137 / 151
????
134話 交渉決裂
しおりを挟む
赤い粒子となって消えたファントムがいたその場所に、赤と銀。二つの翼がルシフェルを見据えていた。
「へえ、何だい? それは」
「おい堕天使」
ギアを纏った三戸は、ルシフェルの問いには答えずに据わった目付きで話しかけた。
「てめえ、何で人間に八つ当たりしやがる。人間の存在を認めたくねえなら神ンとこ行ってぶっ飛ばしてくりゃいいじゃねえか。ヤツをぶっ飛ばすってんなら、俺も一緒に行ってやんぞ?」
「あはははっ、君は面白い事を言うね? 八つ当たり? 違うよ。君達人間は、偉大なるあのお方が作り出した偉大なる失敗作なのさ! だから僕は、失敗作である人間を消さなければならないんだよ」
この言葉を聞いて、三戸は納得してしまった。ルシフェルは神の狂信者なのだ。神への愛が深すぎる故にそれが歪み、忌諱されたしまったのだ。
この手合いは人間の中にも沢山いる。自分が悪いなどとは考えずに、ひたすら神への忠誠や信仰を間違った形で暴走させる迷惑な手合いだ。
そしてこのルシフェルは、神の失敗作である人間を抹殺する事が自分に与えられた試練であり、名誉挽回のチャンスでもあると考えている節がある。
「それに、君達では僕には勝てないんだ」
ルシフェルがそう言うと、基地を構成していた施設や防壁、砲台などが元の土へと戻っていく。
「これは! リチャードの能力!?」
三戸が驚いているが、衝撃はまだ続く。
「全く……神がお造りになられたこの箱庭に、無粋な物を造るのはやめて欲しいなあ」
更に、全てが更地になった場所を埋めるように、草木が移動を始めた。
「コレは……青龍さんの力……」
救世者の能力のみならず、相棒の能力すら自在に使いこなすルシフェルに、アンジーも驚きを隠せない。
「さあ、これでアダムとエヴァを守るものはいなくなったよ? どうだい? 引き渡す気になってくれたかい?」
相変わらず、瞳に狂気を宿した笑みを浮かべながら、ルシフェルは二人の引き渡しを要求してくる。
確かに基地は無くなり、アダムとエヴァを守る者は自分達と四体のデーモンのみ。三戸の脳内で最善の策を探し求める作業がひっきりなしに行われている。
「僕はね、あまり気が長い方じゃないんだ」
ルシフェルの右手の指が光った。
『グギャアアアア……!』
「何だ!?」
「エレファント!」
三戸達が一斉に悲鳴の方向を振り向くと、そこにはアダムとエヴァの前で壁になっていたエレファントが息絶えていた。
「分かったかい? やろうと思えばいつでもやれるんだ。でもボクは無駄な戦いを好まない」
「そうかい。ウチの連中と違って好戦的じゃないのはよく分かった。けど、どうあってもあの二人をやらせる訳にはいかねえんだ!」
三戸はそう言い放つと、アンジーと二人、ルシフェルの左右へ移動し挟み込むポジションをとった。
「ふう、残念だよ」
それを見たルシフェルは、心底悲しそうな表情で瞼を閉じ、ゆっくりと頭を左右に振る。戦いたくはない。それは本心なのかもしれない。そこにいた誰もそう思った。
「たとえお前に戦う理由が無くても! 俺には戦って守らなきゃならねえものがあるんだよ!」
しかしその迷いを振り切るように、三戸の絶叫が響き渡る。
両肩の四連装ランチャーのカバーが開き、計八発のミサイルがルシフェル目掛けて発射された。また、逆方向からはアンジーが放った空対空ミサイルが発射されていた。二人はそれで攻撃の手を緩める事なく、20mm機関砲を放ちながら高速でルシフェルに迫る。
「そんな物は効かないよ? さっき見せたよね?」
ルシフェルの左手が動く。先程のように重力操作でミサイルを止めて落とすつもりか。
「させんよ」
しかしルシフェルの重力操作は発動しなかった。いや、正確に言えば発動はした。だがそれはサラディンによって相殺されたのだ。
「あれ?」
すでに回避不能な距離まで迫っているミサイルに、ルシフェルは焦る。
「ちっ!」
回避が間に合わないと見るや、彼は両腕をクロスし、身体を丸めた。そして六枚の黒い翼が彼を包み込む。直後に、ミサイルが全弾命中し大爆発が起こった。
額発の燃焼と煙で視界が遮られている間に、三戸とアンジーはそれぞれ直上と真下に移動し20mm機関砲を構えた。この辺りは打ち合わせもしていないのに、阿吽の呼吸で相手がしたい事が分かってしまう。
しかし、爆発が収まった時、三戸とアンジーは目を見開いた。
ルシフェルは全くの無傷で、左右の腕をそれぞれ上と下に向け、三戸とアンジーに狙いを定めていた。
「ふう、驚いたなあ。無傷なのはいいけど、爆発に巻き込まれるのは精神衛生上よくないね!」
そう言いながら、彼は指先を光らせた。
「へえ、何だい? それは」
「おい堕天使」
ギアを纏った三戸は、ルシフェルの問いには答えずに据わった目付きで話しかけた。
「てめえ、何で人間に八つ当たりしやがる。人間の存在を認めたくねえなら神ンとこ行ってぶっ飛ばしてくりゃいいじゃねえか。ヤツをぶっ飛ばすってんなら、俺も一緒に行ってやんぞ?」
「あはははっ、君は面白い事を言うね? 八つ当たり? 違うよ。君達人間は、偉大なるあのお方が作り出した偉大なる失敗作なのさ! だから僕は、失敗作である人間を消さなければならないんだよ」
この言葉を聞いて、三戸は納得してしまった。ルシフェルは神の狂信者なのだ。神への愛が深すぎる故にそれが歪み、忌諱されたしまったのだ。
この手合いは人間の中にも沢山いる。自分が悪いなどとは考えずに、ひたすら神への忠誠や信仰を間違った形で暴走させる迷惑な手合いだ。
そしてこのルシフェルは、神の失敗作である人間を抹殺する事が自分に与えられた試練であり、名誉挽回のチャンスでもあると考えている節がある。
「それに、君達では僕には勝てないんだ」
ルシフェルがそう言うと、基地を構成していた施設や防壁、砲台などが元の土へと戻っていく。
「これは! リチャードの能力!?」
三戸が驚いているが、衝撃はまだ続く。
「全く……神がお造りになられたこの箱庭に、無粋な物を造るのはやめて欲しいなあ」
更に、全てが更地になった場所を埋めるように、草木が移動を始めた。
「コレは……青龍さんの力……」
救世者の能力のみならず、相棒の能力すら自在に使いこなすルシフェルに、アンジーも驚きを隠せない。
「さあ、これでアダムとエヴァを守るものはいなくなったよ? どうだい? 引き渡す気になってくれたかい?」
