【俺は期間限定だった幸せを掴み取ったらしい】

In・san・i・ty=DoLL

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≪本編≫

【本編27】

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「どうしてですか!」

真美は喚き散らしながら撮影現場に突入してきた。

「君ねぇ、事務所通して説明したでしょう?」

「納得出来ません!」

「そうは言ってもね、作品として使えないものを世に出す訳にはいかないし、事務所側もスチル見て納得して引いたんだよ?」

大野さんに食って掛かる真美は、ここが外だと解っているんだろうか?

急遽撮影場所に選んだから一般人がいる訳で…。

ああ、面白がって動画や写メを撮る人もいる。

「あんなお粗末な作品滅多に見ないよ」

桜井さんにも言われてしまった。

「そんな…あんたが仕事を邪魔したのね!」

使えなかった説明は受けているハズなのに、何故かYORUに詰め寄ろうと迫ってくる。

機転を利かせてくれた周りのスタッフさん達が阻止しようとしてくれるが、男性ばかりなので下手に捕まえられない。

自分の不出来を人のせいにするなんて最低だな。

あ、俺の一言が悪かったのかな?

それにしても、有り得ない。

俺は取り敢えず、十夜さんを体の後ろに隠す。

そんな俺達の前に高千穂さんが立った。

「お嬢さん。可愛い顔が台無しだよ?どうしたの?」

「どうしたもこうした‥も…」

満面の笑みの高千穂さんに真美が見とれて固まる。

「うん?真美ちゃんだったよね?良かったら話聞くよ?」

「え?あの…」

にこやかなまま真美の顔を覗きこむ。

「落ち着いて?何か飲む?」

「…あ、はい」

勢いを無くした真美はあっさり頷いた。

「コーヒーがいいかな?それとも紅茶?」

「えっと、あの」

「可愛い君にはココアかな?」

「えぇ?そんな、可愛いなんて…」

高千穂さんは真美の腰に手を回してゆっくり誘導する。

「今回の事は大変だったね。向こうでゆっくり話そうか?」

「はい♡」

そのまま高千穂さんは真美を店から連れ出した。

この間たったの1分弱。

あっという間の出来事にその場にいた全員が唖然とした。

「まじか!」

「何者だあの人」

「すげー。笑顔で怒った女黙らせたぞ」

「美人系イケメン半端無いんだけど!」

周りからどよめきが上がった。

俺も驚いてるよ。

ホント、何があったの?

「大丈夫だな?」

メイクを直す振りをして竜也さんが近付いてきた。

十夜さんは頷いてメモ帳を取り出す。

《ちぃ、さすがw》

「後で面倒だがな」

《がんばれ!》

竜也さんは溜め息をついた。

やっぱり、恋人が目の前で他の奴と仲良くしていたら気を悪くするよね?

大丈夫かな?

「高千穂の事は気にするな。YORUに突っ掛かる女は大抵あれで騙されて有耶無耶になるからな」

《いつものこと》

「ただ、後がちょっと面倒なだけだ」

《きょうはじぃちゃんトコいく》

「そうだな。朝には戻れるハズ‥だと思う…」

断言しない竜也さんは貴重だな。あれ?

「今日は自宅に戻るんですか?」

《うん。おさっし♪》

「こら」

YORUと竜也さんの謎の会話に首を傾げていると、撤収の声が聞こえた。

大野さんや桜井さんが気にして声を掛けてきてくれたけど、竜也さんが良くある事だと説明していた。

撤収時も気にしなくていいまで言っていたのには驚いた。

「ホントにいいんですか?」

「アフターケアは後でやる。今は仕事優先だ」

竜也さんは言い切った。

3人は仕事に妥協しない人達なんだな。

格好いい。

俺達はスタッフさん達と共に撮影スタジオに戻った。
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