『恋愛短編集①』離縁を乗り越え、私は幸せになります──。

Nao*

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婚約破棄され私の家に押し掛けた義妹と夫が、ただならぬ関係となってしまいました。

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 私の元に、婚約破棄され行き場がないと言う妹が転がり込んで来た。

 そして彼女は、仕事や住む場所が見つかるまで、この家に居候させて欲しいと言う。

 私は余りいい気はしなかったが…夫がそんな妹を憐み、好きなだけこの家に居ればいいなどと言ってしまい…結局、妹を家に置く事に─。



 すると夫は、妹をまるでお客様の様にもてなし…それに居心地の良さを感じた妹は、家や仕事を探す事を辞めてしまった。

 私は夫に…あの子はただの居候なのだから、そんなに甘やかさなくていい…このままではあの子がここに居着いてしまうと言った。

 しかし夫は…それなら家で使用人でもやって貰なんだなえばいい…わざわざ外に働かせに行かせる事は無いと言った。



「あんな可憐で可愛い子が、外でこき使われるの可哀相だ。しかし…お前は姉の癖に、あの子に冷たすぎやしないか?やはり、彼女の言って居た事は本当なんだな。」

「あの子…一体何を言ったんです?」

「お姉様は自分が地味だから、可愛い私に嫉妬しいつも厳しくして来る…こんなの虐めと同じだと、そう言って泣いて居たぞ?婚約破棄されただけでも辛いのに、頼った先でお前に虐められるなど…本当にあの子は可哀相だ。俺はそんなお前に代わり、彼女を甘やかして居るだけ…それの何が悪い。」

 そう話す夫に、私はとても嫌な予感がした。

 妹は…そうやって私を悪者に仕立て上げ、いつも私から殿方を奪って行った。

 彼女の婚約が決まり、もうそんな事は無いだろうと安心して居たのだが…またこんな事になってしまうとは─。



 そんな中、私が必死に貯めて居たお金が無くなると言う事件が起きた。

 私は夫に、あのお金をどうしたのかと尋ねた。

 すると夫は…妹に生活費として使って貰おうと、全て渡したのだと答えた。

「あれは、私達の結婚式を挙げる為にと貯めて居たお金だったじゃない!どうしてあの子にあげてしまうのよ!?」



 私と夫が結婚した時…彼の事業が上手く行っておらず、資金面で式を挙げる事が叶わなかった。
 
 だから私は、少しずつお金を貯め…来年にも、念願だった結婚式を挙げ様として居たのだ。

「そんなもの…もう面倒だ。そんな事より、俺は彼女を喜ばせてあげたいんだよ!」

 夫のその言葉を聞いた時…私の中で、彼への愛情が音を立てて崩れて行くのを感じた。



 この人は、もうすっかり妹を溺愛してしまって居る。

 私の笑顔より、妹の笑顔を見たいと…彼女の幸せの方を取ったんだもの。

 そして私は、そんな夫とはもう離縁し…全ての元凶となった妹を、この家から追い出す事にしたのだ─。



 その後…妹は、私のお金を盗み取ったとして捕らえられる事に─。

 私のお金を許可なく奪い使ったと、私がそう訴えたからだ。

 すると妹は…姉妹の間の貸し借りだと言い、自分に罪がない事を訴えた。

 そして、彼女は暫くして牢から出されこの家に戻って来たが…すぐに娼婦として娼館に売り飛ばされる事になった。



 妹は、どうして私がそんな所で働かないといけないのと嘆いたが…あなたの様な女がまともに働き、私にお金を返済出来るとは思えないからね。

 それにあなたみたいな男好きには、そう言う場所がお似合いだわ。

 聞けば婚約破棄された理由も、あなたの男遊びが原因だったそうだしね─。



 すると妹は…私の夫の名を呼び、必死に助けを求めた。

 そうすれば、また彼に庇って貰えるとでも思ったのだろう。

 だが…もうこの家に、彼の姿は無かった。

 

 と言うのも…私は彼に離縁を突き付けると、彼を辺境の地に追い出してしまったからだ。

 どうしてそんな事が出来たのかと言うと…それは、彼の亡き父親との約束だったのだ。

 病気の自分の世話を何もせず、冷たい息子には…辺境にある土地しか与えない。

 もし私が彼に酷い事をされたら…そこに息子を送り出すが良いと、そう遺言を受けて居たからだ。


 
 勿論、彼はそれを拒否したが…もし言う事を聞かないなら、あなたも泥棒として牢に送りだす、妹と同じ目に遭って貰う事になると言うと、彼は真っ青な顔になり私に従った。

 そして今は辺境の地にあばら家を建て、ひもじい生活を送って居るのだ。

 そしてそれを知った妹は、ガクリと肩を落とし娼館の主に引き取られて行った。



 その後…私は元夫の父親が残した貴金属や調度品を売り、それを元手に自分で事業を始めた。

 元夫の事業を手助けして居た時から言われて居たが…私には中々商才があった様で、事業はすぐに軌道に乗った。

 それから少しして…縁あって、事業の協力者として知り合った殿方と再婚する事に─。



 そして私は、ついに念願だった結婚式を挙げる事が出来たのだ。

 とびきり素敵なドレスを仕立てて貰い、それを纏い微笑む私に…夫となる彼は、とても美しいと言って褒めてくれた。

 私はそれがとても嬉しく…これからも彼とこんなふうに素敵な時間を作って行ける様、互いに助け合い生きて行こうと心に誓った─。
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