【私は乙女ゲームに似た世界に転生したけど、引き籠りたいのでさっさと離脱します】

In・san・i・ty=DoLL

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【22話】

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「…そ、そんな」

情けない顔をするカクタス様。

騒ぎが私達だと知って、フォッグ伯爵夫人がこちらに近付いて来るのが見えた。

人集りで思うように進めないみたいだけど、もしかして、まだ何か切り札を持っているのかしら?

「畏れながら宜しいでしょうか?」

私は、グレイから離れて国王陛下にカーテシーする。

「よい。許そう」

「はい。それから、こちらを見ていらっしゃる皆様に証人となって頂きたいですわ」

扉から覗いている貴族達を見回してから国王陛下を見据える。

「失礼を承知ではっきり申し上げますが、わたくしは例えグレイと婚約していなかったとしても、カクタス様とだけは婚姻は結びません」

「なっ!!」

カクタス様から驚きの声が上がるが、私は構わず続けた。

「幼少の出来事がわたくしを苛んでるのはご存知でしょうか?わたくしはあの時の恐怖でいまだに魘されております。例え、どれだけ謝罪されたとしても、どんな慰めの言葉を頂いたとしても、彼だけは受け入れられません!」

何か言われる前に、止めを刺してあげるわ。

「それに、わたくしはここに居るグレイ・オーカーを心からお慕いしております。他の方との結婚は全く考えておりませんの。万一、この婚約を無かった事にされる事があるとしたら、わたくしは北にあるヘイズ修道院で、生涯を過ごさせて頂きたいと思います」

何とか、フォッグ伯爵夫人が来る前に言い切れた。

会場の中にも聞こえていたでしょう。

悲鳴が聞こえた。

「…そこまでの覚悟なのだな」

国内でもっとも厳しいと有名なヘイズ修道院。

幽閉と変わらない扱いをされる場所。

元々は、地位の高い者が何らかの理由で幽閉される為に作られた。

入ったら二度と家族とも会えなくなる。

「はい」

私は顔を上げて、しっかりと国王陛下を見て答えた。

「聞いたな?カクタス・フォッグ。ミモザ嬢は、そこまでそなたとの婚姻は嫌だと言っておる。見苦しい横槍はもうやめよ。他の者も今後、ミモザ嬢の婚約に関して異議を唱える事は無いように」

ざわざわとしながらも、誰かが手を叩いてくれたのを切っ掛けに扉から奥に向かって拍手が沸き起こった。

私とグレイの婚約が貴族社会に認められたのだ。

これで、完全にカクタス様との婚姻は無くなったし、もう誰にもグレイを貶められなくて済むのね。

私とグレイは見つめ合って、国王陛下と扉の内側に居る貴族達に感謝の気持ちを込めて最高礼をした。
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