神様に妻子の魂を人質に取られたおっさんは、地球の未来の為に並行世界を救う。

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112話 ついに発見か

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 ローラー作戦は、基地を半径200キロ先まで移動させ、円を徐々に狭めていく感じで行われている。全体の面積から言って漸く一割程度の調査が終わったところだ。
 航空写真を撮影したものを繋ぎ合わせた地図に、調査済みの範囲を塗りつぶす作業をしていた中谷が、重いため息をつきながら言う。

「分かっちゃいたけど、これは長丁場になりそうですね……」

 そう口を動かしながらも、地図を塗りつぶしていく手は止まらない。

「それじゃあ、明日はここのエリアだな。よっしゃ、今日もお疲れさん!」

 三戸が塗り潰した範囲に隣接したエリアを枠で囲む。調査も数日繰り返すと、一日に可能な範囲も分かってきているため、計画立ててやることが出来るようになっていた。
 今日の調査結果をまとめ、明日の計画を立てたところでホッと一息をつく外回り組。そこへぶ~~んとおもちゃのようなジェット音を響かせながら、ふぁむちゃんが三戸へ向けて突撃してくる。そして右肩へ着地しちょこんと座る。ここ数日、三戸の右肩は彼女の特等席だ。
 そしてふぁむちゃんに続いて、爽やかな表情のアダムとエヴァ、さらに苦笑を浮かべたナイチンゲールとアスキー、最後にがっくりと肩を落としたリチャードが戻ってきた。射撃訓練を終えたらしい。

「その、ふぁむちゃんが余には厳しすぎると思うのだが」

 そんなリチャードの一言で、ああ、また今日も絞られたんだな、という苦笑を堪えた空気が室内に充満した。ここ数日、お約束の展開である。

「ふぁむちゃんは、規定時間内に標的を落とせないリチャード様が悪いと言っていますよ?」

 三戸の肩からアンジーの頭へと飛び移ったふぁむちゃんが、何かをアンジーに伝えたのだろうか。アンジーが通訳するようにリチャードにそう語ると、リチャードも弱々しいながら反論する。

「しかしなあ、余は剣と地形操作の戦いが主であってだな――」
「いや、それは違うぞリチャード」

 その反論を遮ったのは三戸だ。

「動く標的を正確に捉えるという能力を鍛える事は、言い換えれば無駄弾丸むだだまを撃たずに済むようになるって事だ。それを、リチャードがよく使うロック・ミサイルに応用したらどうなる?」
「ふむ……」

 三戸の問題提起に、リチャードは腕組みをし、瞑目して考える。そして他のメンバーもそれぞれ自分の事に置き換えて考えているようだ。そして、銃での戦闘を弓矢に置き換える事に気付いてしまえば、答えは比較的容易に出てきた。

「なるほどな。一発一発を正確に当てる事が出来れば効率が上がると同時に、自身の経戦能力も上昇するという事か」

 今まで土で作った弾丸を撃ち出したり、戦車チャリオットの能力でその弾丸を乱れ撃ちしていたリチャードは、特に自分のスタミナを長持ちさせられるというメリットが大きいように思われた。少ない労力で多くの敵を倒す。確実に当てるという事はそういう事だ。
 
「うむ! 分かったぞ。明日からもよろしく頼むぞふぁむちゃん!」

 リチャードが納得した上でそう言うと、ふぁむちゃんが彼の所まで飛んでいき、ポンポンと肩を叩く。された方のリチャードはきな臭いような顔で照れ隠しをしていたが、周囲はなんだかほわほわした空気に包まれる。
 この通り、ほんの数日で基地内のマスコットとして、またムードメーカーとしての地位を確立させたふぁむちゃんは、四体のデーモン達とも比較的良好な関係性を築いており、彼等にもドローンを使った訓練あそびを施したりしている。
 にも関わらず、自分をこの姿に変えるきっかけとなった岡本だけには辛辣で、コミュニケーションは常に飛び蹴りという状況が周囲の涙を誘う。しかし当の岡本がそれを嬉しそうに受け入れている事が分かると、次第に可哀そうな子を見るような視線に変わっていった。その事に気付いていないのは岡本だけである。

△▼△

 それから更にひと月程経過したある日の事。いつものように調査から帰還した外回り組は、これまたいつものように机の上に地図を広げ、調査範囲の塗りつぶし作業に入る。

「あれっ? このエリアって藤井さんとジャンヌさんチームの担当ですよね?」

 ペンを指先でくるくると回しながら、塗りつぶしをしていた中谷が首を捻った。
 ちなみに最近気付いた事なのだが、ペンやその他の消耗品など、防衛省の敷地内にある店舗で販売しているものであればアンジーが取り出せた。ファーストフードや食堂のメニューなども例外ではなく、基地内の生活環境は格段に向上している。自衛隊の配備品やデータベースにあるものしか取り出せないと認識していなかったが、意外な盲点だった。

「ああ、そこは俺達の担当だ。どうかしたか?」

 中谷の様子に、藤井とジャンヌが地図を覗き込む。すると、そこにはぽっかりと塗りつぶされていない空白地があった。

「いや、そんなはずはないな。隈なく調査したぞ?」

 藤井がそう言いながらジャンヌに同意を求めて視線を送ると、ジャンヌも頷いて答えた。

「ええ、漏れはないはずです」

 そのやり取りを見ていた三戸や岡本達、他のメンバーも集まり地図を見下ろす。

「まるで意図的にこの場所を避けたみたいな感じに見えるな」
「いやいや、それはないですよ隊長」
「分かってるよ。この場所に来てほしくない誰かが、何かをしたんだろ、多分」

 そんな三戸と藤井の会話を聞いていた全員が、一つの結論に辿り着く。

「……ここが、エデンですか」

 そう呟いたアンジーに、三戸が強く頷いた。

 
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