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プロローグ
しおりを挟む「ねぇ、アリューシア」
私の名前を優しく母の声。
「なぁに?」
幼く拙いながらも母に応えようとする私。
「あなたは私の自慢の娘よ。だから、どんなに辛いことや悲しいことがあっても笑顔でいて?」
「うん!」
「約束よ? アリューシア……愛しい愛しい私の子」
今にも消えそうな程の儚さを感じさせる母はとても優しい声で愛しく私を抱きしめ撫でる。
そして、涙を流しながらも、か細く「ごめんね、私のせいで……。私が弱いから……、お父様やあの人たちのことを恨まないであげてね?」と耳元で言い。
か弱く細い腕で私を抱きしめる母は温かかったが、幼いながらも私には泣きそうなくらい嬉しくて、胸が締め付ける程に切なかった。
あぁ、これがきっと最後なんだと。
アリューシア・リーシア・ヴァレンタイン5歳の時のことだった。
あれから、幾年ものの時が経ちーー。
お母様、私、アリューシア・リーシア・ヴァレンタインは今日も元気で屈折しながらも過ごしてます。
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