【復讐するね】

In・san・i・ty=DoLL

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【復讐するね】

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兄のように慕っていた幼馴染みが死んだと聞かされたのは、桜が舞い散る春の暖かな日だった。

いつものように幼馴染みの刀真と、その兄の匡ちゃんと俺の姉の琴ちゃんでおやつを食べてから遊ぶつもりだった。

いつものように2人の家に行けば、出迎えてくれるハズの匡ちゃんは、その日は奥の部屋で布団に寝かされ、顔に白いハンカチを被せられていた。

いつものように刀真と言い争って、それを困ったように笑って止めてくれるハズの匡ちゃんは、真っ白い顔をして息をしていなかった。

格好良かった匡ちゃんは、もう笑いかけてくれなかった。

隣で泣いている刀真と琴ちゃんを見がら、2度と匡ちゃんとは遊べないんだと思って泣いた。

数日後。

匡ちゃんは綺麗な布に包まれた小さな箱になった。

その次の日。

琴ちゃんが学校の屋上から飛び降りたと教えられた。

最初は自殺として片付けられた。

だけど、遺書も何もなかったのと、誰かと居たという証言で事件に切り替わった。

一緒に居た誰かはすぐに解った。

ただ、そいつらの証言で琴ちゃんの死因は事故だったとされた。

よろけてぶつかった金網が偶々外れていて、そのまま落ちたんだと証言された。

すぐに名乗らなかったのは、匡ちゃんを殺した犯人だったから。

どっちも怖くて逃げたんだと。

いつも穏やかに笑っていて、おやつを作ってくれた琴ちゃんは匡ちゃんの時みたく、顔に白いハンカチを被せられていた。

お遊戯が上手く出来ない時は、携帯で動画を撮ってどこがダメなのか一緒に考えてくれた顔は見ちゃダメだと言われた。

時々喧嘩もしたけど、すぐに笑って仲直りしたのに、今は顔も見れない。

刀真と喧嘩した時は、一緒に謝りに行ってくれたのに、ピクリとも動いてくれない。

大好きな可愛い琴ちゃんは格好良い匡ちゃんと並ぶと、近所でお似合いのカップルだと評判だった。

隣で泣いている刀真と手を繋ぎながら、2度と琴ちゃんとは手を繋げないんだと意識を失うまで泣いた。

数日後。

琴ちゃんも綺麗な布に包まれた小さな箱になった。

俺達4人はとても仲の良い兄弟と幼馴染みだった。

匡ちゃんと琴ちゃんが2人で俺達を幼稚園に迎えに来る事は2度と無くなった。

1度に兄姉を亡くした俺達は、寂しさから、あんまり笑わない子供になった。

あれから8年。

当時は池に落ちて死んだとしか教えて貰えなかった匡ちゃんの死因が判明した。

琴ちゃんの部屋を掃除していて見付けたメモに書いてあった。

同級生からの暴行。

その後に近くの池に突き落とされて溺死。

後ろ手に両手を縛られ、膝まで下ろされたズボンのせいで、泳ぐ事も出来なかったという。

犯人は匡ちゃんと琴ちゃんのクラスメート3人。

菊地、尾方、林田。

そして、「呼び出された。死ぬかもしれない」の文字。

琴ちゃんは多分学校の屋上から突き落とされたんだろう。

奴らは、匡ちゃんを殺しただけじゃ気がすまなかったのか、琴ちゃんまで殺した。

そして、事故だったと嘘の証言をしたんだと解った。

明らかに殺人を犯したのに、当時13歳だった奴らは法律に守られた。

14歳未満は法律で逮捕されない。

児童養護施設や児童自立支援施設へ入所はあったみたいだけど、今、奴らはのうのうと過ごしている。

14歳を目前にした俺達はその犯人達に復讐する事を誓った。
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