【俺は期間限定だった幸せを掴み取ったらしい】

In・san・i・ty=DoLL

文字の大きさ
16 / 69
≪本編≫

【本編16】

しおりを挟む
【十夜side】

「いや、あの。えーっと」

「悪い話じゃないと思うの。すぐに決めてとは言わないわ。良かったら、前向きに検討してくれると嬉しいわ」

俺は今、小野田社長に詰め寄られている。

ソロの撮影は順調で、嫌な気分を払拭しようとして、カメラマン山田の要望に答えまくっていたら、小野田社長から“OMIの専属にならないか?”と言われた。

秀臣のメイクオフも終わり、ギャラを払うから待っていてと控え室にいたら、勢い良く話を持ちかけられた。

ホントなら、秀臣のヘアメイクはやってあげたいけど周囲にYORUとバレるリスクが高くなるから無理だ。

それでなくても今回はYORUで顔を晒してしまった訳だし。

「朝倉さんの後任が決まるまででも、お試し期間としてお願い出来ませんか?」

秀臣が横から口を挟んできた。

そんな捨てられた仔猫の様に見るなよ。

今回みたいに繋がりが縦や横に延びなければ何とかなる。

ただ、秀臣にはあいつが接触してこないとは限らない。

説明しておかないと警戒出来ないから。

秀臣に知られた後に避けられる可能性もあるし、対応次第では2度と会わない事もあり得る訳で…。

まぁ、結果は何となく解ってるんだけどな。

いい子だったからなぁ。

「3日後に大手のお菓子会社の撮影があるの。それまでには後任が決まるとも思えないのよね」

「「お願いします」」

あー、もう。この親子はこんなトコで似るなよ。

親子って隠してるんじゃないのか?

周りにバレるぞ?

「…解りました。3日後はお受けします。その後の事は考えさせて下さい」

しょうがない…。

途中から山田の要望と自分の希望が妙にシンクロして、楽しくなっちゃってやり過ぎた自分が悪い。

さっきも思ったけど、山田は結構気が合うかも?

…じゃない。

取り敢えず、後任が決まるまでやろう。

「ええ。もちろんよ。3日後、11時に事務所に来てもらえる?場所は…」

「はい。解りました」

小野田社長に事務所の場所を教わりメモを取る。

「その時に、前回のギャラを払わせてもらうわね」

「あっと…ありがとうございます」

貰えるものは貰っておく。

俺は素直に礼を言った。

「携帯持ってないって話を聞いたのだけど、連絡先を教えてはもらえないかしら?」

「実は、携帯修理に出したら、代替機借りれなくて…すいません」

俺は適当な嘘を付いた。

「そう。じゃ、これ。社用携帯を渡しておくわね」

「…お借りします」

嫌だけど受けとる。

ヘタに嫌がるとかえって詮索されそうだから。

「番号は事務所と私の携帯とOMIの携帯しか入ってないわ」

…これ、新品じゃね?

最初から渡す気満々ってトコか…。

「解りました。何か変更があったらお願いします」

無難にそれだけ言った。

「やった!葉月さん。よろしくお願いします」

「うん。よろしくお願いします」

嬉しそうな秀臣だが、目はチラチラと壁の時計を見ていた。

待ち合わせの時間は決めてないけど、YORUと別れてからかなりの時間が経っているから気が気じゃないんだろう。

…目の前にいるんだがなw

「それじゃあ、今日はこれで失礼します。まだ、引っ越しの片付けが残っているので…お疲れ様でした」

嘘も方便。

俺も行かなきゃなんないから、さっさと退却だ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

俺の居場所を探して

夜野
BL
 小林響也は炎天下の中辿り着き、自宅のドアを開けた瞬間眩しい光に包まれお約束的に異世界にたどり着いてしまう。 そこには怪しい人達と自分と犬猿の仲の弟の姿があった。 そこで弟は聖女、自分は弟の付き人と決められ、、、 このお話しは響也と弟が対立し、こじれて決別してそれぞれお互い的に幸せを探す話しです。 シリアスで暗めなので読み手を選ぶかもしれません。 遅筆なので不定期に投稿します。 初投稿です。

