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115話 地獄の蓋
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エデン延焼の熱によってドローンが溶けてしまいモニタリングが不可能になった後、三戸は砲撃再開の指示を出した。
外からの見た目は全く変わらず、豊かな緑が生い茂る森のままだ。しかし現実には灼熱地獄になっている魔界の内部。瘴気を遮る結界のせいで、中の魔物は逃げられずに数を減らしていっている筈だ。
「瘴気が充満しているあそこから瘴気が漏れ出さないって事は、そういう結界が張ってあるんだろうが、アイツらはどうやって出たんだろうな?」
外でエデンの様子を見ているであろう、エレファントやイーグル達デーモンクラスの魔物を思いながら、三戸がふと口にした。魔物は瘴気そのものと言っていい存在だ。
ナイチンゲールの支配下にある四体はアスキーが何とかしたのかも知れないが、基本的に魔物の体内は瘴気で溢れかえっている。そんな連中が結界をすり抜けてくるとは考えにくい。
「エデンに結界が張られる以前より、各地に散っていた者共が相当数おるのじゃろうな。まあ、難しい事はよかろうて」
そんなサラディンの言葉に、それもそうかと三戸は短く笑う。大元のこの場所を潰してしまえば、あとは個別に撃破すればいいだけだ。
黒翼の天使やイフリートのような悪魔クラスが相手ならともかく、今となってはアダムとエヴァも、デーモンクラス相手に互角にやれるのだ。
「しかし、内部の延焼によって結界が解けるという事は無いのでしょうか?」
「まあ、あり得るだろうね!☆」
ナイチンゲールとて内心では分かっていたのだろうが、あっさりとイケメンスマイルで肯定してしまうアスキーに苦笑いだ。
この砲撃によって内部の魔物大打撃を与えている事は確かだろうが、逆に結界が解けて魔物が溢れてしまう危険性も孕んでいる。しかし、三戸は敢えてそれを覚悟でやっているのだし、この場にいる全員が賛同した事でもある。
虎穴に入らずんば虎子を得ず。関羽の言葉を思い出すナイチンゲールだった。
その後も一昼夜に渡って砲撃は続けらた。にもかかわらず、エデンに見た目の変化は見られず、火災が起こっているはずなのに煙が上っている様子も確認できない。
それが逆に、今見えているものが虚像だという事を確信させる。
そんな時、変化が起こった。それはまさに突然の出来事。
「なんだ!?」
エデンの外周を覆うような巨大な円筒形の光の柱が立ち昇った。その光景全員が窓へと駆け寄る。そして徐々にその光が薄くなり、エデンの内部が窺い知れるようになっていく。
そこは業火に焼かれる木々と魔物による阿鼻叫喚の地獄絵図。さらに黒々とした煙と共に、赤黒い瘴気が大気中に拡散していた。
「あちゃあ、あれ、やべえんじゃねえか?」
三戸が拡散していく瘴気を見ながら、やっちまったとばかりに頭を掻く。
「いえ、現状の大気中の瘴気濃度は、今までの時代とそう変わりはありませんね」
いつの間にか成分分析をしていたアンジーが答える。あれだけの瘴気が放出されているのに、今までの時代と大差ないとはどういう事なのか。アンジー自身も不思議そうな顔をしていた。
「今までと変わらぬなら問題なかろう? むしろ今までが清浄過ぎたのかもしれぬ」
「そうね。空気が美味しく感じたのはこの自然のせいかと思ってたけど、今まで瘴気が混じっていなかったせいなのかもね」
今まで通りなら問題ない。肝が据わっているというか、流石は蜀の五虎将筆頭、関雲長というべきか。そしてジャンヌの見解は的を射ていた。
「これで目出度く結界が消えた訳だ。この後は魔物が溢れ出て来る展開が待っているという訳だな」
「うむ。腕が鳴るのう!」
完全に光の柱が消え去り、まともに見えるようになったエデンを見据え、リチャードとサラディンの口元が好戦的に歪む。
「私とアスキーも出来る限りの事はしますが、皆さんなるべく怪我などされないように!」
勇むメンバーを前に、ナイチンゲールがキリリとした表情で釘を刺す。もっともそれは気遣いと心配が十割の言葉なので、全員が物凄くいい表情で頷いた。何かあったら頼んだぞ、と。
こうして、各々が準備を整え、会議室を退出していった。
△▼△
「ついに地獄の蓋を開いてしまったようじゃな」
白い空間では、相変わらず神が三戸達の行動を見ていた。
「あの者共が結界を壊さねば、人の寿命は数百年はあったものを……」
つまり、ジャンヌの言った通りであった。大気中にばら撒かれた瘴気が人体に全く影響を及ぼさなかった訳はなく、本来は数百年の寿命があった人類は、少量の瘴気を摂取し続ける事で寿命を短くしてしまったという事らしい。
