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第一部 無駄な魔力と使い捨て魔法使い
「お兄ちゃんが弱すぎて悲しい」
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「ここだ」
連れて行かれた場所はこの街の広場でした。その一角を使うようです。
「よう、ナルルじゃねえか。また喧嘩か?」
道行く一人が言いました。失礼な男はナルルというそうです。
「ちげーよ、ガキの子守さ。グッハッハ!」
ガキとは兄を指しているんでしょうね。兄の拳に力が入りました。
「俺はガキじゃない!」
兄は今一番されたくない子ども扱いに腹を立てています。デリケートな部分ですので、そっとしてあげてほしいですが、事情を知らないので無理もありません。
それに、私にとってはカッコよくて頼れる兄でも、まだ一般的には子どもなんですから。
「グッハッハ、威勢よし。まあ揉んでやらあ」
やはり兄が怒って凄みますが、ナルルは余裕です。まるで相手にされていません。
でも兄は村では剣が得意でした。旅の間に鍛錬も欠かしていません。子どもだからと油断しきっている相手、勝てるでしょうか?
強面の割に持っているのは兄が扱う片手用の剣くらいのサイズが二本ですし。てっきり大きな剣やハンマーを使うんではないかと思うほどの体付きなので、もしかしたら見掛け倒しだったりしないでしょうか?
しかしナルルは有名なのか、喧嘩という声を聞きつけて少しずつ人が集まってきています。
ナルルはとても大きく、その集団にいると頭ひとつ抜きんでています。なんだかそれだけで、もうやっぱり強そうです。もちろん兄は埋もれてしまう大きさです。
またたく間に周りを見物者で囲われてしまいました。こうなってしまうと兄は逃げられません。毛頭逃げる気はなかったと思いますが、それでもこんなに沢山の人に見られて試合をするのは初めてのことです。見ているだけの私がなんだか緊張してきました。
「よーし、ガキ。やるか」
ある程度周りが落ち着いて見物を決め込んだのを確認し、ナルルは兄に言いました。首を回してずいぶんと余裕そうです。きっと油断していますね。
「ガキじゃない。ロットだ!」
兄もやる気満々で既に剣を抜いています。その姿を見てヤジが飛びました。全体的に兄は勝ち目がないと思われているようで「いいぞー」「頑張れよー」という同情からの応援のような声ばかりです。
幸い兄はナルルに集中しているため気が付いていません。そんな様子を見て、ナルルは面白そうに背中の二本の剣のうち一本を引き抜きました。そして左手一本で構えます。
「勘違いしてるようだから言ってやるが、ワシとお前は対等ではない。ワシは二刀流だが、剣一本左手のみでここから動かずお前を倒せる。いいか、これはガキのお守りだ」
つまり、相当の実力差があるから相手にならないということです。赤子の手をひねるように勝てるということで、馬鹿にされています!
「うぅぉおおおお!!!」
完全に怒った兄が、その怒りをバネに地面を蹴り跳ねました。勢いよくナルルに近づきます。ナルルさんは反応できないのか、迫ってくる兄に身動きしません。
よーしいけ!兄の剣が隙だらけのナルルさんの脇腹を捉えました! 真剣での対決だったので少しヒヤリとしましたが、剣の腹で殴っています。みねうちです。
「ぐぁっ!」
あれ? 地面を転がっているのは兄でした。なんで?兄は確かにナルルさんに一撃を入れたと思いました。なのになぜかその剣は届いておらず、弾き飛ばされてうめき声をあげたのは兄でした。
「何だ、もう終わりか?」
ナルルの剣は構えたときのままです。全くブレずピタッと止まっていました。痛みでヨロヨロと起き上がる兄を捉えています。
「なにがどうなって?……くそうまだまだだ!」
兄も何が起こったのかわかっていないようです。急に不安になってきました。兄は勝てないんではないでしょうか?
「突獅」
兄は先程よりも鋭く、私には目で追えないほど早く突きを繰り出しました。突獅とは兄の剣技の技で、唯一使えるものです。
それは獅子のように勇ましい剣の突きが相手にぶつかることから、その名をつけられたようです。そんな兄の必殺技は
「あめぇよ」
どうやったのか、あっさり剣でいなされてしまいました。突きの勢いで前のめりに倒れ込みました。
「うわぁぁあ!!!」
それでも兄はすぐに起き上がり横薙ぎに剣を振るいます。それと同時にまた金属が触れ合う音が一瞬したかと思うと、何かが空に飛びました。
それはくるくると回りやがてひざまついた兄の目の前に落ちました。それは兄の剣の刀身でした。中程で折れたそれは兄の敗北を叩きつけるかのように地面に突き刺さっています。兄もそれを見てガックリとうなだれました。
周りのヤジが飛ぶ中、勝負は終わりです。兄の完敗です。
「ロット!」
敗北感に打ちひしがれる兄の元へ、ケイトさんがやってきました。そういえば広場集合となっていましたからね。
この騒ぎですので慌ててきてくれたのでしょう。ケイトさんの表情は驚きと心配でいっぱいです。悔しそうに驚いた兄はさておき、意外にもナルルも反応を見せます。
「げっ、ケイトじゃねぇか!」
ナルルが驚きの声を上げると、ケイトさんが怒りをこめて言います。
「うちのロットになにするのよ!」
そういって流れるようなビンタです。バシンっと、それはもう気持ちのいい音でした。兄が必死になって入れられなかった一撃をあっさりとくらわしてナルルは頬に手形を作りながら吹っ飛びました。
反抗する気はないようでケイトさんに殴られたところをさするのみです。
名前を呼んでいましたが知り合いでしょうか。
連れて行かれた場所はこの街の広場でした。その一角を使うようです。
「よう、ナルルじゃねえか。また喧嘩か?」
道行く一人が言いました。失礼な男はナルルというそうです。
「ちげーよ、ガキの子守さ。グッハッハ!」
ガキとは兄を指しているんでしょうね。兄の拳に力が入りました。
「俺はガキじゃない!」
兄は今一番されたくない子ども扱いに腹を立てています。デリケートな部分ですので、そっとしてあげてほしいですが、事情を知らないので無理もありません。
それに、私にとってはカッコよくて頼れる兄でも、まだ一般的には子どもなんですから。
「グッハッハ、威勢よし。まあ揉んでやらあ」
やはり兄が怒って凄みますが、ナルルは余裕です。まるで相手にされていません。
でも兄は村では剣が得意でした。旅の間に鍛錬も欠かしていません。子どもだからと油断しきっている相手、勝てるでしょうか?