ユキ・シオン

那月
BL
人間の姿をした、人間ではないもの。 成長過程で動物から人間に変わってしまう”擬人化種”の白猫青年と、16歳年上のオッサンとのお話。 出会ったのは猫カフェ。白猫従業員としての青年と客としてやってきたオッサン。 次に再会したのは青年が人間として通う大学。オッサンは保健室の先生だった。 青年が金のためにヤバいことをしていて、あるトラブルが起こる。 そこへ見計らったかのようにオッサンが飛び込んで救出したのをきっかけに2人の距離は縮まり…… ※表紙絵は自作。本編は進むにつれてどんどん動物園と化します(笑)

前世が俺の友人で、いまだに俺のことが好きだって本当ですか

Bee
BL
半年前に別れた元恋人だった男の結婚式で、ユウジはそこではじめて二股をかけられていたことを知る。8年も一緒にいた相手に裏切られていたことを知り、ショックを受けたユウジは式場を飛び出してしまう。 無我夢中で車を走らせて、気がつくとユウジは見知らぬ場所にいることに気がつく。そこはまるで天国のようで、そばには7年前に死んだ友人の黒木が。黒木はユウジのことが好きだったと言い出して―― 最初は主人公が別れた男の結婚式に参加しているところから始まります。 死んだ友人との再会と、その友人の生まれ変わりと思われる青年との出会いへと話が続きます。 生まれ変わり(?)21歳大学生×きれいめな48歳おっさんの話です。 ※軽い性的表現あり 短編から長編に変更しています

大嫌いなこの世界で

十時(如月皐)
BL
嫌いなもの。豪華な調度品、山のような美食、惜しげなく晒される媚態……そして、縋り甘えるしかできない弱さ。 豊かな国、ディーディアの王宮で働く凪は笑顔を見せることのない冷たい男だと言われていた。 昔は豊かな暮らしをしていて、傅かれる立場から傅く立場になったのが不満なのだろう、とか、 母親が王の寵妃となり、生まれた娘は王女として暮らしているのに、自分は使用人であるのが我慢ならないのだろうと人々は噂する。 そんな中、凪はひとつの事件に巻き込まれて……。

花形スタァの秘密事

和泉臨音
BL
この国には花形と呼ばれる職業がある。人々を魔物から守る特務隊と人々の心を潤す歌劇団だ。 男ばかりの第三歌劇団に所属するシャクナには秘密にしていることがあった。それは幼いころ魔物から助けてくれた特務隊のイワンの大ファンだということ。新聞記事を見ては「すき」とつぶやき、二度と会うことはないと気軽に想いを寄せていた。 しかし魔物に襲われたシャクナの護衛としてイワンがつくことになり、実物のイワンが目の前に現れてしまうのだった。 ※生真面目な特務隊員×ひねくれ歌劇団員。魔物が体の中に入ったり出てきたりする表現や、戦闘したりしてるので苦手な方はご注意ください。 他サイトにも投稿しています。

狼の護衛騎士は、今日も心配が尽きない

結衣可
BL
戦の傷跡が癒えた共生都市ルーヴェン。 人族と獣人族が共に暮らすその街で、文官ユリス・アルヴィンは、穏やかな日々の中に、いつも自分を見守る“優しい視線”の存在を感じていた。 その正体は、狼族の戦士長出身の護衛騎士、ガルド・ルヴァーン。 無口で不器用だが、誠実で優しい彼は、いつしかユリスを守ることが日課になっていた。 モフモフ好きなユリスと、心配性すぎるガルド。 灰銀の狼と金灰の文官―― 異種族の二人の関係がルーヴェンの風のようにやさしく、日々の中で少しずつ変わっていく。

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

処理中です...