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第三部 勇者への道
「あら、ロットがいないわ」
しおりを挟む一方ケイトも塔に入った瞬間、転移が働き見知らぬ部屋からのスタートとなっていた。
取り乱すことがなかったのはケイト自身の経験と、たとえ一人であってもある程度は戦えるという自信からだった。
「ロットとはぐれちゃったわね。あの子大丈夫かしら?」
とはいっても長期戦には向かない魔力量なので状況を把握してロットを探すことにする。ケイトはすぐに頂上を目指せばいいという考えに至り、部屋を出た。
歩き出してすぐに女性の悲鳴と魔物の唸り声、そして対抗する戦闘音が聞こえた。
「悲鳴!?」
ケイトはすぐさまその声の出どころへ向かうと2人の女性が狼型の魔物に襲われているところだった。魔物はダークウルフと呼ばれ、ダンジョンにいるような魔物なのに勇者の塔にもいることに驚きを感じつつも冷静に分析する。
「2人共近接系なのね、でもダークウルフは見た目以上に体皮が丈夫だから剣が中々通らないのよね」
女性2人は、片方が背が高く、しかし武器の大剣はその体を持て余すほどの大きさだ。もう一人は小柄で、武術を扱うようで素手で巧みに使って攻撃を防いでいる。
黄塔の勇者の試験を突破したので一定の実力はあるようで、すぐにやられるということはなさそうだった。
しかし攻撃を受け止める能力は2人共大したものだったが攻撃力という部分には課題が残り、なかなか倒せずにいる。今大剣を持ったほうが一匹を叩き潰すことに成功したがその隙に残り数匹のダークウルフが小柄な女性に襲いかかった。油断していたのか反応が一瞬遅れた。
「くっ、魔法は節約したかったけど見捨てるわけにはいかないわよね。魚の矢」
「ギャアオン」
ケイトの放った魔法はダークエルフに直撃し貫いていた。的確な射撃によりダークウルフは皆息絶えた。女性二人は助かったことに安堵するより先にダークウルフの皮膚をいとも簡単に貫いた魔法に驚きを隠せずにいた。
「あなたたち大丈夫?」
呆然としている二人にケイトが近づいていった。そこでようやく二人も現状を打破できたことに気がつき、ペタンと地面に腰をつける。
「あぅ~怖かったですぅ」
「ありがとう、助かりました」
2人揃って抱き合いながら礼を言う姿にケイトは違和感を覚える。
「あなた達どうしてもう二人組なの?わたしも最短でここまで来たと思うんだけど」
同じタイミングで塔に入り、別々のところに飛ばされたのなら互いに出会うのは早くても今くらいのタイミングになるはずたった。それなのに二人は仲が良さげでしかもケイトが来たときには連携しながら戦っていたのだ。
「わ、私たちもここでたまたま会ったんだ」
「でもわたしたちわぁ、塔に入る前から仲間だったのですぅ」
つまりロットとケイトのように同じパーティーの人間がたまたま一番最初に出会えたのだ。ない話ではないのでケイトもそれ以上追求せず納得した。
「私はケイト。魔力は少ないんだけど魔法が得意よ。よろしくね」
「わたしはクリスですぅ、素手で戦いますぅ」
「私はトリィだ。大剣を使う」
それぞれ自己紹介をして仲を深めた。2人共前衛でしかも守備的なところが得意という変わったパーティーだった。そのおかげで二人揃って素で黄塔の勇者の一撃を耐えたというのだから耐久においては一級品であることには間違いがない。
クリスは素手に魔力を込めて戦うスタイルで受け流す技が得意だった。また間延びした話し方をするが背は小さく俊敏な動きが特徴である。動くたびにおさげがヒョコヒョコと動くがそれも彼女には似合っていた。
トリィに関してはケイトよりも背が高く、スラリと伸びた手足は大剣を振るうには少し心もとないようにも思えた。
しかし実際に扱うところを見せてもらうと意外にも自由自在に大剣を動かして攻撃を真正面から大剣で受け止めていた。
ちなみにケイトは大剣を持たせてもらったが重みに負けて持ち上げることができなかったのでトリィの力はそれなりにあることがわかる。
3人は塔の頂上目指して歩き続ける。
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