『恋愛短編集②』婚約破棄の後には、幸せが待って居ました!

Nao*

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婚約者に溺愛されるのは、私ではなく彼の幼馴染でした…もう耐えられません。

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 私の婚約者には、溺愛する可愛い幼馴染の女が居る。

 そして彼は、そんな彼女をいつも私に自慢して来た。



 彼から彼女が如何に愛らしく素晴らしい存在かを聞かされる度…私はあなたに一度もそんなふうに言われた事は無いのにと嫉妬ばかりしてしまって居た。
 
 そしていつもそんな自分に対し、後から嫌悪すると言う毎日を送って居た。



 当然、そんな婚約生活は幸せでは無かったが…ただ私も、彼女に対し嫉妬ばかりして居る訳では無かった。

 私も彼に誇って貰えるような自慢の婚約者になろうと、外見は限度はあるが…多くの知識を付けたり内面を磨く事に関し努力を怠らなかった。



 だがそんな努力も、結局彼女の可愛さの前には何の意味も無かったのだろうか…。

 ある日私は、彼と彼女が密会して居る所を見てしまった。


 
 何と彼は、私とはいずれ婚約破棄する…君を新たな婚約者に迎えると彼女に約束をして居たのだ。

 それに対し彼女も、その日が来るのを楽しみに待って居ると返すのだった。



 彼が彼女を溺愛して居るのは分かって居たが、彼女も彼に対しそう言う気持ちを抱いて居たとは…。

 そしていずれ結ばれようと思って居たとは、今の今まで気づかなかった─。



 ショックを受ける私だったが、そんな私に声をかける者が─。
 
 それは、私や彼女と同じ学園に通う幼馴染だった。

 

 彼は生徒会長でもあり、ある生徒の問題行動について学園長に相談した帰りだった。

 その生徒が果たして誰なのか、一生徒である私はまだ知らないが─。


 
 すると幼馴染も密会する二人の存在に気付いたようで、私が置かれた状況をすぐに理解したらしい。

 そして落ち込む私に対し、近く君の苦しみは終わる…だからもう悲しい顔はしないでくれと言って慰めてくれた。



 その時の私は、幼馴染の言う事がよく分からなかったが…翌日学園に行けば、その意味をハッキリと理解する事が出来た。


 
 学園の掲示板には、退学になった生徒と辞めさせられた教師の名前が書かれており…二人は肉体関係があり、その見返りとして女生徒は成績を学年一位にして貰って居たと言う事だった。

 そしてその女生徒の名は…婚約者が溺愛して居る幼馴染だった。



 するとその日の内に、彼女は学園だけでなくこの地からも姿を消す事に─。
 
 更なる悪評が広まるのを恐れた彼女の両親が、彼女を田舎の修道院へ送ったらしい。

 そしてそれは私の婚約者の耳にも入る事となり…彼の落ち込みようはそれは酷いものだった。


 
 すると彼は、婚約者として弱った自分を慰めろと私に命じて来たが…私はそれを拒否、今日限りで婚約破棄して欲しいと言った。
 
 彼は驚いたが、それにはある理由があった。



 実は、彼は自分で事業を立ち上げて居るが…売り出す商品の全てに今回修道院送りとなった彼女の名前を付け、広告塔にも彼女を起用して居たのだ。


 
 だが今回の件を受け、彼の扱う商品は世間から非難の目で見られたり批判の的となり…今後彼の事業は間違いなく傾き、彼は多額の負債を追う事になるはずだ。

 でもそんな事にも気づかないとは、事業主として如何なものかと思うわ…。



 私は敢えてその事には触れず、彼女と浮気をして居る現場を見てあなたが信じられなくなった…こんな気持ちではこの先やって行けないからだと言い彼を納得させた。

 そして貰える内にと慰謝料を請求…それを確かに受け取ると、彼とはキッパリと縁を切った。



 これで私は、あの女の話を聞かなくても済むわね。

 彼女の自慢話だけでなく、もう名前すらも聞きたくないし…今後訪れるであろう不幸に巻き込まれる前に彼と別れられて本当に良かった─。



 その後…私の予想通り、元婚約者の事業は傾く事に─。

 そして負債を抱えた彼は父親や親族から縁を切られ、遂には路頭に迷う事になった。

 そうなって、あんな幼馴染を溺愛し自慢した自分を恥じる事になったが…もう全てが遅いのだった。



 一方、私はと言うと…彼と婚約破棄になったからと言って、これまでの努力が無駄になる事は無かった。

 と言うのも…その賢さを幼馴染の両親に見込まれ、彼の婚約者になる事が決まったからだ。



 どうやら、幼馴染やご両親は努力家の私を前から気に入って居たが…私は既に家同士の繋がりであの人と婚約して居た為言い出せなかったらしい。

 でも私がこんな事になり、他の人が目を付けない内にとすぐに私を婚約者に迎えてくれたのだ。



 幼馴染の彼をそう言う目で見た事は無かったが…彼は私の事を元婚約者のように周りに自慢こそしないが、私の努力を常に認めてくれて居た。

 そして、いつも優しい目で私を見守ってくれて居たのだ。



 そんな彼の存在があったからこそ、私は厳しいお稽古事や習い事に精を出せたし…そう考えれば、今の私が在るのは幼馴染のおかげと言っても過言では無いわ。
 


 それに気づいた私は、幼馴染の事が今まで以上に好きだと思えるようになり…その結果、彼の気持ちに応える事に─。

 そして今では彼の婚約者として、彼に大事にされとても幸せな日々を送って居る─。
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