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【25話】
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「ああ。それじゃあ、お嬢の前世は初期か続編までで終わってるって事か…」
思ってもいなかったグレイの言葉。
「………は?」
今、何て?
初期?
続編?
「やりながら、どうしてミモザはこんな俺様な男に惚れてるんだ?って思ってたんだ」
「…え?え?」
グレイは何を言っているの?
「ミモザだけおかしいんだよな」
そうよ。
おかしいと思ってたのよ。
「ゲームのミモザはなー、何故かどんだけ冷遇されてもカクタスに盲目的に恋をしていたんだよな。そういう設定だって解ってるし、あの時代、俺様男が好きな女性も多いからウケも良かったんだろうし。だから、そんな感じでお嬢もずっとあいつの事が好きなんだと思ってたんだ」
この世界では使わない“良い物件”と“棚ボタ”という言葉。
初めて会った時の“スパルタ”だって、今のやり取りでの“テンプレ”だってそうだわ。
シルバーやお父様はスルーしていたけど、グレイはちょいちょい前世の言葉を使ってたじゃない。
それに“ツチノコ”なんて前の世界の幻の生き物じゃない!
いくらゲームに似た世界だとしてもさすがに“ツチノコ”は居ないわ!
って、簑虫だってこの世界には居ないじゃない!!
…やられたわ。
グレイは最初から前世の知識を使って話してた。
それに気付かなかった間抜けな私…。
「ゲームは初期と続編、それと追加コンテンツが入ったファンディスクの3種類出てた。今、進行してるのはどれだろうな。俺が出てくるのはファンディスクだけど、フライングしたしなぁ。もしかしたら混合されてるのかもしれないな」
え?
待って?
「…追加コンテンツのファンディスク?グレイは私を知っていたの?」
「ああ。ミニゲームでピコピコハンマーを持って追いかけてくるミモザは可愛かったな」
確かに、ミニゲームのちびキャラはどれも可愛かった。
じゃない!
「“俺が出てくる”ってどういう事!?グレイも攻略対象者?って、待って?…転生者なのよね?」
ここまで話を聞いておいてなんだけど、確認はしておきたい。
「ああ。俺は追加ファンディスクの隠れキャラだ。暗殺されそうになって、死にかけて思い出したんだ」
は?
今、サラッと凄い事言ったわよ?
暗殺って…。
「あれは参ったなぁ。最初の1ヶ月ぐらいは混乱したし、自分が自分じゃない気がしておかしくなったんじゃないかって毎日悩んでいたよ」
それは解るわ。
私も混乱したもの。
待って。
今、私が絶賛混乱中なんだけれど…。
「…どう‥やって克服…したの?」
私は数ヶ月掛かった。
「ミモザの存在だよ」
「私?」
「そう。探す為にこの国に来て、丁度護衛兼傍付きを探してるって言うから潜り込んだ。まさか、本当に会えるとは思ってもいなかったけど存在が確認出来た時、諦めて現実を受け止めた。俺には他の人生を生きた記憶があるんだな。って事で腹を括って考えるのをやめた」
「そんな…」
簡単な事のようにグレイは言った。
「だって、最推しの女が現実にいたら、受け入れてさっさと行動を起こした方が手に入れる勝算は上がるだろ?幸い、お嬢はカクタスと婚約してなかったし、ここはゲームに似た世界であってゲームじゃないんだから、同じ行動を取る必要なんてない。なんせ、俺とお嬢はゲームでは出会う事も無かったんだからな」
え?
は?
最推し?
「俺の役柄は、跡継ぎ問題で国を離れ、身を潜めていた国で聖女に出会って助けられ、国に連れ帰って政敵と戦って、無事跡を継いで聖女と結婚するって感じだったな」
「え?跡継ぎ?え?国?」
「政敵は、思い出した記憶を頼りに何年も掛けて姉さんと臣下と協力して潰しまくったから、今はもう聖女は必要ないんだ」
清々しい笑顔でグレイは言った。
思ってもいなかったグレイの言葉。
「………は?」
今、何て?
