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99話 パーソナルカラー
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テントの出入口を守っていたデーモンが立ち上がり、出て行こうとする藤井達の為にスペースを開ける。そこを駆け抜け滑走路へと三人は向かった。
同時に二機が楽々離陸出来る滑走路の中央に藤井。そしてその右前に岡本、左前に中谷が機体を出現させ、V字型の隊列を取った。
滑走路の離陸ラインは三本。左右それぞれ斜めに飛び立つラインと、中央をそのまま離陸するラインだ。
テントからは、それぞれの相棒を含めた全員が離陸の様子を見ようと出て来ている。今まで、正しい形での離陸の姿というものを見た事がないのだ。
「わあ! カラフルで可愛いですねっ!」
滑走路に並んだ三機のF-35BライトニングⅡを見たアンジーが、瞳をキラキラ輝かせながら放った感想である。
「ったく……あいつら、全力で楽しんでやがる」
そして三戸は苦笑いだ。
それというのも、藤井は青、中谷は緑、岡本は黄色と、実にカラフルな塗装がされている。しかもご丁寧な事に、それぞれ『ANGIE Ⅱ』、『ANGIE Ⅲ』、『ANGIE Ⅳ』と、機首側面と尾翼にペイントまでしていた。
折角のステルス機が台無しである。しかしこの世界、敵の魔物がレーダーや誘導兵器などを使ってくる訳でもなく、ステルスという機能は殆ど意味がない。それ故に、三戸も苦笑で済ませている。
そしてもう一つ。アンジー小隊のナンバリングだ。敢えて『ANGIE Ⅰ』を開けているという事は、三戸の死後十年経過した今でも三戸の指揮下で戦う事を選んだ彼らのメッセージだ。三戸はそれが嬉しかった。
「マスターっ!」
「ん? な、なんだ?」
「マスターのファントムも、綺麗にしちゃいましょう! 赤なんでどうですか!? きっと可愛いですっ!」
そこへ、瞳の輝きを先程の二割増しくらいにして、胸の前で両手をグーにしたアンジーが三戸を見上げながら距離を詰めてくる。
「ぐっ……むぅ……」
三戸の心は揺れた。激しく揺れた。
少年の頃見たロボットアニメのエースパイロットは、自分の機体だけ他の機体とは違うカラーリングにしていた。パーソナルカラー。それはすなわち敵味方双方から畏怖される、エースパイロットの証。
せっかく組織のルールなどのしがらみのない並行世界へやって来たのだ。藤井達のように楽しまなければ損なのかも知れない。実のところ、(赤いファントムかぁ……赤い亡霊なんて異名もいいよな)などと内心考えてもいた。
だが、一つ気掛かりな事もある。
「なあ、アンジー」
「はいっ!」
「機体を赤くしたら、お前も赤くなったりするのか? その……髪とか瞳とかさ」
赤い色のアンジー。それを想像してみた三戸だが、どうもしっくりこない。彼の中では、彼女はあくまでも銀色の天使なのだ。
「うふふっ! 大丈夫ですよ? アンジーはマスターのお好みの、何色にでも染まりますからっ!」
いつも全力で三戸に好意をぶつけるアンジーの姿は、救世者達にとっては見慣れた光景だ。しかし今の発言はまるで新婦のようである。
全員から生温かい視線が浴びせられた。幼女姿になったジハードまでもが、サラディンの後ろから顔半分だけ出してニタニタしている。
「アンジー、機体は赤、ペイントは白で『ANGIE Ⅰ』。お前はそのまま銀色でいてくれ」
全身がむず痒くなる感覚を覚えた三戸は手短にそう言うと、今離陸しようとしている藤井達に視線を移す。
「はいっ!」
また、アンジーは満面の笑みを浮かべて返事をすると、トコトコと開けた場所へと駆けていった。
彼女が何をするのか想像がついていた三戸は、自分に向けて敬礼をしながら発進していく藤井達に敬礼を返し、飛び立つ機体を見送る。
少し離れた所では、見た目が凶悪なデーモンが、飛び立つ三機に向かってトライデントを一生懸命振って見送っている姿が笑いを誘う。
そして三戸は、あからさまにソワソワしていた。
「ふふ、ミト? 一緒に飛びたいのでしょう? ここは私達に任せて行ってらっしゃいな」
そんな三戸を見透かしたように、ジャンヌがアンジーが走り去った方向を見ながら言う。
「うむ。仲間と飛ぶのは久しいのだろう? 遠慮せずに行ってくるがいい」
関羽も頷きながら三戸の背を押す。
「悪いみんな! ちょっと行ってくる!」
