神様に妻子の魂を人質に取られたおっさんは、地球の未来の為に並行世界を救う。

SHO

文字の大きさ
119 / 151
????

116話 絶望、襲来

しおりを挟む
 エデンの結界が解けたあと、三戸は少しの間砲撃を中止した。業火の中から逃げ惑う魔物が接近してこないか見定める為である。同時に、リチャードにも指示を出した。

「内部が視認出来る以上、こんなに接近している必要はないな。基地を後退させてくれ」

 このままの距離だと、迎撃するにも近すぎる。遠距離から徐々に数を減らした方が後々楽だろうという計算だ。どうせ魔物はこちらを目指してくるのだから。

 青龍の能力でエデンの周囲の草木を移動させ、これ以上延焼するのを防いだ上で、エデンから十キロ地点まで基地を後退させる。

「アンジー、どうだ? 誘導兵器の方は使えそうか?」
「はい! あの結界が消えたおかげで、エデン内部の敵も捕捉できます! 行けますっ!」

 三戸はアンジーの返事に満足気に頷くと、ふよふよと飛んでいたふぁむちゃんに声を掛けた。

「フレンドリーファイアにだけは気を付けて、自由に迎撃して構わない。ミサイルや機動兵器もふぁむちゃんの判断で使用を許可する」

 三戸に任されたのが嬉しかったのか、ふぁむちゃんが三戸の肩に乗って頬擦りしてきた。それを岡本が血の涙を流して羨ましがっていたが、そこは取り敢えずスルーして、次に声を掛けたのはナイチンゲールだ。

「基地の司令塔に残るのはナイチンゲールとアスキー、それにアダムとエヴァだ。ふぁむちゃんがいる限り敵と近接戦になる可能性は低いだろうが、デーモン達四体を上手く使って二人を守ってやってくれ」
「ええ、最善を尽くします」
「任せておきたまえ! 私がいる限り死んでも生き返らせるさキラーン!」

 死んでも生き返らせるというアスキーの言葉に妙なリアルを感じながら、三戸はアダムとエヴァに視線を送った。

「あなた方を信じている。それに私達も戦う術を学んだ。生き延びてみせるさ」

 まだ子を成していない今、自分達が死ねば人類が滅ぶ。そんな重圧にも負けずに強い視線で三戸にそう語るアダムと、彼にぴったりと寄り添うエヴァ。
 その二人を見て頷いた三戸は、待機していた藤井達に号令を下す。

「俺達も出るぞ。空から敵を殲滅だ」
「「「了解!」」」

 こうして四人のパイロットとアンジーは部屋を飛び出し、滑走路へと駆けて行った。

△▼△

 司令塔で三戸が指示をだしている間に、基地外周の防壁上に陣取っていたジャンヌ達。砲台からは相変わらず速射砲が砲弾を放ち続けている。

「どの程度残っているでしょうね」
「さて……雑魚がいくら残っていようがこの基地に辿り着く前に殲滅してくれようぞ」

 ジャンヌと関羽が、それぞれブリューナクと青龍偃月刀の石附を突き立てエデンを望む。
 まだ距離はあるが、エデンより出ずる魔物達の気配は瘴気という名のプレッシャーとなり、確かに肌に纏わりついてくる。
 
「やはり相当の大物がおるようじゃな」

 その瘴気のプレッシャーの中に、クリミアで戦った黒翼の天使やイフリートと同質のものを感じたサラディンが、傍らにしがみ付いているジハードの頭を撫でながらそう言う。

「今回は貴様と諍いを起こしている暇はなさそうだ。不本意だが面倒事は後にしてやる」

 リチャードも強敵の予感をひしひしと感じているのか、サラディン相手の軽口もいつもより控えめだ。

「ふん。ミト達も出たか。そろそろ来るという事じゃな」

 彼等の後方にある滑走路から、ジェットエンジンの咆哮が聞こえる。今回はデフォルトカラーである黒い塗装のライトニングⅡが三機飛び立ち、先に離陸していた赤いファントムⅡを追う。
 そして編隊を組んでエデンの方向に飛び去っていく三戸達の機体を見送りながら、防壁上の救世者メサイア達は気を引き締めた。
 なぜなら、三戸達が飛び去るのと同じタイミングで、まるで暴風のような圧力で瘴気が打ち付けてきたからである。

 エデンから高速で飛来してくる巨大な瘴気を纏った者。その数は五体。よく見れば十体の内五体は基地に向かってきており、残りの五体は三戸達の機体に向かったようだ。

「えっ……!?」

 その姿が目視で確認できる距離まで近付いてきたところで、思わずジャンヌが声を失う。

「なんと……」
「これは骨が折れそうじゃわい」
「どうする? 一人一体が限界じゃぞ?」

 関羽も、サラディンも、リチャードも、珍しく焦りの色を隠そうともしない。

 また、基地の司令塔内でも緊張した表情のナイチンゲールがいた。一方で、ふぁむちゃんが慌ただしく飛び回り、やがて外へと飛び出していった。
 ナイチンゲールがその様子を窓から見ると、10ヒトマル式戦車を一輌、ガンタンクを二輌出現させており、また全ての対空火器がエデンから飛来する者に向けられた。


『五機、こっちに来ました!』

 また三戸達は基地のメンバーより早く敵と遭遇していた。藤井から通信が入る。

「確認した……って、おいおい! マジかよ!」

 その敵を視認した三戸が驚愕の声を上げた。

「マスター……」

 アンジーも驚きを隠せない。

『なんすか、あれ。天使みたいっすね』

 岡本の声に、三戸が厳しい調子で答えた。

「みんな油断するなよ! 俺を撃墜したのはヤツと同じタイプだ!」

 そう、襲来したのは黒翼の天使。一体を相手にするのも総力戦だったものが、集団で現れた。
しおりを挟む
感想 35

あなたにおすすめの小説

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜

ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。 アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった 騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。 今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。 しかし、この賭けは罠であった。 アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。 賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。 アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。 小説家になろうにも投稿しています。 なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。 そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。 【カクヨムにも投稿してます】

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...