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【13話】

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「さぁさ、お嬢様。お化粧とお髪を直しましょうね。グレイは少し部屋から出ていなさいな」

サハラがそう言って、グレイを部屋から追い出した。

シルバーは済ませなければいけない用事があったので、フォッグ伯爵夫妻と入れ替わりで席を外している。

サハラは持っていた荷物から化粧道具を取り出して、ものの10分で綺麗に直してくれた。

最後にとても可愛らしい色の口紅を出す。

そんな可愛い色、私には…。

と、駄目駄目!

今日はネガティブ禁止!!

乗り切るって、決めたんだから!

サハラが丁寧に口紅を塗ってくれる。

「おや、本当に良くお似合いですこと。あの子の見立ても馬鹿に出来ませんね」

「?」

私が解らなくて首を傾げると、サハラはクスクス笑いながら教えてくれようとした。

「この口紅は…」

“コンコンコン”

その時にまた、ノックされた。

一瞬ビクッとなるが、扉の前にはグレイが陣取っているはず。

怖がる事なんてなかった。

「終わりましたよ」

サハラが声をかけると、ガチャっとドアが開くと、シルバーも用事を済ませてきたみたいで、2人一緒に入ってきた。

「そろそろ入場の時間だと王宮のメイドが教えてくれた。行けるか?」

グレイがそう言って私を立ち上がらせてくれようと手を出したが、その手を掴んだのはサハラだった。

「え?」

私が混乱していたら、サハラはにっこり笑ってグレイをソファーに座らせた。

「さぁ、お前達もせっかく旦那様が衣装を用意してくれたんだから、身綺麗にしてから行きなさい。シルバー?逃げたら二度とお菓子の作り方は教えないからね」

「イエス、マム!」

そっと逃げようとしていたシルバーにサハラがそう言うと、シルバーはおとなしくグレイの隣に座った。

2人ともサハラには逆らえないのだ。

サハラは5分も掛からずに、てきぱきと2人の身なりを整えた。

普段見慣れないきっちりした2人は、本当に素敵でビックリした。

「2人ともとても格好いいわ」

どこかの王子と言ってもいいぐらい。

「これぐらいしないと!これから一勝負待ってますからね?グレイ、シルバー!ミモザお嬢様をしっかりエスコートして、さっきの伯爵夫妻みたいな輩をきっちり排除してきな!いいね!」

「「はっ!」」

2人はサハラに対して上官みたいに敬礼をすると、表情を引き締めた。

「では、行ってきます」

「ミモザ様、お手をどうぞ」

「ええ。よろしくね」

「行ってらっしゃいまし」

使用人であるサハラはこのままこの部屋で待機だ。

廊下に出ると、2人を見たメイドが顔を赤らめてグレイとシルバーを見た。

その気持ち、解るわ。

そして、メイドの案内で私達は入場口にやって来た。
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