『恋愛短編集②』婚約破棄の後には、幸せが待って居ました!

Nao*

文字の大きさ
86 / 137

再会を果たした婚約者の心は既に別の女に…そして私は、別れを告げられてしまいました。

しおりを挟む
 父の事業の関係で、一年ほど王都で過ごす事になった私。

 一年経てば戻って来られるとは言え、私は婚約者と離れる事が寂しかった。



 すると彼は別れの際、私の帰りをここで待って居る…会えなくても毎日私を想うと約束してくれた。



 その日から私はそれを心の支えとし、王都で慣れない生活を送る事に─。

 その間、私は彼に手紙を書き続け…そして彼もそれに返事をくれて居た。

 ただ三ヶ月ほど前から、そのやり取りは無くなった。

 

 と言うのも…彼は父親から継いだ家業を拡大しようと、忙しい日々を送って居るからだ。

 そしてそんな状態なので、手紙を送られても返事が書けない…だから送って来ないで欲しいと言われて居たのだ。



 私は少しショックを受けつつも、婚約者として彼の邪魔になっては行けないと了承した。

 手紙のやり取りは無くなっても、互いを思う気持ちは変わらないし…それに、もうすぐ私はあの地に戻る事が出来るしね─。



 その後、予定通り私達一家は故郷の地に戻る事が決まり…私は早速婚約者の元を訪ねる事に─。
 
 きっと彼は、久しぶりに会う私の再会を喜んでくれる。

 そう思って居たのだが…私はそこで信じられないものを目にする事に─。



 何と婚約者である彼の隣に、見知らぬ美しい娘が寄り添って居たのだ。

 彼は私より若く容姿の良いその娘の肩をしっかりと抱き、だらしない笑みを浮かべて居た。

 そしてそれを見た私は、二人の前に飛び出し…これは一体どう言う事なのかと説明を求めた。



 すると彼は、その娘が家の前で生き倒れて居た所を助けたが…彼女には身寄りがなく、面倒を看る内に関係を持ってしまったと言う。



 それを聞いた私は、毎日私を想うと言うのは嘘だったのかと彼に迫ったが…そんな事は忘れた、ちっとも会えないお前より毎日傍に居てくれる彼女を好きになるのは当然だと彼は開き直るのだった。

 そしてそれを聞いた彼女は、勝ち誇った笑みを浮かべ私を見つめて来た。

 

 だがその顔に、私は何となく見覚えがあるような気がした。

 こんな美しい娘、どこかで会って居たらしっかりと覚えて居るはずだが…それはどこで─。



 すると私が余りに彼女を見つめるものだから、彼は私が彼女を睨み付けて居ると思ったらしく…俺の大事な人にそんな態度を取るなと言い、彼女を背に庇った。



 そして、私にもう何の好意も抱いて居ない…今の俺は彼女が好きだから、私との婚約は無かった事にすると一方的に別れを告げて来た。

 私はそんな彼を引き留めようとしたが…その手を乱暴に払われ転倒、その間に二人は家の中へと入ってしまった。



 すると丁度彼の家の前を一台の馬車が通りかかり、そこから降りて来た人物が私を抱き起してくれた。

 その相手は、私の幼馴染で…彼と会うのも実に一年振りだった。
  


 するとお幼馴染は、転んだ際に足を痛めた私を家まで送ってくれる事に─。

 そしてその道中、あの娘の話を聞かせてくれた。



 彼女はある日突然この地に現れたが…幼馴染から見て、彼女は目的を持ち元婚約者の元へやって来たような気がしたそうだ。

 と言うのも…一人歩く彼女を心配した幼馴染が助けようと声をかけたが…それは無視され、彼女は元婚約者の家に真っすぐ向かったからだ。
 
 そしてあの娘が来てから、この地で泥棒騒ぎが増えており…幼馴染は、彼女の事を益々怪しいと思ったと言う。



 すると私は、泥棒と言う言葉を聞きある事を思い出した。
 
 そして家に着くと、すぐにこの件を父に確認するのだった。



 その後、彼女を新たな婚約者に迎えようとして居た彼だったが…それは幻に終わった。

 と言うのも…その娘は窃盗罪で捕らえられ、牢に入れられてしまったからだ。



 そしてその娘は、私達一家が王都に居た頃にメイドとして雇った娘でもあった。

 彼女は私の部屋で貴金属を漁って居る所を父に見つかり、未遂と言う事もあり家から追放を受けるだけで済んだのだが…出て行く際、私に逆恨みのような感情を抱いたらしく…必ず復讐してやると嫌な笑みを浮かべ去って行った。



