103 / 117
第三部 勇者への道
「ぎゃぁぁぁああ!!!」
しおりを挟む
塔を攻略したものが勇者になれる性質上足を止めることなく進んでいた。歩きながらもケイトの心配は一つ。
「2人共防御特化なんて珍しいわね。ところで子供っぽい剣士見てないかしら?」
ロットが聞けば怒りそうな表現だが知らない者にとっては的確である。クリスとトリィも若いがやはり最年少はロットで間違いない。しかし二人は顔を見合わせたが心当たりがないらしい。
「仲間ですか?」
「ええ、どうやら別の場所に飛ばされちゃったみたいなのよね」
「ええ!別々になる可能性もあったのか」
「わたしたち運が良かったですぅ」
ここでようやく仲間であっても別の場所に飛ばされていた可能性を知り二人は今こうして離れずにいられていることを安堵する。
ケイトは横目で抱き合う見ながらもロットを心配していた。彼女の中ではまだまだ未熟な剣士のように見えていた。
「うぅ、仲間とはぐれるなんて可哀想です。トリィと離れたら私やっていけましぇん」
感受性が豊かなのか、泣き出して同情するクリス。よくあることなのかトリィは落ち着いた様子で頭を撫でている。
「何も泣かなくても。でもじゃあどうせ行く場所は同じなんだし一緒に行きましょう?」
「いいんですかぁ!」
「私たちとしても遠距離がいると助かるが、その」
ケイトの申し出に喜びをあらわにするクリスだが、トリィは言葉を詰まらせる。なぜならここに来ている理由として皆勇者を目指していた。つまり仲が深まるほど最後にはつらい思いをすることが目に見えている。
「あぁ、私はもとより勇者になるつもりはないわ。仲間の付き添いで来ているだけだから。だからその時はロットと対決してちょうだい。恨みっこ無しで決めましょう」
そういったケイトに二人は目を丸くした。テストに受からず脱落した者たちが聞けば白目を剥いてしまうほどあっさりと勇者になるチャンスを捨てたのだった。
「じゃあケイトさん、よろしく」
「よろしくですぅ」
「さんはいらないわよ。ほら行きましょ」
そんな三人は塔の中を探りさぐり探索する。まるでダンジョンのように階段や部屋が入り乱れており不正解を引くと魔物と戦闘になる仕様だった。
それに気がついてからは慎重になり、順調に上の階へと登っている。
「あ、魔物がでてくるくらいだからダンジョンと一緒で罠には十分気をつけてね」
襲いかかってきた魔物を風刃で貫いたケイトが言った。
いつの間にかこのパーティーではケイトが先頭を歩いている。魔法使いであるケイトとしては前衛を二人に任せたかったが何故か後ろにピッタリついてきたのだ。
前衛としての自覚はあるのだろうか?そんな疑問がケイトを襲ったが、いざ魔物が出てくると一応壁になってくれていたので文句は言わずに進んでいた。
基本的には冒険者をやっていたと言う割におっちょこちょいというか不注意というか、特に小柄なクリスの方はフラフラとしているためあえてそう注意を促した。
「あぁ。流石に私達も伊達に女2人で冒険者をやっていないからそのへんは」
トリィが答えている途中にパキリという明らか床を歩いた時に鳴るでない音が鳴った。
ケイトとトリィは恐る恐る振り返り見るとクリスは踏み出した右足をちょうど引っ込めたところだった。よく見るとその一部分だけ紋様が描かれており、細かく亀裂が入っていた。
「はぇぇ。なんか床が沈みましたぁ」
今にも泣きそうなクリスがそう言った。手をアワアワと空を切っているが発動してしまった罠を防ぐ手立てはない。
「……クリス?」
「あ、あはは、すみません、どうしましょう床が抜けたりしたら」
呆れて絶句するトリィと、なんだか情けなくて笑えてきたクリス。ケイトは
「また落ちるのは勘弁よ」
とだけ言って罠に備えた。
静寂が3人を襲ったが何も起こらなかった。張り詰めていた緊張も緩み始める。不発なこともあるので今回がそれではないかと二人は気を抜いた。
「何も起こらないな」
「よかったですぅ」
その時真上から一雫が落ちてきた。気が付いたケイトが見上げるとそこにはドロドロとした何かがへばりついていて今にも剥がれ落ちそうになっていた。
「うえよ!」
飛び退いたケイトだったがクリスとトリィは落ちてきた粘液に取り込まれて
「きゃぁぁぁあ!!!」
「にゃぁぁぁあ!!!」
悲痛な叫び声が辺り一面に響いた。
「2人共防御特化なんて珍しいわね。ところで子供っぽい剣士見てないかしら?」
ロットが聞けば怒りそうな表現だが知らない者にとっては的確である。クリスとトリィも若いがやはり最年少はロットで間違いない。しかし二人は顔を見合わせたが心当たりがないらしい。
「仲間ですか?」
「ええ、どうやら別の場所に飛ばされちゃったみたいなのよね」
「ええ!別々になる可能性もあったのか」
「わたしたち運が良かったですぅ」
ここでようやく仲間であっても別の場所に飛ばされていた可能性を知り二人は今こうして離れずにいられていることを安堵する。
ケイトは横目で抱き合う見ながらもロットを心配していた。彼女の中ではまだまだ未熟な剣士のように見えていた。