そう言って駆けだす三戸の視線の先には、キャノピーを開いて主の搭乗を待つ、赤く煌めくF-4EJ改ファントムⅡの姿があった。
同時に二機が楽々離陸出来る滑走路の中央に藤井。そしてその右前に岡本、左前に中谷が機体を出現させ、V字型の隊列を取った。
滑走路の離陸ラインは三本。左右それぞれ斜めに飛び立つラインと、中央をそのまま離陸するラインだ。
テントからは、それぞれの相棒を含めた全員が離陸の様子を見ようと出て来ている。今まで、正しい形での離陸の姿というものを見た事がないのだ。
「わあ! カラフルで可愛いですねっ!」
滑走路に並んだ三機のF-35BライトニングⅡを見たアンジーが、瞳をキラキラ輝かせながら放った感想である。
「ったく……あいつら、全力で楽しんでやがる」
そして三戸は苦笑いだ。
それというのも、藤井は青、中谷は緑、岡本は黄色と、実にカラフルな塗装がされている。しかもご丁寧な事に、それぞれ『ANGIE Ⅱ』、『ANGIE Ⅲ』、『ANGIE Ⅳ』と、機首側面と尾翼にペイントまでしていた。
折角のステルス機が台無しである。しかしこの世界、敵の魔物がレーダーや誘導兵器などを使ってくる訳でもなく、ステルスという機能は殆ど意味がない。それ故に、三戸も苦笑で済ませている。
そしてもう一つ。アンジー小隊のナンバリングだ。敢えて『ANGIE Ⅰ』を開けているという事は、三戸の死後十年経過した今でも三戸の指揮下で戦う事を選んだ彼らのメッセージだ。三戸はそれが嬉しかった。
「マスターっ!」
「ん? な、なんだ?」
「マスターのファントムも、綺麗にしちゃいましょう! 赤なんでどうですか!? きっと可愛いですっ!」
そこへ、瞳の輝きを先程の二割増しくらいにして、胸の前で両手をグーにしたアンジーが三戸を見上げながら距離を詰めてくる。
「ぐっ……むぅ……」
三戸の心は揺れた。激しく揺れた。
少年の頃見たロボットアニメのエースパイロットは、自分の機体だけ他の機体とは違うカラーリングにしていた。パーソナルカラー。それはすなわち敵味方双方から畏怖される、エースパイロットの証。
せっかく組織のルールなどのしがらみのない並行世界へやって来たのだ。藤井達のように楽しまなければ損なのかも知れない。実のところ、(赤いファントムかぁ……赤い亡霊なんて異名もいいよな)などと内心考えてもいた。
だが、一つ気掛かりな事もある。
「なあ、アンジー」
「はいっ!」
「機体を赤くしたら、お前も赤くなったりするのか? その……髪とか瞳とかさ」
赤い色のアンジー。それを想像してみた三戸だが、どうもしっくりこない。彼の中では、彼女はあくまでも銀色の天使なのだ。
「うふふっ! 大丈夫ですよ? アンジーはマスターのお好みの、何色にでも染まりますからっ!」
いつも全力で三戸に好意をぶつけるアンジーの姿は、救世者達にとっては見慣れた光景だ。しかし今の発言はまるで新婦のようである。
全員から生温かい視線が浴びせられた。幼女姿になったジハードまでもが、サラディンの後ろから顔半分だけ出してニタニタしている。
「アンジー、機体は赤、ペイントは白で『ANGIE Ⅰ』。お前はそのまま銀色でいてくれ」
全身がむず痒くなる感覚を覚えた三戸は手短にそう言うと、今離陸しようとしている藤井達に視線を移す。
「はいっ!」
また、アンジーは満面の笑みを浮かべて返事をすると、トコトコと開けた場所へと駆けていった。
彼女が何をするのか想像がついていた三戸は、自分に向けて敬礼をしながら発進していく藤井達に敬礼を返し、飛び立つ機体を見送る。
少し離れた所では、見た目が凶悪なデーモンが、飛び立つ三機に向かってトライデントを一生懸命振って見送っている姿が笑いを誘う。
そして三戸は、あからさまにソワソワしていた。
「ふふ、ミト? 一緒に飛びたいのでしょう? ここは私達に任せて行ってらっしゃいな」
そんな三戸を見透かしたように、ジャンヌがアンジーが走り去った方向を見ながら言う。
「うむ。仲間と飛ぶのは久しいのだろう? 遠慮せずに行ってくるがいい」
関羽も頷きながら三戸の背を押す。
「悪いみんな! ちょっと行ってくる!」
そう言って駆けだす三戸の視線の先には、キャノピーを開いて主の搭乗を待つ、赤く煌めくF-4EJ改ファントムⅡの姿があった。
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