【2部まで完結!】使い捨てっ子世にはばかる!?~妹が最強の魔王になるかもしれない~

うろたんけ

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第一部 無駄な魔力と使い捨て魔法使い

「最極魔法を使って世界を滅ぼす気か?」

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「ただのぉ…」

「もしかして他のエルフたちのことかしら?」

顎髭をさすりながら里長は深くうなずく。

「ふむ。この里はめったに人族には見つからん。なので閉ざされた世界で暮らすものも多く、そのせいかよそ者をひどく嫌うところがあってのぉ」

ロットは先ほどのケイトの形相を思い出した。たしかに、訪れてすぐでさえあの調子なのだから、いざ数か月住むとなったら人間とよそ者を嫌うエルフが衝突するのは目にも明らかだった。

「たしかに、いきなり魔法で煽られたよね」

ロットの言葉に里長は重々しい声で続けた。

「ワシからも言っておこう。ただ、あのコらも家族や友人が人間に迫害され、誘拐された事があるのじゃ。性格はひねくれてしまっているが、許してやってくれんかね?」

里長の言葉にロットも胸を痛める。そこまでの想像を働かせてみると、エルフにとっては同じ怖い人間で、嫌な思いをさせたのは自分たちかもしれないとも思ったからだ。

エルフはその希少性から狙われることも多く、実際にこの里のエルフも何人かは親や子をそれで失っていた。

それでもエレナの件に関しては納得できないケイトがむくれている。

当の本人、エレナは軽く笑いあっけらかんとしていた。

「そうっすよねー。あたしも気にしてないっす」

ケイトは机を叩きつけながら立ち上がり
「でもエレナ!」と抗議する。

「もちろん助けてくれたのは嬉しかったし、姐さんのことは尊敬してます。でもまああの子たちの気持ちもわからんでもないんで気にしてないんすよ!」

笑顔さえ浮かべる彼女の姿にケイトもそれ以上責められなくなった。立ち上がったものの勢いをなくした体はまた椅子に戻る。

「ま、まあ。エレナが許すなら……。ただ、また同じようなことやられたらあなたも我慢しちゃだめよ。あなただからって傷つけていいわけじゃないんだから」

ニヒヒと笑うエレナは嬉しそうで、里長は目を細めながらその様子を見ていた。

「ところで、里長さん。聞きたいことがあるのだけど」

このままお開きになってしまう前にケイトが切り出した。実はすぐにでも聞きたかったことだが、さすがにソイルの手前それを無視して自分の欲を満たすほどケイトも子どもではなかったのだ。

「ほぉ、なんじゃ?」

「トワさんから最極魔法について聞いたんですけど、何か知ってますか?」

ケイトが尋ねた。明らかに周りのエルフはざわついたが里長はわずかに空を見上げて目をつむる。それは遠い記憶を呼び起こしているかのようだった。

「ほぉ、懐かしいのぉ。最極魔法か」

「やっぱり存在するんですか!」

机がなければ詰め寄っていたに違いない勢いで聞いた。

「いいや、ワシはおろか、この里でそれを使える者はおらんのぉ」

「そ、そんなぁ」

里長の答えにケイトはうなだれる。しかし里長は話し続け、耳を傾けていたケイトはみるみる元気を取り戻した。

「じゃが、ワシは見たことがある。魔王と勇者様がバチコンやっとるのをな」

「ワシが見たそれは火の魔法じゃった。しかし見た目は普通のファイアーボールに見えた。あの戦場でなぜ下級魔法を?そう思うほどそっくりだったんじゃ。

それが一度術者から放たれるとそれに込められた魔力のすごさに気が付いた。かなりの距離離れていたがそれでも伝わるほどにな。

ものすごい魔力が圧縮されているのがわかり、それが双方から放たれた。そう、相手もまた下級の水魔法に見えたもののそれが最極魔法だったのじゃ。

そして、それが互いにぶつかる瞬間に爆ぜた。想像できるかのお。その一撃だけで戦場であった草原が丘一つ含めて、丸々平らになるほどの威力ではあった。

当然生きている者はおらんし草木も生えておらん。打った本人たちのみがかろうじて姿かたちを保ってたっておった。数キロ離れたワシのところにも凄まじい風圧があったのじゃ」

