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第二部 最大級の使い捨てパンチ
「ケイトが危ない!」
しおりを挟む「ちょ、ケイトまずいよどおする!?」
ロットは必死に攻撃を避けながら言った。
「そんなの私に聞かないでよ」
半ば叫ぶようにケイトも答える。二人共猛攻をくぐり抜けながら、やいやい言い合っているあたり余裕そうにも見える。
「バカ二人、こんなとこでいちゃつくんじゃないよ!」
危機的状況を前に締まらない二人にレナは切羽詰まってツッコミを入れる。
「誰が!もう、こんなことなら他の方法考えとくんだったわ」
レナのツッコミに少し赤くなりつつ否定するケイト。
「俺の一撃でやるしかないか」
出番だと言わんばかりに腕をまくり肩を回すパンチ。たしかにその一撃は破壊力が高く、生半可な敵では一撃必殺となり得た。しかしその一撃は外れやすく、そして威力もゴリラードを倒すには届かない程度のものである。
魔力操作に長けたケイトはそれを直感的に感じ取り慌てて言った。
「倒せないし足手まといを増やして何になるのよ!あなたは必死に攻撃から逃げてなさい」
おまけに魔力切れで倒れるところを見てきたのであっさり却下される。そのストレートないいようにぐうの音も出ずに唇を噛んで我慢するしかなかった。
その代わりにレナとロットが前に出た。
「ここはあたいの出番だね」
「俺も食い止めるからケイトは魔法で援護して」
結局案は特になく、正攻法で迎え撃つことにしたのだった。二人がゴリラードに向かって槍と剣を抜く。
「グララぁぁぁぁ!!!」
地鳴りのような鳴き声で威嚇するゴリラードは二本足で立ち、手を高く振り上げた。そこから振り下ろされる一撃は危険な威力ではあるがその分大ぶりに見えた。そこにチャンスとばかりに2人は技を打ち込んだ。
「突獅!」「一閃!」
「ぐろぉぉぉおおお!」
がら空きの胴体にヒットし、後ろにのけぞる。その隙にケイトが魔法を放ち、あたりは砂煙が舞った。
「やったか!」
パンチがそう言うが、砂煙が晴れるとほとんど傷がなく怒りのボルテージが上がっただけのゴリラードが睨みつけている。その様子に一瞬ヒヤッとしていた奴隷商人が喜びを露わにした。
「ホーッホッホ!その程度の攻撃で倒せるはずがないでしょう。何しろ希少種で力が強すぎて売り物にならなかったほどですからね」
奴隷商人がこれで一安心とばかりに煽る。実際この哀れな魔物はこの地下に眠らされて閉じ込められていた。以降はこの闘技場で見世物として時々人間を殺すことが仕事になっている。
幾度となく惨めな扱いを受けたゴリラードはいつしか人間を見ただけで嬉々として襲うようになっていた。
「もっと威力を上げないとだめね、少し時間稼ぎお願い!」
ケイト達は冷静で、次の一手を考えていた。ケイトは修行の甲斐あってか、まだ魔力には多少余裕があり、その全てを込めて最極とまではいかないまでも高威力の極魔法を準備する。
「わかった!レナさん足を狙って動きをとめよう」
その意図を汲み取りロットはすぐさま行動に起こした。怒りのゴリラードは自らに刃を向ける小さな人間二人にロックオンする。
「あいよ!一閃三連!」
レナは指示にすぐさま反応して右足に向かって3度槍で鋭くついた。魔力を込めた強力な一撃は衝撃波となって放たれゴリラードの足に浅い傷をつけた。
しかし体勢が少し崩れたのみで勢いはなくならずまだ迫ってきている。
「突獅!」
そこでロットはさらに右足を獅子の剣撃で噛みつかせた。ゴリラードは耐久こそあるがスピードはそれほど速くなく、攻撃をかわしながら反撃に転じていた。レナとロットは足を執拗にねらう。
傷は少しずつでしか付かないが、入れ替わりで同じところを狙うことで突破口を見つける。足を止めたゴリラードが煩わしそうに腕を振り回した。
それでもレナとロットは狙い続けて、とうとうゴリラードの右足から血が噴き出て膝まづく形になった。
「がらぁぁ?!」
痛みに悶えるゴリラード。チャンスとばかりに攻め入ろうとした。
「よし、この調子でっなに!?」
しかしゴリラードは足よりふた周りは太い腕で跳躍した。二人を悠々と飛び越えた先は魔法を込めているケイトがいて、着地と同時に叩き潰すつもりのようで拳を握り振り下ろしながら落ちていた。
「ケイト危ない!」
ロットはそれに気がついて叫ぶが今の位置からは間に合わすことはできず、焦りだけが募る。
「グララぁぁぁぁ!!」
凄まじい衝撃音と砂埃が舞い、ケイトの生存は絶体絶命化に思われた。
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