【2部まで完結!】使い捨てっ子世にはばかる!?~妹が最強の魔王になるかもしれない~

うろたんけ

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第二部 最大級の使い捨てパンチ

「お・ば・さ・ん」

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セリーナが微笑ましそうに見守る中、ロットとケイトも菓子を手に取り、オズオズと口へ運んだ。

そして美味しさに感激していた。田舎育ちのロットや冒険者稼業をやっていたケイトは保存が効かないクリームを使った甘味は初めてだったからその高揚感に放心していた。

和やかな雰囲気が漂う中、突然ジュリが提案する。

「ねえ母様、お医者様がつけてくれた僕の闘病日誌を見せて差し上げたほうが、治療がやりやすくなるんじゃない?」

その言葉に、ロットたちは不思議な違和感を覚えた。先ほどまでセリーナにしがみついていたジュリが、急にハキハキと話し始めたのだ。

「まあ!なんて気が利くのかしら?あれは大事なものだから、私が運んでくるわ。皆さんも少しお待ちくださいね」

母は何も疑わず、我が子の機転を喜びながら部屋を出て行った。そして、扉が閉まった瞬間、ジュリの表情が冷たく険しいものに変わった。

「よぉ、お前らが母様の金にタカる汚い虫か」

その変貌にロットは驚き、呑んでいたお茶にむせてしまった。かろうじてカップは落とさなかったが、ジュリの突然の言葉に戸惑いが隠せなかった。

エレナでさえ目を丸くしている。お菓子を食べる手は止まらないため口は忙しなく動いていたが。

「まったく、前のやつも『神に祈れば救われる』とか言いやがって。母様はお人が良くて騙されやすいからな。お前らも金が欲しいんだろ?悪いが、お前らみたいなのにやる金は一銭もない。今すぐ出て行け」

ジュリは椅子に立ち上がり、3人を見下ろすようにして扉を指差した。その言葉遣いと態度は、まるで別人のようだった。

「えらい変わりようっすね」

お菓子を飲み込んだエレナが戸惑いながら言うと、またひとくち食べた。

「驚きすぎてケイトが、変な顔で固まってる」

可愛いと思っていたジュリが突然牙をむき、冷たくなったことに、ケイトはショックを受けていた。小さな体が震えている。

これは怒っている。まもなく怒りを爆発させるだろう。ロットはそう予感したら、

「生意気言うんじゃないわよ、このガキ!」

テーブルを叩いて立ち上がったケイト。テーブルの食器が揺れて音を立てた。その行動に部屋は静けさで満たされる。

今度はジュリが固まった。普段叱られることのない彼にとって、自分を叱る存在はほとんどいなかった。親でさえも溺愛しているジュリは目の前の女が自分に向けて言った言葉を受け入れるのに時間をかけている。

だが、ケイトは畳み掛けるように続けた。

「何が『母様の金にタカる汚い虫』よ!私たちはあんたが病気だったらいけないからって、あんたのお母さんに頼まれてここに来たの!そんなこと言われる筋合いは一つもないんだから!

それに、もし本当に魔力種っていう病気なら、私たちくらいしか治療できない重い病気で、このままじゃあんた、十歳まで生きられないのよ!それをひねくれた言い方して、子供らしくしなさい!」

「さすが姐さん、7歳でも関係ないっすね」

エレナが拍手をしながら感想を述べた。その音でジュリは我に返る。

「…い、いいんだよ別に今のままで!なんだかんだ死んでないし、父様も母様も具合が悪いとそばにいてくれるからな」

ジュリはたじろぎつつも椅子に立ち上がった。あくまで上から目線を崩さないようだ。ケイトも負けじと椅子に登った。

品が良さそうな少年と、仕事を請け負うために来たはずの大人がテーブルを挟んで対峙していた。

「だからっ!今はなんとかなるかもだけど、十歳になったら種が…」

その時、セリーナが大量の日誌を持って部屋に戻ってきた。

ジュリは驚くべき速さで椅子に座り、平然とした顔を装っていた。その結果、ケイトだけが他人の家で行儀悪く椅子に立ち上がっているという、なんとも滑稽な光景が広がっていた。

そしてジュリは平然と猫を被る。

「あ、母様。このお、ば、さ、ん!が怖いこと言ってくるんです。……僕はちょっと悲しい気持ちになりました。このお、ば、さ、ん。を部屋から出してください」

ジュリは、まるで最後の一撃を加えるかのように言い放った。

「だ、だ、だ、だれが…!」

ケイトは今にも爆発しそうだったが、すぐさまロットによって羽交い締めにされ、止められた。

それでも怒りを抑えきれないケイトを、ロットはエレナに助けを求めたが、彼女はただワクワクとした表情で展開を楽しんでいるだけだった。

エレナの奴め!心のなかで悪態をつきつつもロットはなんとかケイトをとどめている。

「あらあらぁ、そうなの?ケイトさん、申し訳ないけど退出してもらってもいいかしら?この子ったら、言い出したら聞かないのよ」

セリーナは困ったように言いながら、ジュリを優しく見つめた。ジュリは子供らしい顔で「ありがとう母様」と言った。

その親子の反応に、ケイトの怒りはさらに募り、ロットに引きずられるようにして部屋を出た。これ以上叫ぶことが得策でないことは理解しているため顔を真っ赤にしつつもそれ以上何も言わなかった。

「ぼくも一緒に退出します!エレナ、あとは任せたよ!」

ロットとケイトが騒々しく退室し、敷地を出ると、ケイトの怒りがついに爆発した。

「なんなのよ、あいつは!!!」

彼女の叫び声が、屋敷の中のエレナ達にまで届いた。
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