里長は遠い記憶を噛みしめるように話し終えた。思い出すだけで手が震えているのが見て取れた。

「と、とんでもねぇ威力だな」

「そんなのが存在するなんて」

 ナルルもロットも話に圧倒されていた。他のエルフもあまり語られることの少ない最極魔法について聞き入っていた。ただ一人ケイトのみがその話を聞いて考えをめぐらす。

「下級魔法に見えるのに平原を一つ更地に変えてしまうだなんて、なんて威力なの。そんなのどうやったら可能なのかしら?

もしかして膨大な魔力だけじゃ使えない代物なのかしら。そもそも下級魔法サイズまで魔法を圧縮するなんて可能なのかしら?

だとしたらどれほどの魔力をそこに込めるの?上級辺りから試してみようかしら」

独り言を自らの口からこぼれさせ、注目を集めていることに気が付いていない。あまりにも真剣な様子に里長も驚いた。

「なんじゃおぬし、世界を滅ぼす気か?」

そう声をかけられてようやく自分の世界から返ってきた。我に返って左右を見るとどの目も自身を捉えていて、少し疑心に満ちていることがわかる。

「へ? いえ、いえそんなつもりはありません! ただ、そんなすごい魔法を使えるようになってみたくって」

ケイトが慌てて説明する。里長は冗談のつもりで言っていたので軽く頷くだけだったが、内心仲間のロットやナルルでさえ、ケイトにそんな野望がないことを知って再度安心していた。

「ふむ、正直、習得はおすすめせんぞ。というか、不可能じゃろう。魔力で言うと極級魔法をゆうに十発は撃てるほどの魔力が必要じゃ。

そして魔法操作の部分でいうと下級魔法程度にその全魔力を圧縮する技術が必要になる。この二つを満たすことのできる人間なぞ勇者様たちであっても不可能だろうからの。

ただ応用として中級を下級に圧縮するなどすれば従来より範囲は狭まるかもしれんが威力が高まることじゃろう」

勇者でさえできないという言葉にこの魔法の習得の困難さが表れていた。あの、勇者が扱えない魔法があるという事実はなかなか不可能という言葉を語る説得力となる。

「なるほど、魔力量と圧縮ですね! でもそれなら最極魔法もそれだけの効果範囲があるのは可笑しいのではないですか?」

それでもケイトはあくまで前向きに最極魔法について知ろうとした。里長も実現不可能と思っているからこそケイトの疑問に答えていく。

「最極魔法ほどの魔力を下級ほどの小さな大きさに圧縮するとすさまじい爆発を生むんじゃよ。これは極魔法であってもそうはならん。最極魔法のみに起こる現象じゃ。だからこそこれが最極魔法と呼ばれるんじゃろうな」

目を輝かせてケイトは話を聞いた。そしてまた思考に戻る。その姿は魔法が好きでたまらないという気持ちを良く見せていた。

里長もまた、魔道を極めんと旅したこともあるほどであり、目の前の少女が魔法に打ち込むその姿に懐かしさを覚えていた。

「ふぉっふぉっふぉ。せっかく数か月は生活を共にするのじゃ。里の修練場もお貸ししましょう。超級程度の魔法なら耐えうる結界が貼っておるので、魔力の圧縮の練習にはもってこいじゃよ」

同じ魔道を愛するものとして、そしてその限界を知ったものとして、若いケイトが思考錯誤する姿を楽しみにそういった。

「ありがとうございます!」

そしてケイトもその好意をまっすぐに受け止め、魔導漬けの日々に期待感を持って答えた。
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