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美しい義妹が出来たら婚約者の性格が豹変…女好きになり、彼女とも関係を持って居ました。

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 私には婚約者が居るが…彼は素朴で真面目な人で、私はそんな彼が大好きだった。

 そして彼も、私をとても大切にしてくれて居た。

 私達は、相思相愛の仲だった。

 だが…彼に美しい義妹が出来てから、私達の仲は滅茶苦茶になってしまった─。



 その義妹となった女は、彼の父親の後妻の連れ子だった。

 その親子は王都でも有名な美人だったそうで…それを聞き付けた彼の父親がわざわざ王都まで足を運び、母親の方に後妻になる様に迫ったそうだ。

 そして、それを受け入れた女は…娘も一緒ならばと言う条件で、彼の家にやって来たのだった。

 

 彼は、血の繋がらない妹に始めは戸惑い緊張して居た。

 しかし…義妹はそんな彼に愛嬌たっぷりで近づき、そして彼にこう言った。

『お兄様はもっとお洒落をすれば、とても素敵な殿方になりますわ!こんな田舎に…そしてあんな地味な女の婚約者に収まるには勿体ない方です。』

 
 
 母親譲りの美しい容姿の彼女にそうおだてられた彼はすっかりその気になり…その日から、容姿を磨く事に一生懸命になった。

 そして彼は、あっという間に垢抜け…この地一の美形だと持て囃される様に─。

 するとそのせいだろうか…彼は傲慢で、そして大層女好きの性格へと変わってしまった。

 そんな彼は、もう私では満足できない様で…容姿の良い女に次々と声をかけ、自分の傍に置く様になった。

 そしてその女達と一緒になり、私の容姿を馬鹿にし笑うのだ。

 私は…そんな彼を酷いとも思ったが、彼を唆した義妹の事も恨めしく思った。



 そんな中…その義妹と彼が、体の関係にあるのでは無いかと言う話を、彼の友人から聞かされる事に─。

 何でも、借りた本を返しに彼の家を訪ねたら…彼の部屋から、義妹が髪や服を乱し飛び出て来たそうだ。

 そして彼のベッドは乱れ…そこに、情交の気配を感じたのだと言う。

 そこで私は、思い切って彼の家を訪ねる事に─。

 今日はご両親は出かけると聞いて居たから…家には義妹と彼が残って居る。

 もし、二人がまた同じことをして居たら…私はその時、どうするのかしら─。



 しかし彼の家を前に、私は足が震えてしまい…どうしても中に入れなかった。

 そこで裏庭に回り、こっそり中の様子を伺おうとしたのだが…何とその裏庭に、彼と義妹の姿が─。

 二人は人目を気にすると…その場で抱き合い、熱い口づけを交わし始めた。
 
 更に彼は、義妹を木に押し付け…その手を彼女のドレスの中に─。

 私は思わず目を反らしたが…そこから聞こえて来る二人の荒い息遣いに、何が行われて居るか嫌でも分かってしまった。


 
「ウフフ…お兄様がこんなにいい男になったのは、全て私のおかげね。」

「そうだな。今となっては、どうしてあんな芋臭い女を大事にして居たのか…もう、今すぐにでも婚約破棄したいよ。」

「そしたら、私を愛してくれる?いっそ、私と駆け落ちしちゃいましょうよ。」

「それは良いな。わざわざ婚約破棄を告げるのも面倒だし…。だったら今週末から、俺が持つ別荘で二人で暮らそう。あそこなら、邪魔が入らないから─。」

 そう、二人は睦言を交わして居た。


 
 それを聞いた私は…あなたが持つ別荘? 

 何を馬鹿な事をと思ったが…いっそ、このまま二人を駆け落ちさせてしまおうと思った。

 むしろ、そうした方が二人に痛い目を合わせる事が出来る─。



 そして週末になり…二人は朝早くにこっそり屋敷を抜け出し、別荘へと向かった。

 その後…別荘に着いた彼は鍵を開け、ご機嫌で足を踏み入れたのだが…中に居た私を見て、真っ青な顔になり固まった。

 続いて入って来た義妹も、その美しい顔を引きつらせている。



「ど、どうしてあなたがここに居るの!ここはお兄様の別荘で─」

「違うわ、この別荘は私の物よ?何故なら…この別荘を買うお金を出したのは、この私だから。なのにあなたはそんな事をすっかり忘れ、ここを自分の物だと…あなたは、本当にろくでもない男に変わってしまったわね。」

「う、うるさい!と言うか…そんな事を言う為だけにここに来たのか?」

「いいえ…それだけじゃなく、あなたと婚約破棄しようと思ってね。」


  
 私から先に婚約破棄を突き付けられ…彼は一瞬驚いたものの、喜んで別れてやると言ってきた。

「だったら…あなたの家に毎月送って居る支援金も、事業に出して居る協力金ももう無しよ。そうなったら…あなたの家はもうお金持ちじゃなく普通の家ね。あぁでも…その女と母親が贅沢三昧してるから、むしろ借金を抱えるかも知れないけど…でも、それも仕方ないわよね。」

「…え?」

「何それ、どういう事!?」

 義妹は、彼の家をお金持ちと思って居た様だが…その彼の家よりも、私の家の方がお金持ちで…彼が裕福に暮らして来れたのは、私の家のおかげだったのだ。



「昔のあなたなら、そういう恩を忘れなかったと思うんだけれど…でも、もう駄目ね。女に狂い、血が繋がってないとはいえ妹とまで関係を持った男を、私はもう愛せない…。今日でお別れよ。」

 そして呆然とする彼と困惑する義妹を、私は別荘から追い出す事に─。

 そんな私に、彼は泣き付こうとしたが…それを制したのは、二人の関係を教えてくれた彼の友人だった。

 どうしてこいつがここにと驚く彼に、私はこう言った。



「実は…彼に好きだと告白されてね。あなたと婚約破棄したら、付き合って欲しいと言われて居たの。彼は真面目で誠実で…今のあなたよりもうんと魅力的だわ。だから、まずはお友達として私のお気に入りの別荘に招待したのよ。」

「そう言う事だから、お前達は邪魔だ。駆け落ちするなら他所でやれ。まぁ…もうそんな馬鹿な事をしてられないだろうがな。彼女の家からの援助がなくなれば…お前は呑気に女と遊んで居る場合じゃなくなるぞ?」

 友人の言葉に、元婚約者は慌てて家へと戻って行き…義妹はこんなはずじゃなかったと涙したのだった─。



 その後…彼の家の事業はあっという間に傾き、多額の借金を抱え破産する事に─。

 すると、こうなったのも全て息子達のせいだと怒った父親と後妻は、二人に借金を押し付ける形で雲隠れしてしまった。

 そのせいで、元婚約者と義妹は借金取りに追われる事になり…駆け落ちどころか、借金取りから逃れる為の逃避行をする羽目に─。

 その日々は、まさに地獄の様なものらしく…偶然二人を見かけたが、どちらも酷くやつれてしまい…以前の美しい面影は全く無かった。



 そんな二人を、私はじっと見つめて居たが…恋人との待ち合わせに遅れると、背を向け歩き始めた。

 あれから私は、彼の友人と正式にお付き合いする事にしたのだ。

 彼もかなりの美形で、元々女性から人気だったが…彼は相変わらず私だけを一途に愛してくれ、とても大事にしてくれる。

 私は、そんな彼の愛なら信じられるし…これからも一途に彼を愛して行こうと、あの二人を見て改めて心に誓ったのだった─。
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