過去に三戸がやらかしたこの行為が、未来の人類の寿命を決めてしまったというとんでもないトラップだ。
「まあ、寿命の事は仕方あるまい。問題は、この先に待っている脅威の方じゃな」
神の視点では、人間の寿命の短さは繁殖に影響する程度ではなく、さしたる問題とは思っていないようだ。それよりも、先に控える強敵を三戸達が打ち破れるかどうかが焦点だった。
外からの見た目は全く変わらず、豊かな緑が生い茂る森のままだ。しかし現実には灼熱地獄になっている魔界の内部。瘴気を遮る結界のせいで、中の魔物は逃げられずに数を減らしていっている筈だ。
「瘴気が充満しているあそこから瘴気が漏れ出さないって事は、そういう結界が張ってあるんだろうが、アイツらはどうやって出たんだろうな?」
外でエデンの様子を見ているであろう、エレファントやイーグル達デーモンクラスの魔物を思いながら、三戸がふと口にした。魔物は瘴気そのものと言っていい存在だ。
ナイチンゲールの支配下にある四体はアスキーが何とかしたのかも知れないが、基本的に魔物の体内は瘴気で溢れかえっている。そんな連中が結界をすり抜けてくるとは考えにくい。
「エデンに結界が張られる以前より、各地に散っていた者共が相当数おるのじゃろうな。まあ、難しい事はよかろうて」
そんなサラディンの言葉に、それもそうかと三戸は短く笑う。大元のこの場所を潰してしまえば、あとは個別に撃破すればいいだけだ。
黒翼の天使やイフリートのような悪魔クラスが相手ならともかく、今となってはアダムとエヴァも、デーモンクラス相手に互角にやれるのだ。
「しかし、内部の延焼によって結界が解けるという事は無いのでしょうか?」
「まあ、あり得るだろうね!☆」
ナイチンゲールとて内心では分かっていたのだろうが、あっさりとイケメンスマイルで肯定してしまうアスキーに苦笑いだ。
この砲撃によって内部の魔物大打撃を与えている事は確かだろうが、逆に結界が解けて魔物が溢れてしまう危険性も孕んでいる。しかし、三戸は敢えてそれを覚悟でやっているのだし、この場にいる全員が賛同した事でもある。
虎穴に入らずんば虎子を得ず。関羽の言葉を思い出すナイチンゲールだった。
その後も一昼夜に渡って砲撃は続けらた。にもかかわらず、エデンに見た目の変化は見られず、火災が起こっているはずなのに煙が上っている様子も確認できない。
それが逆に、今見えているものが虚像だという事を確信させる。
そんな時、変化が起こった。それはまさに突然の出来事。
「なんだ!?」
エデンの外周を覆うような巨大な円筒形の光の柱が立ち昇った。その光景全員が窓へと駆け寄る。そして徐々にその光が薄くなり、エデンの内部が窺い知れるようになっていく。
そこは業火に焼かれる木々と魔物による阿鼻叫喚の地獄絵図。さらに黒々とした煙と共に、赤黒い瘴気が大気中に拡散していた。
「あちゃあ、あれ、やべえんじゃねえか?」
三戸が拡散していく瘴気を見ながら、やっちまったとばかりに頭を掻く。
「いえ、現状の大気中の瘴気濃度は、今までの時代とそう変わりはありませんね」
いつの間にか成分分析をしていたアンジーが答える。あれだけの瘴気が放出されているのに、今までの時代と大差ないとはどういう事なのか。アンジー自身も不思議そうな顔をしていた。
「今までと変わらぬなら問題なかろう? むしろ今までが清浄過ぎたのかもしれぬ」
「そうね。空気が美味しく感じたのはこの自然のせいかと思ってたけど、今まで瘴気が混じっていなかったせいなのかもね」
今まで通りなら問題ない。肝が据わっているというか、流石は蜀の五虎将筆頭、関雲長というべきか。そしてジャンヌの見解は的を射ていた。
「これで目出度く結界が消えた訳だ。この後は魔物が溢れ出て来る展開が待っているという訳だな」
「うむ。腕が鳴るのう!」
完全に光の柱が消え去り、まともに見えるようになったエデンを見据え、リチャードとサラディンの口元が好戦的に歪む。
「私とアスキーも出来る限りの事はしますが、皆さんなるべく怪我などされないように!」
勇むメンバーを前に、ナイチンゲールがキリリとした表情で釘を刺す。もっともそれは気遣いと心配が十割の言葉なので、全員が物凄くいい表情で頷いた。何かあったら頼んだぞ、と。
こうして、各々が準備を整え、会議室を退出していった。
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過去に三戸がやらかしたこの行為が、未来の人類の寿命を決めてしまったというとんでもないトラップだ。
「まあ、寿命の事は仕方あるまい。問題は、この先に待っている脅威の方じゃな」
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