【2部まで完結!】使い捨てっ子世にはばかる!?~妹が最強の魔王になるかもしれない~

うろたんけ

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第一部 無駄な魔力と使い捨て魔法使い

「お兄ちゃんは買い物上手?」

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特に人が多い市場のようなところを歩いていくと、赤い果物、変わった形の野菜、少し硬そうな肉に香ばしいパン。さまざまな店が並んでいました。

いったいどれを買おうか悩んでも悩んでも選びきれません。他にも武具店や薬屋、服飾屋もあって、兄はそっちに興味がありそうでした。

結局私がこの街の近くで取れるイコという足が九本の魚?のようなものを焼いて甘いたれをかけた食べ物を買ったり、皆へのプレゼントにお金を使ってしまったのに対して、兄はずっと握りしめたままです。何を買うつもりなのでしょうか。

「ソイル、お兄ちゃんあそこに入るからついてきてくれ」

どうやら服飾屋さんに行くようです。お店に一歩足を踏み入れると、そこは武器屋とは違って、華やかでカラフルな世界が広がっていました。

防具は鉄などで出来た丈夫な鎧はありませんが旅で使えそうな旅装束はシンプルながらも可愛らしいデザインが施されています。

何よりも布で作られた普通の服がずらりと並んでいます。特に女性物は装飾が豪華で、見ているだけで心が弾みます。

なので私は、今までの散財をちょっとだけ後悔しながらも、この場所の魅力に目を輝かせていました。

しかし、兄の方はこういった場所にあまり興味がないと思っていました。にもかかわらず、珍しくワクワクした様子で店内を見回しているのが不思議です。

実をいうと最近の兄は落ち込み気味と言いますか、失敗続きと言いますか、元気がなかったので今楽しそうでよかったです。

この一ヶ月、私にとってはケイトさんとの楽しい日々が続いていましたが、兄にとってはうまくいかないことも多く、どこか暗い影を落としていました。



例えば、盗賊に襲われたことがありました。次の町に向かって徒歩で移動していたある日、突然荷台を引いたおじいさんが現れました。私はどう見ても行商の方にしか見えません。そのうち一人のおじいさんが話しかけてきました。

「おやおや、子供を連れて大変じゃのぉ。お困りごとはないかな?」

そう言って薬草などを売ろうとしているように思いました。ひとつ前の商人さんの隊からも何かを買っていたのを見ていましたから。

しかしケイトさんは
「いえいえ、お構いなく」
とあっさり申し出を断ります。勇者様も我関せずという感じです。

そしてその荷台が通り過ぎたと思った瞬間、何かが飛び出してきました。何が起こったのか私が理解する前に、気がつくと勇者様が私を守ってくれていました。

荷台から飛び出してきた人物が私に斬りかかろうとして、それを勇者様が剣を抜かずにいなしてくれたのです。

兄はというと、盗賊の一撃をかろうじて避けていましたが、相手の技量が高く、かなり追い詰められていました。

その後、ケイトさんの冷静な魔法で盗賊の一人を吹き飛ばし、勇者様が盗賊たちを撃退しました。

盗賊を撃退したのだからよかったのですが、問題はその後でした。

「勇者様、ロットもちゃんと守ってあげてください!」

怒った様子のケイトさんが勇者様にそう言います。

「ごめんごめん、まさか気がついてないと思わなくってさ。まぁ何事もなかったんだからいいじゃないか」

勇者様は笑いながらそう答えました。
つまり勇者様もケイトさんもさっきのおじいさんとすれ違う時点で何かを判断して盗賊だとわかっていたんです。

そしてその盗賊の襲撃に備えて、いつでも太刀打ちできるよう身構えていたということです。私はもとから戦うのは苦手なのでどうってことありませんが兄は違います。

兄は剣も村ではかなりの腕前でしたし、ダンジョンもケイトさんと一緒とはいえ突破しているわけです。自分の実力に自信がなかったといえば嘘になるでしょう。そんな兄が勇者様から期待外れのような発言を耳にしてしまったのです。

そして
「よくありません!ソイルちゃんはもちろんロットもまだ子供なんですよ!」
というケイトさんの一言が兄には重くのしかかったようでした。

なぜなら兄は私に話してくれたとき、私はもちろん、ケイトさんのこともちゃんと守ると意気込んでましたから。

その時のとても悔しそうな兄の表情が印象的でした。それでも兄は剣の鍛錬も魔法の鍛錬も怠らずに頑張っています。

旅で疲れもある中、毎日欠かさずにやっていると思います。そんな兄は挫けず旅を続けていますが、やはり経験の差なのか、この一か月旅をしていると盗賊だけでなく魔物と遭遇するなど似たようなことが何度か起こりました。

そのたびに勇者様は悪気のない言葉で兄をえぐり、そこにケイトさんが「まだ子ども」という言葉で畳み掛けていたんです。

お二人に悪気はないだろうし、実際兄も私も子どもの範囲なのですが。それにしても兄はどうして自分よりも強いケイトさんまで守ろうとするでしょう?そう思ったことがあって

勇者様いわく
「まあ男の子ってのは時には譲れないこともあるんだよ」
と笑ってました。

そういうものなんでしょうか?
そしてそれは放っておいてよいものなんでしょうか。日毎に暗くなる兄を見ているとそんな疑問が浮かびました。
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