 家でメイドをして居た時はわざと地味な女を装って居たようで、彼の家で彼女と会った時にその正体に気付けなかったが…あの嫌な笑みは、しっかりと私の記憶に残って居たらしい。



 そんな彼女は、私に手紙をやり取りする婚約者が居る事を知っており…封筒に書かれた住所を見て彼を訪ね、そして彼を誘惑し自分の物にする事で見事復讐を果たしたのだった。


 
 また彼女はその復讐を果たしながら、小遣い稼ぎとしてこの地で泥棒を繰り返して居たようで…今度は確かな証拠があった為に、捕まえられえしまったと言う訳だ。



 するとそんな彼女を傍に置いて居た元婚約者は、この地の者達から白い目で見られてしまい…やがて家業が上手く行かなくなり、多額の負債を抱え破産…遂にこの地を出て行く事になった。



 そんな彼を、私は私を助けてくれた幼馴染と遠くから見送った。

 幼馴染は、少し前からあの娘の行動を見張って居たらしく…彼女が捕らえられるきっかけを作った存在でもあった。

 

 そして彼は、父にこの件を大層褒められ…何か礼をしたい、望みは無いかと聞かれると是非私を婚約者に迎えたいと願い出た。



 彼は以前から私に好意を持って居たそうだが…家同士の関係で私はあの男と一緒になる事が決まっており、それを言えずに居たと言う。



 こうして彼の気持ちを知った私は…私を助けてくれた優しさと怪しい者を見抜く目に、その人柄と将来性を感じ喜んで気持ちに応える事に─。



 そしてその日から、私の最愛は彼となり…その彼と今後幸せになる為、過去と完全に決別しようとあの男を見送る事を決めたのだ。


 
 すると婚約者となった彼は、そんな私の隣に寄り添い…その手をしっかりと握ると、最後まで付き合ってくれた。


 そして私は心の中で、あの男に別れの言葉を述べ…その姿が完全に見えなくなると、彼に手を引かれ共に暮らす家へと帰って行くのだった─。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妹なんだから助けて? お断りします

たくわん
恋愛
美しく聡明な令嬢エリーゼ。だが、母の死後に迎えられた継母マルグリットによって、彼女の人生は一変する。実母が残した財産は継母に奪われ、華やかなドレスは義姉たちに着られ、エリーゼ自身は使用人同然の扱いを受ける。そんなある日――。

婚約破棄されたのでサブスク聖女始めました ―平民がダメ?なら侯爵令嬢にしますが、だから何?―

ふわふわ
恋愛
「真実の愛を見つけた」 そう告げられて、王太子との婚約をあっさり破棄された聖女シャマル。 泣かない。 責めない。 執着もしない。 だって正直、 好きでもない相手との政略結婚も、 毎日王宮に通って無償奉仕する生活も、 もう十分だったから。 「必要なときだけ呼んで。報酬は時給でいいよ」 そうして始めたのは、 前代未聞の サブスク式・聖女制度。 奇跡を振りまくのではなく、 判断基準を明確にし、 数字と仕組みで回す“無理をしない聖女業”。 ところがそれが、なぜか国にとって一番うまくいく。 しかし、 「平民の娘では納得できない」 「聖女は神聖であるべきだ」 そんな声が、王と貴族たちから上がり始め―― 「じゃあ、侯爵令嬢にしましょう」 肩書だけを差し替える、 中身は何ひとつ変えない痛快対応で、 価値観そのものを静かに詰ませていく。 これは、 怒鳴らない、争わない、感情に走らない。 それでも確実に“立場逆転”していく 理屈派・ドライ聖女の静かなザマァ物語。 働きすぎないこと。 全員に好かれようとしないこと。 納得しない自由も、ちゃんと認めること。 そんな聖女が作ったのは、 奇跡ではなく―― 無理をしなくても生きられる仕組みだった。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