相変わらず、瞳に狂気を宿した笑みを浮かべながら、ルシフェルは二人の引き渡しを要求してくる。
確かに基地は無くなり、アダムとエヴァを守る者は自分達と四体のデーモンのみ。三戸の脳内で最善の策を探し求める作業がひっきりなしに行われている。
「僕はね、あまり気が長い方じゃないんだ」
ルシフェルの右手の指が光った。
『グギャアアアア……!』
「何だ!?」
「エレファント!」
三戸達が一斉に悲鳴の方向を振り向くと、そこにはアダムとエヴァの前で壁になっていたエレファントが息絶えていた。
「分かったかい? やろうと思えばいつでもやれるんだ。でもボクは無駄な戦いを好まない」
「そうかい。ウチの連中と違って好戦的じゃないのはよく分かった。けど、どうあってもあの二人をやらせる訳にはいかねえんだ!」
三戸はそう言い放つと、アンジーと二人、ルシフェルの左右へ移動し挟み込むポジションをとった。
「ふう、残念だよ」
それを見たルシフェルは、心底悲しそうな表情で瞼を閉じ、ゆっくりと頭を左右に振る。戦いたくはない。それは本心なのかもしれない。そこにいた誰もそう思った。
「たとえお前に戦う理由が無くても! 俺には戦って守らなきゃならねえものがあるんだよ!」
しかしその迷いを振り切るように、三戸の絶叫が響き渡る。
両肩の四連装ランチャーのカバーが開き、計八発のミサイルがルシフェル目掛けて発射された。また、逆方向からはアンジーが放った空対空ミサイルが発射されていた。二人はそれで攻撃の手を緩める事なく、20mm機関砲を放ちながら高速でルシフェルに迫る。
「そんな物は効かないよ? さっき見せたよね?」
ルシフェルの左手が動く。先程のように重力操作でミサイルを止めて落とすつもりか。
「させんよ」
しかしルシフェルの重力操作は発動しなかった。いや、正確に言えば発動はした。だがそれはサラディンによって相殺されたのだ。
「あれ?」
すでに回避不能な距離まで迫っているミサイルに、ルシフェルは焦る。
「ちっ!」
回避が間に合わないと見るや、彼は両腕をクロスし、身体を丸めた。そして六枚の黒い翼が彼を包み込む。直後に、ミサイルが全弾命中し大爆発が起こった。
額発の燃焼と煙で視界が遮られている間に、三戸とアンジーはそれぞれ直上と真下に移動し20mm機関砲を構えた。この辺りは打ち合わせもしていないのに、阿吽の呼吸で相手がしたい事が分かってしまう。
しかし、爆発が収まった時、三戸とアンジーは目を見開いた。
ルシフェルは全くの無傷で、左右の腕をそれぞれ上と下に向け、三戸とアンジーに狙いを定めていた。
「ふう、驚いたなあ。無傷なのはいいけど、爆発に巻き込まれるのは精神衛生上よくないね!」
そう言いながら、彼は指先を光らせた。
0
あなたにおすすめの小説
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜
ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。
アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった
騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。
今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。
しかし、この賭けは罠であった。
アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。
賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。
アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。
小説家になろうにも投稿しています。
なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。
~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる
静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】
【複数サイトでランキング入り】
追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語
主人公フライ。
仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。
フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。
外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。
しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。
そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。
「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」
最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。
仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。
そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。
そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。
一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。
イラスト 卯月凪沙様より
少し冷めた村人少年の冒険記 2
mizuno sei
ファンタジー
地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。
不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。
旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる