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35 アディオス
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濃い緑色の瞳には、相変わらず知性が見えないのがとても残念だ。
――いい機会だ。子どもに教えるつもりで、ゆっくり噛んで含めてやろう。
「帰ったらきっとサマーリド卿から『丁寧な指導』があると思いますが、先にあなたが今やらかしていることが、どういった行為かお伝えしておきます」
サマーリド卿の名が僕の口から出るたびに二人の体が震え、顔色が悪くなっていく。
講師の先生方、いい仕事をなさってくださっているようで、僕は大満足です。
「まず一つ。犯罪の嫌疑も緊急の危険もないのに、前触れもなく、平民の私有の施設へ領主の名を盾に踏み込んできたこと。それは、この土地の掟を無視した『理なき権利の侵害』に当たります。要するにあなたが取った行動は、やりたい放題の我儘をやらかしたってことです」
領主の権勢がどれだけ強くても、平民の家や店を守る権利は、この領地の法でもしっかり定められているんだ。知らないとは言わせないぞ。
僕の説明にラグドル伯爵が慌てて席から立ち上がり、弁明する。
「な、俺はただ妻を……」
言い返そうとして口を開きかけた伯爵だが、喉の奥で言葉を噛み潰した。
言葉として並べられたことで、自分の行いが不当な物であったことに気付いたらしい。
一年前なら理解できなかっただろうから、気付いただけで凄いと褒めるべきだろうか。
「貴族が先触れもなく訪問するのは非礼です。それは平民に対しても同じこと。自分の名を名乗って訪れるのであれば、なおさら必要な礼儀ですよ」
「……ぐっ」
「そして、お忍びのつもりであるならば、そもそも名乗ってはいけません」
やってることが全て中途半端なんだよ、坊ちゃん。
そこだけはクラムを見習いなさい。
「そして次に! この施設のやり方を決める権利。どんな客を、どんな決まりで迎えるかを選ぶ、店の自由と責任の侵害です」
領主だからって何でも好きに出来るわけじゃないんだからな。
いい加減、我儘なお坊ちゃんは卒業してくれ。あなたはこの領地を背負う領主なんだ。
「ラグドル伯爵夫人は実際におられましたが、彼は我々が名を尋ねた時、家名をおっしゃられませんでした」
これはクラムの意図的な隠ぺいであって、僕らに非はないのだと重ねる。
「お忍びでデートと言うのであれば、最後まで身分を明かしてはなりません。名を名乗らなければここまで大事にはなりませんでしたよ」
伯爵はいうべき文句が見つからず、僕を見つめるばかり。
クラムは戻ったらサマーリド卿から行われるだろう厳しい指導の予感に怯え、もう何も言えない様子。
長椅子に座ったままだが、そばにいる伯爵の腰にしがみ付いて顔を青褪めさせている。
彼の場合は、礼儀作法を指導してくれるマドル卿からの再教育の方が厳しくなるだろうけれど。
どちらにしろ、もう屋敷を抜け出すことなど不可能なほどのスケジュールを組まれることだろう。
頑張ってくれ。
僕の言葉で集まってきた客が、話の内容を聞いて再びひそひそと会話し始める。
「あれが領主様だって……」
「支配人さん大変そう」
「奥さん、見つかったんなら早く連れて帰ればいいのに」
「あーあ。せっかく寄ったのに温泉入れないのか?」
「支配人さんがんばれぇ」
なんとなくだけど、聞こえるように言ってくれてる気がする。
お客様なの中には見慣れた顔もちらほらあって、わざとらしいくらいの援護射撃が、くすぐったくて嬉しい。
この場所が、もう僕一人のものじゃないと、改めて実感させられる。
「どうぞ、速やかにお帰りください」
大げさな仕草で優雅に礼をして、出口を手で示し、お帰りくださいを強めに言えば、ようやく口を噤んだ。
口の端がまだ何か言ってやろうとヒクついているが、ようやく自分の置かれている立場に気付き始めた様子。
だが、口では勝てないと悟ったのか、それ以上は何も言わない。
「またこのような騒ぎを起こされてはかないませんので、当施設はラグドル伯爵家に関わるの方の利用、出入りを禁止いたします」
領主や伯爵家の後ろ盾はこれでもう得られないが、元々頼まれたって断ったから、望むところだ。
二度と来るなボンクラどもめ。
僕の大事な場所を荒しやがって。
「まだごねられるのでしたら、今日の皆様の行動を細かく書状にしたためることにいたしましょう。お二人の不十分な知識や礼儀は、サマーリド卿を始めとした講師陣の方々がきっと丁寧に、じっくり、理解できるまでお付き合いくださいます。ええ」
かつて、僕も叩き込まれたことのある地獄の講義を思い出す。
あれは、本当に辛かった。
体罰はなさらないけれど、間違えたら最初からやり直し、諦めることは許されない。
そして一番恐ろしいのは、もう自分の教えは必要ないと、彼らが満足するまでその教育は終わらないということだ。
無事に卒業出来れば、教え子として可愛がってくださるんだけどね。
廃嫡された時に、最後のお便りとなりますと出した手紙の返事には、「身分関係なく友人なのだから、今まで通り交流をしよう」なんておっしゃってくださったくらいには優しい方なんだ。
厳しさは愛情の裏返しなんだけど、今この二人には理解が出来ないだろう。
この縁を繋いでくださったマリン男爵様、僕への嫌がらせのためにとてもいい講師を見つけてくださってありがとうございます。
あの頃の縁が、今ここに生きております。
青空の中にモノクロの元父の映像を思い浮かべながら、実際に言ったら盛大に嫌がられそうな感謝を心の中で述べる。
僕が厳しい教育に挫けて折れることを期待してたんだろうな。
でも、僕はやり切って良縁に変えることが出来た。
転んでもただで起きてやるもんか。転んだ先で掴んだ物で活路を開くのが商人ってもんでしょ。
「どうしますか? 今帰れば手紙の内容を手加減してさしあげますよ?」
僕の言葉に息を飲んだ二人は顔を見合わせ立ち上がる。
「クラム、帰るぞ」
「うん、帰る!」
二人は顔色を青から白に変え、伯爵はクラムを抱き上げ小走りで食堂から出て行った。
はっはっは、あの方の本気の講義は恐ろしいからな。
手紙にはしでかしたことを全て書いてやろう。
本当は、見なかったふりをしてやるくらいの器量があればいいんだろうけど――今回ばかりは、さすがに目をつぶる気にはなれない。
あの方々は曲がったことが大嫌いなんだ。
自分の教え子が道を外れることを許さない。
きっと心を尽くして「指導」してくださることだろう。
もう二度と屋敷を抜け出すことすらできないくらいにね。
マルクが二人の馬をすでに準備していて、それを受け取った二人は、そのまま門から駆け出していった。
その後ろ姿を、僕らは清々しい気持ちになりながら、後姿を見送った。
よくやったというように肩や腰を軽く叩いてくれるセドリックとヨランの気配が、いつもより近くて心強い。
感じる手の温かさが、「俺はもうあの家の道具じゃない」と、何度でも思い出させてくれていた。
濃い緑色の瞳には、相変わらず知性が見えないのがとても残念だ。
――いい機会だ。子どもに教えるつもりで、ゆっくり噛んで含めてやろう。
「帰ったらきっとサマーリド卿から『丁寧な指導』があると思いますが、先にあなたが今やらかしていることが、どういった行為かお伝えしておきます」
サマーリド卿の名が僕の口から出るたびに二人の体が震え、顔色が悪くなっていく。
講師の先生方、いい仕事をなさってくださっているようで、僕は大満足です。
「まず一つ。犯罪の嫌疑も緊急の危険もないのに、前触れもなく、平民の私有の施設へ領主の名を盾に踏み込んできたこと。それは、この土地の掟を無視した『理なき権利の侵害』に当たります。要するにあなたが取った行動は、やりたい放題の我儘をやらかしたってことです」
領主の権勢がどれだけ強くても、平民の家や店を守る権利は、この領地の法でもしっかり定められているんだ。知らないとは言わせないぞ。
僕の説明にラグドル伯爵が慌てて席から立ち上がり、弁明する。
「な、俺はただ妻を……」
言い返そうとして口を開きかけた伯爵だが、喉の奥で言葉を噛み潰した。
言葉として並べられたことで、自分の行いが不当な物であったことに気付いたらしい。
一年前なら理解できなかっただろうから、気付いただけで凄いと褒めるべきだろうか。
「貴族が先触れもなく訪問するのは非礼です。それは平民に対しても同じこと。自分の名を名乗って訪れるのであれば、なおさら必要な礼儀ですよ」
「……ぐっ」
「そして、お忍びのつもりであるならば、そもそも名乗ってはいけません」
やってることが全て中途半端なんだよ、坊ちゃん。
そこだけはクラムを見習いなさい。
「そして次に! この施設のやり方を決める権利。どんな客を、どんな決まりで迎えるかを選ぶ、店の自由と責任の侵害です」
領主だからって何でも好きに出来るわけじゃないんだからな。
いい加減、我儘なお坊ちゃんは卒業してくれ。あなたはこの領地を背負う領主なんだ。
「ラグドル伯爵夫人は実際におられましたが、彼は我々が名を尋ねた時、家名をおっしゃられませんでした」
これはクラムの意図的な隠ぺいであって、僕らに非はないのだと重ねる。