君だけの呼び名

章槻雅希
ファンタジー
 カリーナは自分は王子様に愛されていると確信していた。だって、彼は私にだけ特別な呼び名をくれたから。  異世界のロシア語と同じような言語形態を持つ国であり、名前には友人や親戚が呼ぶ略称、家族・恋人・主君が呼ぶ愛称がある。更には隠されたもう一つの呼び名もあり、複雑な名前の言語形態はそれを有効活用されているのだった。  『小説家になろう』『アルファポリス』に重複投稿、自サイトにも掲載。

学園では婚約者に冷遇されていますが、有能なので全く気になりません。〜学園でお山の大将されてても、王宮では私の方が有能ですから〜

織り子
恋愛
王都カラディナにある国立魔術学園では、満十六歳の生徒たちの社交界デビューを兼ねた盛大なパーティーが開かれていた。 侯爵令嬢タレイア・オルトランは、婚約者である第二王子アスラン・オグセリアの迎えを待つも、結局ひとりで会場へ向かうことになる。 学園では身分の差がないとはいえ、アスランが公然とタレイアを侮辱し続けてきたことで、彼女は生徒たちから冷笑と蔑視の的となっていた。しかしタレイアは、王城で政務を担ってきた聡明さと矜持を失わず、毅然と振る舞う。

聖女を追い出しても平気だと思っていた国の末路

藤原遊
ファンタジー
聖女が国を去った日、神官長は分かっていた。 この国は、彼女を軽く扱いすぎたのだと。 「聖女がいなくても平気だ」 そう言い切った王子と人々は、 彼女が“何もしていない”まま国が崩れていく現実を、 やがて思い知ることになる。 ――これは、聖女を追い出した国の末路を、 静かに見届けた者の記録。

働かない令嬢は、すでに幸せです  ――婚約破棄? それより紅茶の時間をください

鷹 綾
恋愛
婚約破棄された公爵令嬢、レイラ・フォン・アーデルハイド。 ――しかし彼女は、泣かない。怒らない。復讐もしない。 なぜなら、前世でブラック企業に心身を削られた元OLにとって、 婚約破棄とは「面倒な縁が切れただけ」の出来事だったから。 「復讐? 見返し? そんな暇があったら紅茶を飲みますわ」 貴族の婚姻は家同士の取引。 壊れたなら、それまで。 彼女が選んだのは、何もしない自由だった。 領地運営も、政治も、評価争いも―― 無理に手を出さず、必要なときだけ責任を取る。 働かない。頑張らない。目立たない。 ……はずだったのに。 なぜか領地は安定し、 周囲は勝手に動き、 気づけば「模範的な公爵令嬢」として評価が独り歩きしていく。 後悔する元婚約者、 空回りする王太子、 復讐を期待していた周囲―― けれど当の本人は、今日も優雅にティータイム。 無関心こそ最大のざまぁ。 働かないからこそ、幸せになった。 これは、 「何もしない」を貫いた令嬢が、 気づけばすべてを手に入れていた物語。

願いの代償

らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。 公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。 唐突に思う。 どうして頑張っているのか。 どうして生きていたいのか。 もう、いいのではないだろうか。 メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。 *ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。 ※ありがたいことにHOTランキング入りいたしました。たくさんの方の目に触れる機会に感謝です。本編は終了しましたが、番外編も投稿予定ですので、気長にお付き合いくださると嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、エール、いいねをありがとうございます。R7.1/31 *らがまふぃん活動三周年周年記念として、R7.11/4に一話お届けいたします。楽しく活動させていただき、ありがとうございます。

処理中です...