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ヴァレンシュタイン皇国
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ヴァレンシュタイン皇国。
古より聖なる神々たちが住まう皇国と言われ、そこには女神様と称される聖女がいたとされる神聖な国。
初代ヴァレンタイン皇族、初の聖女が生まれたのは1450年前だとされる。彼女は癒しの力を持っていたとされるが、どの文献も詳しい事は書かれておらず、ただ『美しい女神のような癒しの姫君』だとしか分からなかった。
それ以降、聖女が生まれたのはたったの6人。その6人の聖女が皆、個々は違えけれど特別な力を持っていたそうだ。
また、聖女たちはその特別な力をもって皇国に繁栄栄華をもたらした。
すると隣国の国々たちがそのことを耳にし、『ヴァレンシュタイン皇国の聖女を手に入れるとその国は富と栄誉を得る』と噂が噂を呼び、いつからか『聖女は幸運の女神』だと。
そして、隣国の国々たちから聖女は狙われるようになり『聖女狩り』が起きた。
ヴァレンシュタインの女を見れば、聖女だと隣国の者たちは言い女達を攫う。違えばその場で切り捨てる。
聖女は皇国にとって神聖な者であって、道具やお守りではないのだ。
だからこそ、そんな風に扱うことは皇国にとって侮辱に等しく、そんなことを起こされたらそれは皇国にとって戦争にも等しいと言えるものだ。
国の憂いを帯び、このままでは聖女はおろか、皇国から女がいなくなってしまうと危機を感じた国王と教皇は、聖女と国中の女子供たちを神殿の最奥地である聖域の塔に閉じ込めた。
皇国は国を行き来するのも制限し、高い砦を作り、他国の者たちを拒絶し、軍事を強化させたことにより、聖女狩りは一部減ったが、それでも不安は残る。
聖女たち女子供は不安を伴いながら、塔の中で暮らしていたが、それも長くは持たなかった。
精神的ストレスが多く、食料自体も給付はされるが多くない。まして食べ盛りの子供たちも多い中、少ない食料でやり繰りは厳しかった。
塔の中はロウソクの灯りのみ。
陽の光なんてないにも等しい。
皆、不安やストレス、空腹が募る一方。最後に死者が出て、限界がきた。
聖女は国を憂い、涙を流し、神々に祈った。
「神様、私は聖女と皆から呼ばれてはいますが、それは名ばかりです。私の力ではこの国を……いえ、側にいる人達でさえ守れはしないのです」
私に力があればと切に願う聖女。
聖女は祈りとともに言った。
「神様、この皇国をお救い下さい! 願わくは、永久の平和を! その代償……いえ、対価は私に。私はどうなっても構いません! 願うなら神々に、この祈りを願いたもう、叶えたもう!」
神は聖女の願いを聞き届けたのか、祈りを捧げた翌日。
隣国の国々に雷が落ち、三日三晩の嵐が来て、雨は来ず日照りは続き、食物は枯れ果て、未知の疫病が流行し、国は瓦解寸前まで追い込まれた。
国々達は皆揃えてこう口にした。
『我らは神の怒りをかってしまった』のだと。
気づいた頃にはもう遅かった。
聖女……いや、最初からヴァレンシュタイン皇国には手を出してはならないのだ。
人は神に近づき過ぎてはいけない。
どんなに翼を持っていようが、最後には焼かれてしまうのだから。
神々たちが住まう皇国と言われるだけはあるのだと隣国の国々達に知らしめたヴァレンシュタイン皇国は永久の平和と繁栄栄華を手に入れた。
隣国の国々は世界各国にこの一件のことを伝え、二度とあの国には手を出してはならない! 手を出せば神の裁きがくだるだろうと。
その一件後の翌年、皇国救った聖女はまるで自分の死が分かっていた、いや役目が終わったとばかりに安らかにこの世を去った。
享年17歳。聖女の名はアリーシャ・レウス・ヴァレンタイン。
3代目の聖女にして、ヴァレンシュタイン皇国第2王女であった。
聡明であり、何よりも民を想い大切にする彼女は人々から愛され大切にされ、太陽みたいな子だと。
