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第三部 勇者への道
「脱落者が続々っす」
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「あ、また戻ってきたっす」
エレナが淡い光から冒険者が現れるのを見て行った。先ほどから続々と脱落者が戻ってきていたのだ。
「酷く傷ついてんぜ」
今のところ戻ってきたほぼ全員がかなりの怪我を負わされており命からがらと言った感じである。ただそこまで切羽詰まった状況でないのはひとえに桃塔の勇者のおかげと言えるだろう。
「桃塔の勇者様がいなきゃ今頃大惨事だったな」
テスト時に魔力は使い果たしたように言っていた桃塔の勇者だったが、何かあった時のためにきちんと温存していたらしく次々と脱落者を癒していった。
「でも勇者の塔って思った以上に過酷なんすね。黄塔の勇者様の一撃を耐えるような人が入ってもこんなふうにぼろぼろになって帰ってくるんすから」
「ロットとケイトが残ってるのが不思議なくらいだぜ」
あの一撃を耐えうる人達がこのように傷つく姿を想像してそう言わずにはいられなかった。二人も決して弱くはないがかと言ってぶっちぎりに強いわけでもない。赤塔の勇者も暇なのか会話に参加する。
「んーまあ確かに過酷だけど、黄塔ちゃんの一撃を耐えるような人たちなら塔自体はそこまで苦労しないと思うんだけどな」
「そうなんすか?」
経験者とはいえ赤塔の勇者はズレているという認識が出来上がってきているので疑いの目を向けるが、青塔の勇者もやってきて、赤塔の勇者に同意する形で発言した。
「あぁ、本来勇者の塔とは最低限の実力があれば踏破自体は難しくない。勇者に必要なのは実力だけではなく、その気質みたいなものなんだ。それを道中の戦闘や罠、他の候補者の関わりを含めて、塔が判断していく。
そして最後の試練さえ乗り越えられれば勇者になれるからな。もしだめなら塔から強制帰還になるはずだよ。だからこうやって大きく傷つく人が大勢いるのは珍しい」
「へーそうなんだ、さすが青塔君」
赤塔の勇者もその情報に称賛した。本当に突破したのか問いたくなるほどだったが
「赤塔の、君は1人で入って1人で突破した変わり者だから知らなかっただけだよ」
の一言でエレナもパンチも納得した。
「でも最低限の実力って言っても勇者様達は皆さん強いっすよね?」
確かに黄塔の勇者の一撃は凄まじいものだったが、その水準を少なくとも赤塔の勇者や桃塔の勇者は満たしていた。そう考えると青塔もかなりの実力者であることはわかるが、今回の挑戦者の中にそれほどのものがいるようには思えなかった。
「これは天界の加護のおかげだ」
「天界の加護?」
「勇者とは魔族との相反する存在だ。そしてそれに立ち向かう者に与えられる勇者専用の称号というものだな。それを与えられた時点で身体能力や魔力など格段に能力が上がるんだ。それがなければ私もちょっと名のしれた剣士止まりだったよ」
勇者の力の秘密があっさりと話される。つまり人外級の赤塔の勇者の戦闘力も黄塔の勇者の凄まじい魔法も桃塔の勇者の絶大な回復魔法も全て加護によるものの可能性が高い。
そうなると青塔の勇者は剣に関わる技量が底上げされているのだろう。
エレナは考えた。ロットやケイトが勇者になったら今でさえ規格外になりつつある魔法がさらに向上すると勇者たちでさえ凌ぐのではないかと。
「そんなのチートじゃねえか。赤塔の勇者様もそれで強くなったのか?」
「えー?僕は昔から強かったからあんまり実感ないなぁ」
ただそうであっても赤塔の勇者はそれ以上の実力を持っていそうで、
「うわー嫌味っすねー」
と呆れた顔で呟いた。
「こいつは昔からそうなんだ。どうせ自分が一番強いと思っている」
青塔も普段から赤塔の勇者の態度には思うところがあるようでぐちのように零した。
「それは事実だよ。多分他の勇者全員がかかってきても僕は負けないよ」
それに意地を張るわけでもなく当然のことのように赤塔の勇者はそう言うと笑みを作った。これ以上は何を言っても無駄だと青塔の勇者はお手上げのように肩をすくめてみせた。
「さすがに僕らのことを舐め過ぎだよ。ところで後は6人になったようだね」
見ると確かに桃塔の勇者の周りでは40人ほどが回復されて寝かされていた。
「た、たいへんです!」
黄塔の勇者が慌ててやってくる。
「どうした黄塔」
「そ、それが。今脱落された皆さんのほとんどが同じ挑戦者にやられたようです」
