【俺は期間限定だった幸せを掴み取ったらしい】

In・san・i・ty=DoLL

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≪本編≫

【本編29】

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【十夜side】

「どうせなら臨場感込めよう」

とクライアントの…誰だっけ?

ケーキくれるおじさんが余計な事を言い出して、近くの店での撮影になった。

11月にしては今日はかなり冷え込むんだが…。

っつーか、この格好マジで寒いんだけど!?

お前ら全員1回ミニスカ履いてみろってんだ!

店に着く間に車の中で、皆でストーリー性がとか色々考えてたら面倒になってつい《いきあたりばったり》と書いたら全員あっさり考えるのをやめた。

店に着くと、一般人が普通にいる。

まぁ、当たり前だよなぁ。

撮影はこの時期には使用していないテラス席でやるって…。

だよな。

わざわざ、寒いトコで食いたくないもんな。

そりゃ、撮影には都合がいいだろう。

だけどな?

椅子冷たいんだろ?

こっちは座る部分生身なんだよ!

…女側の都合解る奴いねぇの?

クライアントが店内にいるお客さんに説明しているみたいだったけど、俺はウィンドウに並んだケーキを見ていた。

めっちゃ旨そう!

あ、あれ食べたい!

チョコのもいいな。

ベリータルト!

チーズムースケーキ!

食べたーい!

はっ!秀臣が笑ってる…。

しまった。

つい、夢中になった…。

秀臣が協力してくれるお客さんに頭を下げる。

俺も慌てて下げる。

すっかり忘れてたわ。

こういう時、秀臣ってすげぇなって思う。

今16なんだよな。

子供の時からやってると身に付くもんなのかね。

撮影はケーキを選ぶ所から始まった。

俺がつい素でケーキに目移りしたのがそのまま採用になったりしたが、テラス席までは順調に進んでいた。

ぶっちゃけ、寒い。

椅子座りたくない…。

世の中の女はこれを耐えてるんだよな?

すごいな!

まじ、尊敬するわ!!

意を決して座ろうと思ったら秀臣に腰を掴まれそのまま膝に座らされた。

なん‥っだ…と!?

超自然に膝抱っこだと?

何だ?この幸せを垂れ流しているカップル感!?

あ、いやいや、垂れ流さないと駄目だった。

俺達は今、カップル設定だった。

やべぇ、一瞬素に戻るトコだったわ。

秀臣が自然に後ろから抱き締めてきた。

あ、暖かい。

ってか、手慣れてる?

あー、彼女とかいそうだもんな。

モテるだろうなぁ。

…ちょっともやっとした。

顔に出てないだろうな?

「YORU、食べさせて?」

1つのケーキを2人で食べる。

もぐもぐしてる秀臣が可愛くて、眺めながらケーキを食べてたらいつの間にか無くなってた。

あ、やべぇ。

1人で食べ過ぎた。

…秀臣が笑ってるし、まぁ、いいか。

「はい、カット!良かったよ!」

一発OKで助かった…。

正直、マジで寒い。

秀臣が抱き締めてくれてるからまだましだけど、カット掛かったしこのぬくとさともおさらばだな。

そう思ってたら秀臣が体を離して立たせてくれた。

離れるとやっぱ寒い。

「どうしてですか!」

突然女の金切り声。

「君ねぇ、事務所通して説明したでしょう?」

「納得出来ません!」

何だ?騒がしいな。

そうは言ってもね、作品として使えないものを世に出す訳にはいかないし、事務所側もスチル見て納得して引いたんだよ?」

クライアントに食って掛かるあの女は、この前秀臣とペアを組んだヤツだ。

「あんなお粗末な作品滅多に見ないよ」

カメラマンが痛恨の一撃。

「そんな…あんたが仕事を邪魔したのね!」

何故か俺に狙いを定めている。

邪魔なんてしてないって言っても聞きそうにないよなぁ。

あの日、どう見ても人気が出てきた秀臣を取り込もうとしていた彼女の演技は酷かった。

一応プロなんだから自分の仕事に誇り持たなきゃ駄目だろ?

この前の写真見せてもらったけど、あれは恋人同士には見えなかったからな?

俺に詰め寄ろうとした女を機転を利かせてくれた周りのスタッフが取り囲んでくれた。

竜也は溜め息を吐きながらちぃと顔を見合わせていた。

竜也が一番嫌がる瞬間だ。

ちぃはその後に過剰に相手をしてもらえるからちょっとうきうきしている。

そうこうしていたら、秀臣が俺の前に立っていた。

男前じゃんw

ただな、俺達、いちゃもんつけられるの馴れてんだ…。

ほら。

「お嬢さん。可愛い顔が台無しだよ?どうしたの?」

「どうしたもこうした‥も…」

ちぃの胡散臭い笑顔の出番だw

女が固まった。

「うん?真美ちゃんだったよね?良かったら話聞くよ?」

良く名前覚えてるなぁ。

「え?あの…」

「落ち着いて?何か飲む?」

ちぃは女の顔を覗き込んでにっこりと笑った。
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