監視対象なのに、元騎士の監視役からガチ溺愛されています。

中洲める

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24話 ご祝儀はたっぷり?

24

 村には無事任務を終えたことを告げて、ギルドでもう一度調査に入ってもらうまでは森へ入らないように念押しした。
 とんでもないことになっていたと知った村長が、追加料金を払おうとしたがそれは断った。

 結果として無事討伐は完了したし、早めに依頼を出してくれたからこそ被害がなく終えられた。
 しばらくは森に入れず、肉や採取などが出来ない分に当てて欲しいと言えば、すごく感謝された。
 たぶん、任務達成の評価を高くしてくれるだろう。


 評価が上がれば、ギルドから依頼料に色がつくようになるんだ。
 俺の稼ぎが少なかったのはその評価がいつも低めだったせいもあるんだよな。

 夜も更けて、一晩村長の家でお世話になった。
 ささやかながら、少し豪華な食事も振る舞ってもらって、疲れていたせいかその日はあっという間に眠ってしまった。
 同じ部屋だったらもうちょっと色々話したかったけど、別の部屋だったし、ベッドに横になって気付いたら朝だった。
 たっぷり寝られたお陰か、魔力が戻り、歩いて帰れる程度には回復することが出来た。
 途中疲れたら、人がいないところでは抱き上げて運んでくれた。
 もっと休んでから帰ればよかったんだけど、なんだか無性に家に帰りたくて仕方がなかったんだ。

 そうしてのんびり二人で歩く帰り道は、おしゃべりにはちょうどよかった。

「なぁ、レオン。これから正式に組んで仕事をするなら、パーティ名が必要だよな?」

「そうだな」
 帰りは特に急ぐ必要はないとのんびり手を繋ぎながら、街道を歩いていく。
 すでに俺たちにはそれなりに二つ名で名前が通っている。
 その二人が組むのだからかなり話題にはなるだろう。
 その時にダサい名前で呼ばれるのは嫌だ。

 冒険者なんて、格好つけたいお年頃の奴らばっかりだから、「クリムゾン・レイヴンズ」だとか「黒炎の牙」だのいうのが多い。
 なんか呼ばれたらカッチョイイ、が基準だ。
 ただ、名前だけ格好良くても、実力が伴わないとそれはそれで恥ずかしい。
 ネーミングは難しい物なのだ。

「紅蓮の騎士と魔法使い、とか」
「災厄を鎮める者はどうだ?」
 お互いに案を出して行くがどうにもしっくりこない。
「大魔法使いと騎士……」
「自分で大魔法使いって名乗るのはどうなんだ」
「うっ、確かにダサいな」
 その日は決めきれなかった。まあ、名前くらいはゆっくり考えればいい。
 夕方には街へ戻ってきたので、ギルドに報告を入れて、追加調査を依頼した。

 危うく大事になりかけていたと知り、ギルド内にざわめきが走った。
 全て倒し、魔獣の死体自体は回収、処分をしたと報告すると、奥から出てきたギルド長が胸をなでおろす。
 大量の死体が残ったままだとそれを目当てに別の魔獣が集まってくるからだ。
「よくやってくれた。調査が終わり次第、追加料金を支払わせてもらう」
「やったー!」
「今回木々がなぎ倒されて更地になってはいるが、あれはリグルではなくビックボアたちがやったことだ。リグルはしっかり魔法を制御していた。問題ない」
 そんなフォローまで入れてくれて、レオンはやっぱりいい奴だ。
「そうか、うむ。レオンと組んでから俺の心労が減って助かる」
 いいながら、なぜかギルド長は俺の頭を撫でてくれた。
 なぜに?
「それから、監視任務は続けますが、これから俺たちはペアを組みます」
「うむ、レオンが見張ってくれているなら大丈夫だろう。これからもリグルを頼む」
 なんというか、監視任務という名の、俺の世話係に近いな、これ。
 ギルド長、完全にそのつもりでレオンを派遣した?
「登録をお願いします」
「了解した」
 レオンの声にギルド内がざわついた。

「混沌の破壊魔がついに音速の騎士に掴まったか」
「よし、賭けは俺の勝ち」
「くっそ、紅蓮の爆心地の鈍さなら絶対オチねぇと思ったのに」
「音速の騎士ならやってくれると思ったぜ!」
 ……お前ら、俺で賭けをしていたのか。
 有名人の色恋は相変わらず楽しい話題なんだよなー。
 前にも別の、美男美女のペアがくっつくかどうかを賭けてるのも見たし。
 そっちはあくまでビジネスの一時的なペアだったみたいで、普通にしばらくしたら別の相手とそれぞれ結ばれてたけど。
「レオンは知ってた?」
「何をだ?」
「俺たちがペアになるか賭けをしてたみたい、あいつら」
「何?」
 登録証が出来上がる間にそんなことを言えば、レオンが待合所兼酒場になっているテーブルの方へ進んでいった。

「ずいぶん面白い話をしていたね? 俺のリグルで賭けをしていたって?」
 さりげなく「俺の」と言ったな。
「レ、レオン!?」
「ずいぶん儲けたみたいだが、俺にも回してくれないか? せっかくだからペアを組んだ『ご祝儀』があってもいいだろう?」
 ニコニコと圧をかける姿は、騎士というより、マフィアの若頭みたいだった。
 借金取りというにはあまりに優雅で顔がよすぎるんだよな。

 他にも賭けをしていたらしい冒険者は、怯えた様に掛け金を差し出した。
「完全にカツアゲだろ」と思ったけど、レオンが楽しそうなので黙っておいた。
 

「リグル、彼らが好意でご祝儀をくれたから、夜ご飯は豪勢にしようか」
 うん、好意のご祝儀というやつではなかったけど、溜飲は下がったのでよし。
 こういったノリはよくあることだし、気にするだけ無駄なんだ。
 カツアゲをされた方も、別に怒っても恨んでもおらず、笑ってるだけだし。
 たぶん、こういうのも含めてエンターテイメントとして楽しんでる節がある。
「じゃあ、今日はステーキがいい。肉!」
「いいね、ちょっと奮発しよう」
「やったー!」
 喜んでいると、ジェンさんが登録証の発行が終わったと声をかけてくれて、それを受け取ってギルドを出た。

 前と変わらないけれど、前とは違うところもあって、それがなんだかくすぐったい。
 繋いだ手の感触も、市場の人の今日も仲がいいねとかけてくれる声に答える気持ちも、すごく新鮮に感じる。

「リグル、ローブも服もダメになってしまったから、また買いに来よう」
「うん、また選んでよ」
「ああ。リグルの服はずっと俺が選びたい」
 ずっとという約束みたいな言葉がすごく嬉しい。

 この人が、俺の恋人になったんだなぁ。
 これから、一緒に行く依頼も、食べるご飯も、きっとずっと隣にいる。
 ……ところで、恋人って何をしたらいいんだ?

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