その言葉に一同驚いた。確かに競争が激しくなってくると衝突も増えるが、たった一人で40人ほどを一人で倒すのは悪質を通り越して何か思惑を感じさせた。
エレナが淡い光から冒険者が現れるのを見て行った。先ほどから続々と脱落者が戻ってきていたのだ。
「酷く傷ついてんぜ」
今のところ戻ってきたほぼ全員がかなりの怪我を負わされており命からがらと言った感じである。ただそこまで切羽詰まった状況でないのはひとえに桃塔の勇者のおかげと言えるだろう。
「桃塔の勇者様がいなきゃ今頃大惨事だったな」
テスト時に魔力は使い果たしたように言っていた桃塔の勇者だったが、何かあった時のためにきちんと温存していたらしく次々と脱落者を癒していった。
「でも勇者の塔って思った以上に過酷なんすね。黄塔の勇者様の一撃を耐えるような人が入ってもこんなふうにぼろぼろになって帰ってくるんすから」
「ロットとケイトが残ってるのが不思議なくらいだぜ」
あの一撃を耐えうる人達がこのように傷つく姿を想像してそう言わずにはいられなかった。二人も決して弱くはないがかと言ってぶっちぎりに強いわけでもない。赤塔の勇者も暇なのか会話に参加する。
「んーまあ確かに過酷だけど、黄塔ちゃんの一撃を耐えるような人たちなら塔自体はそこまで苦労しないと思うんだけどな」
「そうなんすか?」
経験者とはいえ赤塔の勇者はズレているという認識が出来上がってきているので疑いの目を向けるが、青塔の勇者もやってきて、赤塔の勇者に同意する形で発言した。
「あぁ、本来勇者の塔とは最低限の実力があれば踏破自体は難しくない。勇者に必要なのは実力だけではなく、その気質みたいなものなんだ。それを道中の戦闘や罠、他の候補者の関わりを含めて、塔が判断していく。
そして最後の試練さえ乗り越えられれば勇者になれるからな。もしだめなら塔から強制帰還になるはずだよ。だからこうやって大きく傷つく人が大勢いるのは珍しい」
「へーそうなんだ、さすが青塔君」
赤塔の勇者もその情報に称賛した。本当に突破したのか問いたくなるほどだったが
「赤塔の、君は1人で入って1人で突破した変わり者だから知らなかっただけだよ」
の一言でエレナもパンチも納得した。
「でも最低限の実力って言っても勇者様達は皆さん強いっすよね?」
確かに黄塔の勇者の一撃は凄まじいものだったが、その水準を少なくとも赤塔の勇者や桃塔の勇者は満たしていた。そう考えると青塔もかなりの実力者であることはわかるが、今回の挑戦者の中にそれほどのものがいるようには思えなかった。
「これは天界の加護のおかげだ」
「天界の加護?」
「勇者とは魔族との相反する存在だ。そしてそれに立ち向かう者に与えられる勇者専用の称号というものだな。それを与えられた時点で身体能力や魔力など格段に能力が上がるんだ。それがなければ私もちょっと名のしれた剣士止まりだったよ」
勇者の力の秘密があっさりと話される。つまり人外級の赤塔の勇者の戦闘力も黄塔の勇者の凄まじい魔法も桃塔の勇者の絶大な回復魔法も全て加護によるものの可能性が高い。
そうなると青塔の勇者は剣に関わる技量が底上げされているのだろう。
エレナは考えた。ロットやケイトが勇者になったら今でさえ規格外になりつつある魔法がさらに向上すると勇者たちでさえ凌ぐのではないかと。
「そんなのチートじゃねえか。赤塔の勇者様もそれで強くなったのか?」
「えー?僕は昔から強かったからあんまり実感ないなぁ」
ただそうであっても赤塔の勇者はそれ以上の実力を持っていそうで、
「うわー嫌味っすねー」
と呆れた顔で呟いた。
「こいつは昔からそうなんだ。どうせ自分が一番強いと思っている」
青塔も普段から赤塔の勇者の態度には思うところがあるようでぐちのように零した。
「それは事実だよ。多分他の勇者全員がかかってきても僕は負けないよ」
それに意地を張るわけでもなく当然のことのように赤塔の勇者はそう言うと笑みを作った。これ以上は何を言っても無駄だと青塔の勇者はお手上げのように肩をすくめてみせた。
「さすがに僕らのことを舐め過ぎだよ。ところで後は6人になったようだね」
見ると確かに桃塔の勇者の周りでは40人ほどが回復されて寝かされていた。
「た、たいへんです!」
黄塔の勇者が慌ててやってくる。
「どうした黄塔」
「そ、それが。今脱落された皆さんのほとんどが同じ挑戦者にやられたようです」
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