「お忍びでデートと言うのであれば、最後まで身分を明かしてはなりません。名を名乗らなければここまで大事にはなりませんでしたよ」
伯爵はいうべき文句が見つからず、僕を見つめるばかり。
クラムは戻ったらサマーリド卿から行われるだろう厳しい指導の予感に怯え、もう何も言えない様子。
長椅子に座ったままだが、そばにいる伯爵の腰にしがみ付いて顔を青褪めさせている。
彼の場合は、礼儀作法を指導してくれるマドル卿からの再教育の方が厳しくなるだろうけれど。
どちらにしろ、もう屋敷を抜け出すことなど不可能なほどのスケジュールを組まれることだろう。
頑張ってくれ。
僕の言葉で集まってきた客が、話の内容を聞いて再びひそひそと会話し始める。
「あれが領主様だって……」
「支配人さん大変そう」
「奥さん、見つかったんなら早く連れて帰ればいいのに」
「あーあ。せっかく寄ったのに温泉入れないのか?」
「支配人さんがんばれぇ」
なんとなくだけど、聞こえるように言ってくれてる気がする。
お客様なの中には見慣れた顔もちらほらあって、わざとらしいくらいの援護射撃が、くすぐったくて嬉しい。
この場所が、もう僕一人のものじゃないと、改めて実感させられる。
「どうぞ、速やかにお帰りください」
大げさな仕草で優雅に礼をして、出口を手で示し、お帰りくださいを強めに言えば、ようやく口を噤んだ。
口の端がまだ何か言ってやろうとヒクついているが、ようやく自分の置かれている立場に気付き始めた様子。
だが、口では勝てないと悟ったのか、それ以上は何も言わない。
「またこのような騒ぎを起こされてはかないませんので、当施設はラグドル伯爵家に関わるの方の利用、出入りを禁止いたします」
領主や伯爵家の後ろ盾はこれでもう得られないが、元々頼まれたって断ったから、望むところだ。
二度と来るなボンクラどもめ。
僕の大事な場所を荒しやがって。
「まだごねられるのでしたら、今日の皆様の行動を細かく書状にしたためることにいたしましょう。お二人の不十分な知識や礼儀は、サマーリド卿を始めとした講師陣の方々がきっと丁寧に、じっくり、理解できるまでお付き合いくださいます。ええ」
かつて、僕も叩き込まれたことのある地獄の講義を思い出す。
あれは、本当に辛かった。
体罰はなさらないけれど、間違えたら最初からやり直し、諦めることは許されない。
そして一番恐ろしいのは、もう自分の教えは必要ないと、彼らが満足するまでその教育は終わらないということだ。
無事に卒業出来れば、教え子として可愛がってくださるんだけどね。
廃嫡された時に、最後のお便りとなりますと出した手紙の返事には、「身分関係なく友人なのだから、今まで通り交流をしよう」なんておっしゃってくださったくらいには優しい方なんだ。
厳しさは愛情の裏返しなんだけど、今この二人には理解が出来ないだろう。
この縁を繋いでくださったマリン男爵様、僕への嫌がらせのためにとてもいい講師を見つけてくださってありがとうございます。
あの頃の縁が、今ここに生きております。
青空の中にモノクロの元父の映像を思い浮かべながら、実際に言ったら盛大に嫌がられそうな感謝を心の中で述べる。
僕が厳しい教育に挫けて折れることを期待してたんだろうな。
でも、僕はやり切って良縁に変えることが出来た。
転んでもただで起きてやるもんか。転んだ先で掴んだ物で活路を開くのが商人ってもんでしょ。
「どうしますか? 今帰れば手紙の内容を手加減してさしあげますよ?」
僕の言葉に息を飲んだ二人は顔を見合わせ立ち上がる。
「クラム、帰るぞ」
「うん、帰る!」
二人は顔色を青から白に変え、伯爵はクラムを抱き上げ小走りで食堂から出て行った。
はっはっは、あの方の本気の講義は恐ろしいからな。
手紙にはしでかしたことを全て書いてやろう。
本当は、見なかったふりをしてやるくらいの器量があればいいんだろうけど――今回ばかりは、さすがに目をつぶる気にはなれない。
あの方々は曲がったことが大嫌いなんだ。
自分の教え子が道を外れることを許さない。
きっと心を尽くして「指導」してくださることだろう。
もう二度と屋敷を抜け出すことすらできないくらいにね。
マルクが二人の馬をすでに準備していて、それを受け取った二人は、そのまま門から駆け出していった。
その後ろ姿を、僕らは清々しい気持ちになりながら、後姿を見送った。
よくやったというように肩や腰を軽く叩いてくれるセドリックとヨランの気配が、いつもより近くて心強い。
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