初期?
続編?
「やりながら、どうしてミモザはこんな俺様な男に惚れてるんだ?って思ってたんだ」
「…え?え?」
グレイは何を言っているの?
「ミモザだけおかしいんだよな」
そうよ。
おかしいと思ってたのよ。
「ゲームのミモザはなー、何故かどんだけ冷遇されてもカクタスに盲目的に恋をしていたんだよな。そういう設定だって解ってるし、あの時代、俺様男が好きな女性も多いからウケも良かったんだろうし。だから、そんな感じでお嬢もずっとあいつの事が好きなんだと思ってたんだ」
この世界では使わない“良い物件”と“棚ボタ”という言葉。
初めて会った時の“スパルタ”だって、今のやり取りでの“テンプレ”だってそうだわ。
シルバーやお父様はスルーしていたけど、グレイはちょいちょい前世の言葉を使ってたじゃない。
それに“ツチノコ”なんて前の世界の幻の生き物じゃない!
いくらゲームに似た世界だとしてもさすがに“ツチノコ”は居ないわ!
って、簑虫だってこの世界には居ないじゃない!!
…やられたわ。
グレイは最初から前世の知識を使って話してた。
それに気付かなかった間抜けな私…。
「ゲームは初期と続編、それと追加コンテンツが入ったファンディスクの3種類出てた。今、進行してるのはどれだろうな。俺が出てくるのはファンディスクだけど、フライングしたしなぁ。もしかしたら混合されてるのかもしれないな」
え?
待って?
「…追加コンテンツのファンディスク?グレイは私を知っていたの?」
「ああ。ミニゲームでピコピコハンマーを持って追いかけてくるミモザは可愛かったな」
確かに、ミニゲームのちびキャラはどれも可愛かった。
じゃない!
「“俺が出てくる”ってどういう事!?グレイも攻略対象者?って、待って?…転生者なのよね?」
ここまで話を聞いておいてなんだけど、確認はしておきたい。
「ああ。俺は追加ファンディスクの隠れキャラだ。暗殺されそうになって、死にかけて思い出したんだ」
は?
今、サラッと凄い事言ったわよ?
暗殺って…。
「あれは参ったなぁ。最初の1ヶ月ぐらいは混乱したし、自分が自分じゃない気がしておかしくなったんじゃないかって毎日悩んでいたよ」
それは解るわ。
私も混乱したもの。
待って。
今、私が絶賛混乱中なんだけれど…。
「…どう‥やって克服…したの?」
私は数ヶ月掛かった。
「ミモザの存在だよ」
「私?」
「そう。探す為にこの国に来て、丁度護衛兼傍付きを探してるって言うから潜り込んだ。まさか、本当に会えるとは思ってもいなかったけど存在が確認出来た時、諦めて現実を受け止めた。俺には他の人生を生きた記憶があるんだな。って事で腹を括って考えるのをやめた」
「そんな…」
簡単な事のようにグレイは言った。
「だって、最推しの女が現実にいたら、受け入れてさっさと行動を起こした方が手に入れる勝算は上がるだろ?幸い、お嬢はカクタスと婚約してなかったし、ここはゲームに似た世界であってゲームじゃないんだから、同じ行動を取る必要なんてない。なんせ、俺とお嬢はゲームでは出会う事も無かったんだからな」
え?
は?
最推し?
「俺の役柄は、跡継ぎ問題で国を離れ、身を潜めていた国で聖女に出会って助けられ、国に連れ帰って政敵と戦って、無事跡を継いで聖女と結婚するって感じだったな」
「え?跡継ぎ?え?国?」
「政敵は、思い出した記憶を頼りに何年も掛けて姉さんと臣下と協力して潰しまくったから、今はもう聖女は必要ないんだ」
清々しい笑顔でグレイは言った。
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