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第一部 無駄な魔力と使い捨て魔法使い
「全部終わった」
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「終わった……?」
ロットが気の抜けた声でポツリと言った。
実感がわかないのだろう。それくらい勇者の戦いは圧巻で。あっさりとしていた。
「うん、ロットお疲れ様。みんなを連れてエルフの里に戻ろっか」
勇者は優しく微笑みながら言った。今度こそ偽物ではない。根拠はないがロットはそう思った。
「よかった……」
ロットは緊張から解き放たれ、全身の力が抜ける。次第に意識が朦朧としていく。戦場は静寂に包まれた。多量の魔力と戦闘での疲労からついに気絶してしまった。
ナルルはすでに血を流しすぎて意識がなかった。ケイトもロットと同じく安心とともに意識を手放した。幸い、かろうじて動けたエレナと、台座の上で動けなかったがようやく解放されたソイルは疲労困憊なものの勇者とともに帰還の準備をした。
勇者は治療に当たってから連れ帰った。三人はしばらく眠ったままだった。
「ここは……」
ロットはベッドの上で目覚めた。天井はむき出しの樹に包まれているようで独特の雰囲気がある。ここがエルフの里であることはすぐに理解した。そしてなぜ眠っていたのかをゆっくりと思い出す。
「そうだ、魔王、勇者様が……」
おぼろげに思い出されるのは死を覚悟して挑んだ相手は絶望的に凶悪で、何か一つでも繋がらなければ全員助からなかったであろうこと。
そして勇者が来てくれたこと。勇者の圧倒的強さ。ロットは今更ながらに勇者というものの存在の大きさを知った。
体を起こすと意識がはっきりしてくる。ふとベッドの脇にいる何かと手がぶつかった。見るとソイルが頭だけ預けて眠っていた。その長い髪を優しくなでる。くすぐったそうに身じろぎして目を覚ました。
「おはよう、ソイル」
「お、おにいちゃん。……っ」
ソイルは言葉にならない喜びの代わりにロットの胸に飛び込んだ。傷が完全には癒しきれていなかったようで予想より激痛が走ったがそれでも兄の威厳としてソイルを包み込む。幸せそうなその横顔に生きている実感がわく。
「おわったんだな」
「うん、うん。私もう死なないって! お兄ちゃんたちのおかげでこれからも生きれるって!」
兄の生還に涙が頬を伝って地面に落ちていく。手で拭うも溢れ出ていた。ソイルは自身が治ったことよりも兄をこのような無茶に巻き込まなくて良くなったことに安堵し、泣いていた。
「あー、ロット君起きたんだ。ソイルちゃんよかったねー。みんなも呼んでくるっす」
ソイルにお茶を用意してくれたのか、茶の入ったカップを2つ持って入ってきたエレナがそう言った。エレナはどこも傷がなくすでに元気にしている。そしてみんなを呼びに部屋をまた出ていった。
2つのカップはエレナとソイルの分だっのだろう。
「みんなはもう目を覚ましているの?」
エレナの、皆と言ったことが気になり聞いた。
「うん。お兄ちゃんが一番最後だよ。一週間も眠っていたんだから」
「えぇ、そんなに!?」
そういえば、とお腹をさする。言われてみると急激に空腹を感じる気がしていた。
「ケイトさんは三日。ナルルさんは里についたころには目を覚ましたよ」
さすが冒険者というべきか、その胆力はロットにとって尊敬する点である。
「そっか。でもまあみんな無事ならよかった」
ロット的には目が覚めたのが一番最後というのは少し不服だったが、生きているということに感謝してそうつぶやいた。ちょうど部屋の扉がまた開き、ぞろぞろと人が入ってきた。
「ロット目を覚ましたのね!」
ケイトが一目散にやってきた。そのあとから勇者、ナルル、里長、そしてナルルと続いた。ロットは一人ひとり顔を合わせて挨拶をかわす。そしてナルルに目を向けた時絶句した。
「ん?あぁこれか。気にすんじゃねえ」
何でもないように言うナルルだが、その抑える腕は魔王に切られた肘のところから先がなくなっていた。治癒も間に合わなかったということになる。
ロットはソイルの魔王種の問題に巻き込む形となったナルルに対しては腕まで失わせてしまったことに大きな罪悪感を感じていた。
「す、すみま」
「謝んじゃねえ。いいかロット。ワシは冒険者だ。死ぬ覚悟だってできている。それにお前たちの旅についてきたのも自己判断だ。責任なんてねえよ。まっ、冒険者家業は引退になっちまうだろうがな」
笑ってそういうナルルは本当に気にしていないように明るかった。それがよりロットの胸を締め付ける。ロットにとって生死が隣り合わせの冒険者家業はまだまだ実感がないっことであり、いくらナルルが気にするなと言っても受け入れるまでには時間が必要だった。
「じゃあこれで全員起きたことだしこれからのことについて話そうか」
話題を変えたのは勇者だった。手をたたいて沈んだ空気を変える。
