【2部まで完結!】使い捨てっ子世にはばかる!?~妹が最強の魔王になるかもしれない~

うろたんけ

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第二部 最大級の使い捨てパンチ

「また穴に落ちた」

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「そ、そんな。どうして此処がわかったんですか!」

まるでお手本のように取り乱し慌てる商人。少しわざとらしく見えるほど大げさだった。しかしロットたちには追い詰めたように見えている。

「それよりもエレナとルミナリアさんはどこだ」

「言うわけ無いでしょう」

その後ろで貴族の男は面白そうに展開を見守っていた。

「なら力ずくで聞き出すぜ」

「あたいの手下をたぶらかした罪も重いよ」

パンチとレナが手の関節を鳴らしながらにじり寄った。

「ふはは、どうする奴隷商」

貴族の男はまるでショーでも観ているように高笑いしながらそう言うと、これから起こるであろう争いに備えて後ろへ下がった。

しかし奴隷商人は戦う気が初めからなかった。わざとらし驚いてみせたのもロットたちを油断させるため。そしてそれはうまくいき、侵入者たちは思惑の位置にまで踏み入れた。

「心配は入りません。私もこういうときのために色々準備がございますので」

悪い笑みをうがべながら懐からスイッチをだして押した。

その動作に反応した一同は、何か罠が飛んでくると身構えたが、地下であるはずの自分たちの足元が、さらになくなるとは思っていなかった。

「床が抜けてっ」
「みんなっ」
「くっ」

奴隷商人の手前まで全てが穴となり、落ちていく。あっという間に形勢は逆転してしまった。

「ふはは、床が抜けよった。人間は面白い仕掛けを作るのだな」

あなたも人間でしょうに。そう思いつつも口には出さない。上客を喜ばせるネタができたことにほくそ笑んだ。

「ええ、優れた商人はいつでも最悪を想定していますので。落ちれば最後、凶悪すぎて売り物にならない魔物と戦わせることができます。さて、では良い見世物になると思いますので侵入者が食われるところでも観に行きましょうか。下はコロシアムのようになっておりますゆえ」

落ちていったロットたちは、貴族の男を楽しませるまるで余興だとでも言わん手際の良さで、貴族の男を案内しようとする。

すると落ちたはずの穴から手が出て、何かがよじ登ろうとしていた。

「て、てめぇら、お嬢をかえ、せ」

穴の縁側に近かったパンチはかろうじて捕まり落ちることを免れていたのだ。這い上がろうとし、どうにか首まで持ち上げたところで顎をかけて息を整えている。

驚くことにパンチパンチほか3人にぶら下げられてかろうじて耐えていた。つまり3人分を1人で背負っているパンチは今にも手の力が抜け落ちていきそうな瀬戸際である。

「なんだおちてなかったのか、くずめ。そんな状態で凄んでなんになる」

奴隷商人は、まるで汚物でも見るような視線を送り、かろうじて穴を掴んでいるパンチのその手を踏んで落とそうと歩み寄った。しかし、貴族の男が何かを気がついて、奴隷商人を止める。

「待て。よく見るとお前ゴレンではないか」

「あぁ?」

貴族の男はそう呼ぶが、パンチにとっては聞き馴染みがなく、何もわかっていない様子で睨みつける。その様子に二度の男は呆れたような表情になった。

「ふっ、出来損ないの使い捨ては主人の名前も覚えられぬか」

そう言われてパンチはルミナリアと出会う前の微かな記憶が蘇った。姿は多少異なるが、目の前にいる男こそパンチを作成した人物である。

「なにを……まさかあんた」

そこに感動の再会は存在しない。パンチにとっては使い捨てとして捨てられた相手でもあるし、貴族の男にとってもパンチは利用価値がない使い捨てのゴミ同然であるからだ。

「そうだ。しかしお前は廃棄したと思ったがどうやって生き残った?」

ただ、ゴミ同然で捨てたはずなのに目の前で五体満足動いていることには興味が湧いていた。あの状況で主人を失ったゴーレムが生き残れるはずがなかったからだ。

「へ、うちのお嬢様が助けてくれたんだ。てめえなんかと違って慈悲に溢れてんのようちのお嬢は!」

「ほう、人間も器用なものよ」

自身の作品に手を加えて生き延びらせるというのはなかなか難しく、それをやってのけた人間に対して感心したのか拍手まで送ってくる。その反応に嫌悪がして、歯を食いしばって怒りをあらわににらみつけた。

「なんと、お知り合いでございましたか?では今すぐお助けを」

奴隷商人は二人が奴隷と主人のような関係だったことは把握して助けを差し伸べようとしたがまたしても貴族の男に止められる。

「いらぬ。コヤツは出来損ないの使い捨てゴーレムだ。誰かに直してもらったようだが、ゴミはゴミだからな。このまま落ちて魔物の餌になるのがよかろう」  

貴族の男はそう言うとパンチが穴の縁になんとかかけていた手を足の裏でぐっと踏んだ。苦痛に耐えて粘るパンチだったが、そこから劇的に助けが来ることもなくあっさりと手は離れた。

「ぐ、ぐぁあー」

落ちたパンチは悔しさに拳を握りしめながら穴の底へと落ちていった。
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