今でも、その物語は語り受け継がれている。
古より聖なる神々たちが住まう皇国と言われ、そこには女神様と称される聖女がいたとされる神聖な国。
初代ヴァレンタイン皇族、初の聖女が生まれたのは1450年前だとされる。彼女は癒しの力を持っていたとされるが、どの文献も詳しい事は書かれておらず、ただ『美しい女神のような癒しの姫君』だとしか分からなかった。
それ以降、聖女が生まれたのはたったの6人。その6人の聖女が皆、個々は違えけれど特別な力を持っていたそうだ。
また、聖女たちはその特別な力をもって皇国に繁栄栄華をもたらした。
すると隣国の国々たちがそのことを耳にし、『ヴァレンシュタイン皇国の聖女を手に入れるとその国は富と栄誉を得る』と噂が噂を呼び、いつからか『聖女は幸運の女神』だと。
そして、隣国の国々たちから聖女は狙われるようになり『聖女狩り』が起きた。
ヴァレンシュタインの女を見れば、聖女だと隣国の者たちは言い女達を攫う。違えばその場で切り捨てる。
聖女は皇国にとって神聖な者であって、道具やお守りではないのだ。
だからこそ、そんな風に扱うことは皇国にとって侮辱に等しく、そんなことを起こされたらそれは皇国にとって戦争にも等しいと言えるものだ。
国の憂いを帯び、このままでは聖女はおろか、皇国から女がいなくなってしまうと危機を感じた国王と教皇は、聖女と国中の女子供たちを神殿の最奥地である聖域の塔に閉じ込めた。
皇国は国を行き来するのも制限し、高い砦を作り、他国の者たちを拒絶し、軍事を強化させたことにより、聖女狩りは一部減ったが、それでも不安は残る。
聖女たち女子供は不安を伴いながら、塔の中で暮らしていたが、それも長くは持たなかった。
精神的ストレスが多く、食料自体も給付はされるが多くない。まして食べ盛りの子供たちも多い中、少ない食料でやり繰りは厳しかった。
塔の中はロウソクの灯りのみ。
陽の光なんてないにも等しい。
皆、不安やストレス、空腹が募る一方。最後に死者が出て、限界がきた。
聖女は国を憂い、涙を流し、神々に祈った。
「神様、私は聖女と皆から呼ばれてはいますが、それは名ばかりです。私の力ではこの国を……いえ、側にいる人達でさえ守れはしないのです」
私に力があればと切に願う聖女。
聖女は祈りとともに言った。
「神様、この皇国をお救い下さい! 願わくは、永久の平和を! その代償……いえ、対価は私に。私はどうなっても構いません! 願うなら神々に、この祈りを願いたもう、叶えたもう!」
神は聖女の願いを聞き届けたのか、祈りを捧げた翌日。
隣国の国々に雷が落ち、三日三晩の嵐が来て、雨は来ず日照りは続き、食物は枯れ果て、未知の疫病が流行し、国は瓦解寸前まで追い込まれた。
国々達は皆揃えてこう口にした。
『我らは神の怒りをかってしまった』のだと。
気づいた頃にはもう遅かった。
聖女……いや、最初からヴァレンシュタイン皇国には手を出してはならないのだ。
人は神に近づき過ぎてはいけない。
どんなに翼を持っていようが、最後には焼かれてしまうのだから。
神々たちが住まう皇国と言われるだけはあるのだと隣国の国々達に知らしめたヴァレンシュタイン皇国は永久の平和と繁栄栄華を手に入れた。
隣国の国々は世界各国にこの一件のことを伝え、二度とあの国には手を出してはならない! 手を出せば神の裁きがくだるだろうと。
その一件後の翌年、皇国救った聖女はまるで自分の死が分かっていた、いや役目が終わったとばかりに安らかにこの世を去った。
享年17歳。聖女の名はアリーシャ・レウス・ヴァレンタイン。
3代目の聖女にして、ヴァレンシュタイン皇国第2王女であった。
聡明であり、何よりも民を想い大切にする彼女は人々から愛され大切にされ、太陽みたいな子だと。
今でも、その物語は語り受け継がれている。
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