『恋愛短編集②』婚約破棄の後には、幸せが待って居ました!

Nao*

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婚約者が最近優しくなったので嬉しく思って居たら、全く愛されて無い事を知ってしまいました。

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 最近の婚約者は、私にとても優しくしてくれる。

 今日だって、私に新しいドレスを買って来てくれた。

 その前は、美しいバラの花束を…そしてその前はネックレスを─。


 家同士の約束で婚約した私に、以前は素っ気なかった彼だけれど…きっと、漸く私の事を好きになってくれたんだわ─。

 私は、彼の変化をそう嬉しく思って居た。



 しかし私は、自身の幼馴染からそんな彼の驚くべき裏の顔を聞く事になった。

 始めは幼馴染の言う事が信じられなかったが…彼から貰った物を思い出してみれば、その話が決して出鱈目だとは思えない。

 そこで私は、自ら町へ赴く事に─。



 するとそこには…ある店の前で、店員と仲良さげに話す婚約者の姿があった。

「…それでな、俺が今度は何が欲しいか聞いてもしっかり答えないんだ。本当にあいつは愚図で鈍間な女だよ。」

「その女、本当はあなたの事など大して好きじゃないのよ。だからまともに答えられないんじゃない?」

「成程…しかしそれなら、尚の事腹立たしい!だって俺は、本当はあいつなど愛してないのだから─。こうして他所に女でも作らななきゃ、やってられないよ。」

 

 二人の会話を聞き…幼馴染の言って居た事は本当だと、私は確信した。

 彼は、私の事を裏ではそんなふうに罵って居たのか。

 

 すると店の女は…そんな彼に体を預け、必死に彼の機嫌を取った。

「あなたの事は、その女に代わり私が沢山愛してあげるからもう怒らないで?私、あなたが久しぶりに私の店に来てくれるのを待ってたんだから。」

「そうか!じゃあ、今日はお前の店であいつに何か買って行くよ。そうやって機嫌を取っておけば、あいつとの婚約関係は続き…あいつの父親から、俺の事業に支援金を出して貰えるからな。」
 


 やはり彼は、私の家が出すお金が目当てか。

 その為に、愛しても居ない私と婚約関係を続ける必要があり…最近のプレゼントはその為の手段で、決して私を好きになったからでは無かったんだ。

 どこまでも馬鹿にして…許さないんだから─!



 翌日…私は彼を呼び出し、婚約破棄を告げた。

「私はもう、あなたの偽りの愛には踊らされません。」

「お、落ち着けよ…もう一度考え直せ、な?」

 そう言って、彼は私を必死に宥め…今度はもっと高価な物を買って来てやるからと言った。


「だから、それがもう要らないんです!あなたは関係を持った女の店で、私への贈り物を買って居たんでしょう?しかも、自分は一切選ぶ事は無く…その店の女に任せきりで─。そんな心の籠って居ない贈り物など、貰っても虚しいだけよ!」

 そして私は、ある書類を彼に付き付けた。



「これはある人物が、あなたが関係を持った女の店を調べ…そこで何を買ったかを記した物です。未だ私の手元に残って居る物とここに書かれた商品名等を突き合わせれば…あなたの浮気の立派な証拠となるでしょう。」

「そ、そんな…。」

「この件は、お父様にも報告しましたから…今日の婚約破棄をもって、あなたの事業への支援金も取りやめとなります。」

 それを聞いた彼は、そんな事をされたら俺の事業は終わりだなどと嘆いて居たが…私は、そんな彼を決して許す事は無かった。



 その後、私は彼に慰謝料を請求し…足りない分は、今までに彼に贈られた物を全て売り払いお金に変える事で補った。

 事業が傾き破産寸前の彼に慰謝料を求めても、とても全額払えそうになかったし…このままあの贈り物を手元に置いておくのも嫌だったから、良い判断だったと思うわ。
 
 
 その後…こんな事になった彼は、店の女達から避けられる様になり、更には借金取りからも追われる様になり…この地に居辛くなったのか、夜逃げでもしたかのように姿を消した。

 そしてそれきり、その行方は分からない。
 
 

 一方、私はと言うと…彼の裏の顔を気づかせてくれた幼馴染と深い仲となり、恋人として交際を始めて居た。

 聞けば、彼は前から密かに私の事が好きだった様で…急に私に優しくなった彼を怪しみ、ああして調べてくれて居たのだと言う。



「本当に愛する人には、損得無しにこうして贈り物をしたくなるものだ。俺は、君がこうして喜んでくれるだけで十分幸せだ…見返りなど考えない。」

 そう言って、私の好きな色の石を嵌め込んだ髪飾りを送ってくれる彼に…私は今度こそ、本当に誠実で素敵な人と結ばれる事が出来たと心から幸せを感じるのだった─。
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