネズミのように突き出した棘がまるでミサイルのように全方向へ発射されるのだ。
一度に多数の魔物を穿ちながら、縦横無尽に走り回るその姿を見て三戸が呟く。
「ははは。まるで戦車だな。タンクじゃなくてチャリオットの方だがな」
地形操作を応用した高速移動と、三戸達が持ち込んだ銃にも勝るとも劣らない土を硬化させたミサイル。今まで受けと守りに特化していたリチャードが己を解放した姿だった。
感慨深げにエクスカリバーを撫でようとしたリチャードの左手に、エクスカリバーが噛みついた。
「慣れ慣れしくするのはお前が十全に力を使いこなしてからにするのだな」
「ぐぬぬぬぬ……」
「それから、私は馬ではない。お前が理解しやすいように、この姿になっただけだ」
「ぬ?」
目の前の馬が、自分は馬ではないと言う。リチャードでなくても首を傾げたくなる話だが、真面目くさった表情(に見える)でエクスカリバーは続けた。
「土の属性を持つ私に、エクスカリバーと名付けたのはまあ正解だ。あの伝説の剣の本質は『守り』にあるのは知っているだろう?」
「うむ。その鞘があれば傷付く事なく、不死身になれるという伝説であったな」
「そうだ。私の土を自在に操る能力は、エクスカリバーの鞘の能力を補完するものだと言っていいだろう」
何となく分かってはいた。地形操作はこういった防衛戦に真価を発揮する。雑魚相手には無双できても、大物相手には決め手が少ない。大地を割って敵を落とす。あるいは土や岩を硬化させ、形状を変えて攻撃する。はたしてその手段がどこまで通用するか。
「だが、私は伝説のエクスカリバーではない。敵を倒す為に作られたもの。お前の気性とてそうだろう? 立場とその能力から受け身に回る場合が多いようだが、本来は突撃して大暴れしたい。そのはずだ」
「……」
「そしてお前の本当の力は、突撃に特化したものなのだ」
リチャードはエクスカリバーの話を聞きながら、頭の中で考えを纏めていた。
今まで自分の能力として使っていた地形操作が、自分のものではなかった事。本来の自分の力は突撃に秀でたものである事。エクスカリバーが馬の姿で現れたこと。
「馬……突撃……まさか、余の能力とは騎馬突撃か!?」
「惜しいが違う。戦車を知っているか?」
「うむ。すでに廃れて久しいが、馬で車を引き、車から矢を射るアレであろう?」
「そうだ。あとはお前がそのイメージをどこまで昇華させることが出来るか。そうさな……ミト様の車などは中々参考になる」
三戸の車と聞いて、リチャードは今まで見た車両を思い起こす。高機動車。7tトラック。LAV。ガンタンク……
どれも突撃というならかなり強そうだ。機銃を撃ちながらの突撃などは戦車に通じるものがある。しかし、突撃をぶちかますならば、もっと鋭角的な……そう、船の船首にある衝角のような……
(船首の突き出した部分が衝角。突っ込んで敵船にダメージを与えるのが目的)
「ほう、衝角を思い浮かべたか。中々良いイメージ力をしている」
文字通りの馬面のエクスカリバーが、口角を吊り上げた。
また、リチャードは突撃の威力、火力、装甲……様々の状況を思い浮かべ、さらに自分なりの戦車をイメージしていく。それそのものが自分の能力であるためか、次々とイメージが湧いてくる。思わず笑みを零すリチャード。
「どうやら固まったようだな。そのイメージを私と共有しろ。媒体はその手にしている『エクスカリバー』だ」
その言葉を聞いたリチャードは、剣の切っ先を目の前の黒馬に向ける。
「貴様の力と余の力、存分に魔物共に見せつけてやろうぞ!」
その口は弧を描き、瞳は蘭々と輝いている。
「ふん。失望させるなよ?」
黒馬エクスカリバーは軽く憎まれ口を叩き、剣の中へと宿っていった。
「ふふ。さて……」
リチャードを覆っていた土のドームが崩れていく。
中から現れたリチャードは、姿形こそ変化はないが、纏う気迫というかオーラというか、敵に与えるプレッシャーが段違いになっている。それは防壁上から迎撃を再開していた三戸やアンジーにもすぐに分かった。
「へええ、凄いな」
「どうやらリチャード様も覚醒されたみたいですねっ!」
三戸は防壁上の兵士達に、味方に当てないように指示をだしつつも、注意深くリチャードの様子を見つめている。
すると、リチャードの足元に動きが見られた。リチャードの全身を土が覆うように集まっていく。土が硬化して彼のアーマーとなっているかのようだ。しかも、全身に棘があり、その姿はハリネズミを思わせる。
「防御力を上げた? でもそれだけじゃなさそうだが……」
しかし、三戸が見ている間にも変化は続いていた。リチャードの足下の土がサーフボードのように変化していき、さらにそれが小舟のようになる。その土の小舟の選手には長く鋭く尖った衝角が突き出しており、さらに全方位にリチャードと同じようにハリネズミのような棘がある。しかもご丁寧に、その『小舟』の中央には座席まで形作られており、リチャードはどっかりとそれに跨った。
「では、行くぞ、エクスカリバーよ!」
リチャードが剣を振りかざす。すると、地形操作の効果なのか、『小舟』が地面を滑りだし、どんどん加速していく。だがそれだけではない。ハリネズミのように突き出した棘がまるでミサイルのように全方向へ発射されるのだ。
一度に多数の魔物を穿ちながら、縦横無尽に走り回るその姿を見て三戸が呟く。
「ははは。まるで戦車だな。タンクじゃなくてチャリオットの方だがな」
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