「今後ですか?」
「うん。旅の目的は達成したわけだし、パーティで言うなら解散しないとって感じかな。ロット君、君はどうしたい?」
ロットは少し考えた後、しっかりと前を向いて答えた。
ロットが気の抜けた声でポツリと言った。
実感がわかないのだろう。それくらい勇者の戦いは圧巻で。あっさりとしていた。
「うん、ロットお疲れ様。みんなを連れてエルフの里に戻ろっか」
勇者は優しく微笑みながら言った。今度こそ偽物ではない。根拠はないがロットはそう思った。
「よかった……」
ロットは緊張から解き放たれ、全身の力が抜ける。次第に意識が朦朧としていく。戦場は静寂に包まれた。多量の魔力と戦闘での疲労からついに気絶してしまった。
ナルルはすでに血を流しすぎて意識がなかった。ケイトもロットと同じく安心とともに意識を手放した。幸い、かろうじて動けたエレナと、台座の上で動けなかったがようやく解放されたソイルは疲労困憊なものの勇者とともに帰還の準備をした。
勇者は治療に当たってから連れ帰った。三人はしばらく眠ったままだった。
「ここは……」
ロットはベッドの上で目覚めた。天井はむき出しの樹に包まれているようで独特の雰囲気がある。ここがエルフの里であることはすぐに理解した。そしてなぜ眠っていたのかをゆっくりと思い出す。
「そうだ、魔王、勇者様が……」
おぼろげに思い出されるのは死を覚悟して挑んだ相手は絶望的に凶悪で、何か一つでも繋がらなければ全員助からなかったであろうこと。
そして勇者が来てくれたこと。勇者の圧倒的強さ。ロットは今更ながらに勇者というものの存在の大きさを知った。
体を起こすと意識がはっきりしてくる。ふとベッドの脇にいる何かと手がぶつかった。見るとソイルが頭だけ預けて眠っていた。その長い髪を優しくなでる。くすぐったそうに身じろぎして目を覚ました。
「おはよう、ソイル」
「お、おにいちゃん。……っ」
ソイルは言葉にならない喜びの代わりにロットの胸に飛び込んだ。傷が完全には癒しきれていなかったようで予想より激痛が走ったがそれでも兄の威厳としてソイルを包み込む。幸せそうなその横顔に生きている実感がわく。
「おわったんだな」
「うん、うん。私もう死なないって! お兄ちゃんたちのおかげでこれからも生きれるって!」
兄の生還に涙が頬を伝って地面に落ちていく。手で拭うも溢れ出ていた。ソイルは自身が治ったことよりも兄をこのような無茶に巻き込まなくて良くなったことに安堵し、泣いていた。
「あー、ロット君起きたんだ。ソイルちゃんよかったねー。みんなも呼んでくるっす」
ソイルにお茶を用意してくれたのか、茶の入ったカップを2つ持って入ってきたエレナがそう言った。エレナはどこも傷がなくすでに元気にしている。そしてみんなを呼びに部屋をまた出ていった。
2つのカップはエレナとソイルの分だっのだろう。
「みんなはもう目を覚ましているの?」
エレナの、皆と言ったことが気になり聞いた。
「うん。お兄ちゃんが一番最後だよ。一週間も眠っていたんだから」
「えぇ、そんなに!?」
そういえば、とお腹をさする。言われてみると急激に空腹を感じる気がしていた。
「ケイトさんは三日。ナルルさんは里についたころには目を覚ましたよ」
さすが冒険者というべきか、その胆力はロットにとって尊敬する点である。
「そっか。でもまあみんな無事ならよかった」
ロット的には目が覚めたのが一番最後というのは少し不服だったが、生きているということに感謝してそうつぶやいた。ちょうど部屋の扉がまた開き、ぞろぞろと人が入ってきた。
「ロット目を覚ましたのね!」
ケイトが一目散にやってきた。そのあとから勇者、ナルル、里長、そしてナルルと続いた。ロットは一人ひとり顔を合わせて挨拶をかわす。そしてナルルに目を向けた時絶句した。
「ん?あぁこれか。気にすんじゃねえ」
何でもないように言うナルルだが、その抑える腕は魔王に切られた肘のところから先がなくなっていた。治癒も間に合わなかったということになる。
ロットはソイルの魔王種の問題に巻き込む形となったナルルに対しては腕まで失わせてしまったことに大きな罪悪感を感じていた。
「す、すみま」
「謝んじゃねえ。いいかロット。ワシは冒険者だ。死ぬ覚悟だってできている。それにお前たちの旅についてきたのも自己判断だ。責任なんてねえよ。まっ、冒険者家業は引退になっちまうだろうがな」
笑ってそういうナルルは本当に気にしていないように明るかった。それがよりロットの胸を締め付ける。ロットにとって生死が隣り合わせの冒険者家業はまだまだ実感がないっことであり、いくらナルルが気にするなと言っても受け入れるまでには時間が必要だった。
「じゃあこれで全員起きたことだしこれからのことについて話そうか」
話題を変えたのは勇者だった。手をたたいて沈んだ空気を変える。
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