強面の割に持っているのは兄が扱う片手用の剣くらいのサイズが二本ですし。てっきり大きな剣やハンマーを使うんではないかと思うほどの体付きなので、もしかしたら見掛け倒しだったりしないでしょうか?
しかしナルルは有名なのか、喧嘩という声を聞きつけて少しずつ人が集まってきています。
ナルルはとても大きく、その集団にいると頭ひとつ抜きんでています。なんだかそれだけで、もうやっぱり強そうです。もちろん兄は埋もれてしまう大きさです。
またたく間に周りを見物者で囲われてしまいました。こうなってしまうと兄は逃げられません。毛頭逃げる気はなかったと思いますが、それでもこんなに沢山の人に見られて試合をするのは初めてのことです。見ているだけの私がなんだか緊張してきました。
「よーし、ガキ。やるか」
ある程度周りが落ち着いて見物を決め込んだのを確認し、ナルルは兄に言いました。首を回してずいぶんと余裕そうです。きっと油断していますね。
「ガキじゃない。ロットだ!」
兄もやる気満々で既に剣を抜いています。その姿を見てヤジが飛びました。全体的に兄は勝ち目がないと思われているようで「いいぞー」「頑張れよー」という同情からの応援のような声ばかりです。
幸い兄はナルルに集中しているため気が付いていません。そんな様子を見て、ナルルは面白そうに背中の二本の剣のうち一本を引き抜きました。そして左手一本で構えます。
「勘違いしてるようだから言ってやるが、ワシとお前は対等ではない。ワシは二刀流だが、剣一本左手のみでここから動かずお前を倒せる。いいか、これはガキのお守りだ」
つまり、相当の実力差があるから相手にならないということです。赤子の手をひねるように勝てるということで、馬鹿にされています!
「うぅぉおおおお!!!」
完全に怒った兄が、その怒りをバネに地面を蹴り跳ねました。勢いよくナルルに近づきます。ナルルさんは反応できないのか、迫ってくる兄に身動きしません。
よーしいけ!兄の剣が隙だらけのナルルさんの脇腹を捉えました! 真剣での対決だったので少しヒヤリとしましたが、剣の腹で殴っています。みねうちです。
「ぐぁっ!」
あれ? 地面を転がっているのは兄でした。なんで?兄は確かにナルルさんに一撃を入れたと思いました。なのになぜかその剣は届いておらず、弾き飛ばされてうめき声をあげたのは兄でした。
「何だ、もう終わりか?」
ナルルの剣は構えたときのままです。全くブレずピタッと止まっていました。痛みでヨロヨロと起き上がる兄を捉えています。
「なにがどうなって?……くそうまだまだだ!」
兄も何が起こったのかわかっていないようです。急に不安になってきました。兄は勝てないんではないでしょうか?
「突獅」
兄は先程よりも鋭く、私には目で追えないほど早く突きを繰り出しました。突獅とは兄の剣技の技で、唯一使えるものです。
それは獅子のように勇ましい剣の突きが相手にぶつかることから、その名をつけられたようです。そんな兄の必殺技は
「あめぇよ」
どうやったのか、あっさり剣でいなされてしまいました。突きの勢いで前のめりに倒れ込みました。
「うわぁぁあ!!!」
それでも兄はすぐに起き上がり横薙ぎに剣を振るいます。それと同時にまた金属が触れ合う音が一瞬したかと思うと、何かが空に飛びました。
それはくるくると回りやがてひざまついた兄の目の前に落ちました。それは兄の剣の刀身でした。中程で折れたそれは兄の敗北を叩きつけるかのように地面に突き刺さっています。兄もそれを見てガックリとうなだれました。
周りのヤジが飛ぶ中、勝負は終わりです。兄の完敗です。
「ロット!」
敗北感に打ちひしがれる兄の元へ、ケイトさんがやってきました。そういえば広場集合となっていましたからね。
この騒ぎですので慌ててきてくれたのでしょう。ケイトさんの表情は驚きと心配でいっぱいです。悔しそうに驚いた兄はさておき、意外にもナルルも反応を見せます。
「げっ、ケイトじゃねぇか!」
ナルルが驚きの声を上げると、ケイトさんが怒りをこめて言います。
「うちのロットになにするのよ!」
そういって流れるようなビンタです。バシンっと、それはもう気持ちのいい音でした。兄が必死になって入れられなかった一撃をあっさりとくらわしてナルルは頬に手形を作りながら吹っ飛びました。
反抗する気はないようでケイトさんに殴られたところをさするのみです。
名前を呼んでいましたが知り合いでしょうか。
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