「うぅ、仲間とはぐれるなんて可哀想です。トリィと離れたら私やっていけましぇん」
感受性が豊かなのか、泣き出して同情するクリス。よくあることなのかトリィは落ち着いた様子で頭を撫でている。
「何も泣かなくても。でもじゃあどうせ行く場所は同じなんだし一緒に行きましょう?」
「いいんですかぁ!」
「私たちとしても遠距離がいると助かるが、その」
ケイトの申し出に喜びをあらわにするクリスだが、トリィは言葉を詰まらせる。なぜならここに来ている理由として皆勇者を目指していた。つまり仲が深まるほど最後にはつらい思いをすることが目に見えている。
「あぁ、私はもとより勇者になるつもりはないわ。仲間の付き添いで来ているだけだから。だからその時はロットと対決してちょうだい。恨みっこ無しで決めましょう」
そういったケイトに二人は目を丸くした。テストに受からず脱落した者たちが聞けば白目を剥いてしまうほどあっさりと勇者になるチャンスを捨てたのだった。
「じゃあケイトさん、よろしく」
「よろしくですぅ」
「さんはいらないわよ。ほら行きましょ」
そんな三人は塔の中を探りさぐり探索する。まるでダンジョンのように階段や部屋が入り乱れており不正解を引くと魔物と戦闘になる仕様だった。
それに気がついてからは慎重になり、順調に上の階へと登っている。
「あ、魔物がでてくるくらいだからダンジョンと一緒で罠には十分気をつけてね」
襲いかかってきた魔物を風刃で貫いたケイトが言った。
いつの間にかこのパーティーではケイトが先頭を歩いている。魔法使いであるケイトとしては前衛を二人に任せたかったが何故か後ろにピッタリついてきたのだ。
前衛としての自覚はあるのだろうか?そんな疑問がケイトを襲ったが、いざ魔物が出てくると一応壁になってくれていたので文句は言わずに進んでいた。
基本的には冒険者をやっていたと言う割におっちょこちょいというか不注意というか、特に小柄なクリスの方はフラフラとしているためあえてそう注意を促した。
「あぁ。流石に私達も伊達に女2人で冒険者をやっていないからそのへんは」
トリィが答えている途中にパキリという明らか床を歩いた時に鳴るでない音が鳴った。
ケイトとトリィは恐る恐る振り返り見るとクリスは踏み出した右足をちょうど引っ込めたところだった。よく見るとその一部分だけ紋様が描かれており、細かく亀裂が入っていた。
「はぇぇ。なんか床が沈みましたぁ」
今にも泣きそうなクリスがそう言った。手をアワアワと空を切っているが発動してしまった罠を防ぐ手立てはない。
「……クリス?」
「あ、あはは、すみません、どうしましょう床が抜けたりしたら」
呆れて絶句するトリィと、なんだか情けなくて笑えてきたクリス。ケイトは
「また落ちるのは勘弁よ」
とだけ言って罠に備えた。
静寂が3人を襲ったが何も起こらなかった。張り詰めていた緊張も緩み始める。不発なこともあるので今回がそれではないかと二人は気を抜いた。
「何も起こらないな」
「よかったですぅ」
その時真上から一雫が落ちてきた。気が付いたケイトが見上げるとそこにはドロドロとした何かがへばりついていて今にも剥がれ落ちそうになっていた。
「うえよ!」
飛び退いたケイトだったがクリスとトリィは落ちてきた粘液に取り込まれて
「きゃぁぁぁあ!!!」
「にゃぁぁぁあ!!!」
悲痛な叫び声が辺り一面に響いた。
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!
たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。
新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。
※※※※※
1億年の試練。
そして、神をもしのぐ力。
それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。
すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。
だが、もはや生きることに飽きていた。
『違う選択肢もあるぞ?』
創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、
その“策略”にまんまと引っかかる。
――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。
確かに神は嘘をついていない。
けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!!
そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由
瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。
神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる