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第二部 最大級の使い捨てパンチ
「ど、どうしてここに!?」
しおりを挟む「……か、母様、父様?!どうしてここに?」
二人の傍らにはケイトとロットも一緒にいて、ケイトが軽く笑う。
「あんたが家を飛び出したからよ」
「とても心配してたんだよ」
「もちろんだともジュリ、私たちは何よりも君が大切だからね」
グレイソンが優しく言うと、ジュリは不信感を募らせた。
「う、嘘だ!今は僕が病気だから心配してるだけで、治ったらまた僕に興味なんてなくなるんだ」
「ジュリちゃん、どうしてそんな事言うの?私たちはあなたを誰よりも愛しているのよ」
ジュリの発言に驚きつつも、セリーナも悲しげに言葉を続けるが、ジュリの心はこじれていた。彼は押し込めていた感情が一気に溢れ出すように言葉を吐き出していった。
「だ、だって母様、いつも胡散臭そうな人ばっかり集めて忙しそうで、ゆっくり遊べもしないじゃないか」
セリーナはその言葉にショックを受け、しばらく言葉を失った。ジュリの言う通り、医者を探していたのは彼女の愛情からだったが、それがジュリには理解されなかった。
「ジュリ、母さんはジュリを思って」
「父様だって僕より仕事が大事なくせに。僕の体調が少しでも良くなったら仕事仕事、家にもあまりいてくれないじゃないか」
グレイソンも、事実を指摘されて自分の痛いところを突かれてしまう。
「うっ、それはお金を稼がないとジュリを治療したり、栄養のあるものを食べさせるためで」
いい大人が胸の前で手をもじもじとしながら言う様はちょっとあれだ。
「そうだとしても、それは僕が病気だからだ。母様も父様も僕の病気が治っちゃったら、もうどうでも良くなっちゃうんでしょ」
ジュリの言葉には決して受け入れられない心が込められていた。その姿に、どんな言葉をかけても届かないように思えた。
しかし、グレイソンとセリーナは親としての愛情を持っていた。
「ジュリ、いい加減にしなさい、そんなわけないだろ!」
グレイソンの怒気を含んだ声がジュリに届く。肩がびくっと震え、ジュリは叱られることを予感して耳を塞いで目をつむった。
「そうよジュリちゃん、私たちを甘く見ないで頂戴!!!」
セリーナの普段とは違う強い声が響く。ジュリは、親が自分のわがままに、失望しているのではないかと考えていた。
「け、けんかはだめだよ?」
ロットはこの光景に困惑し、どう止めるべきか迷っていた。エレナとケイトは黙って見守っている。
「ロット、黙って見てなさい」
エレナがロットに制止の言葉をかける。グレイソンはジュリの前に屈み、優しく彼の頭を撫でた。殴られる覚悟をしていたジュリは、その優しい手の感触に驚き、耳を塞いでいた手を少しずつ緩めた。
「たとえジュリが元気になって、喜ぶことはあっても、構わなくなるわけじゃないか。もし治ったら、仕事も他の者に任せて、一緒にいる時間を増やそう」
グレイソンの言葉は、心からの優しさと愛情に満ちていた。セリーナも、隣に膝を抱えてしゃがみ込む。
「私も病気について調べなくなるなら、その分ジュリちゃんとずーっと一緒にいられるのよ!それにせっかくみんなで元気でいられるようになるなら、どこかお出かけもしたいわね」
セリーナの言葉には希望が込められていた。ジュリはゆっくりと目を開ける。そこにあったのは、何よりも愛する母の笑顔だった。
「本当に……?た、たとえば経済都市におでかけとかも?」
ジュリは恥ずかしそうに上目遣いで告げた。経済都市は、ライリス商会の本拠地がある場所だ。
「どこへだって連れてってやるさ。なんだ、経済都市に行きたいのか?」
グレイソンは息子の願いをかなえるためなら、どんな困難も乗り越える覚悟があった。しかし、ジュリの思いが意外な場所を指したため、少し驚いたようだった。
「その、僕、父様の仕事がしたくって、一度見てみたいんだ」
上目遣いでそう告げたジュリに、グレイソンの喜びは最高潮に達する。
「すぅぅうううっばらしい!!!さすがジュリ、我が息子だ!」
「すぅぅうううっばらしいわ!!!ジュリちゃんは将来のベウコ商会長、いえ全国をまとめる商会長になれるわぁぁ!」
セリーナも同様に喜びの声を上げ、ジュリを高々と抱き上げ、ぐるぐると回す。驚異的な回転率で回されたジュリは、少し酔いを覚えたが、その後しっかりと嘔吐してしまう。
「え、あぁぁぁあ!?ジュリが魔力種に侵されてる!?」
「いや、違うわよ!あなたたちが振り回したからよ!」
ケイトの鋭いツッコミが入るが、こうしてジュリの魔力種は無事に取り除かれることとなった。
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