【2部まで完結!】使い捨てっ子世にはばかる!?~妹が最強の魔王になるかもしれない~

うろたんけ

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第三部 勇者への道

「簡単じゃない」

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「ふふん、なによ、本当に簡単じゃない。次は3本で行くわよ。風刃波!」

 ケイトは頬を綻ばせながら、いとも簡単に3本分の極魔法を放つ。元から少し前に打った魔法は最極魔法でこそなかったものの二、三本分程度の威力はあった。

 しかし魔法の圧縮という面でケイトは苦戦しており、あれ以上の威力が出せずにいた。
 それが今敵のアドバイスによって視界がクリアになったかのように威力を増すことができていたのだった。

 今までの無理矢理圧縮していた感覚とは違い、丁寧に2本、3本と威力を高めていく。この状況下においてケイトは魔法の試し打ちをしていると言っても過言ではない。

「くっ」

 男はこの日初めての回避行動を行った。その表情からは余裕が消えて、目の前にいる人間がまるで皮をかぶった化け物であるかのように見えていた。

「あらさすがに逃げるのね?」

「くっ、貴様何者だ!さっきまで極魔法しか使えなかった雑魚のくせに」

 声を荒げる男にロットは思う。ケイトは魔力こそ少ないけど魔法の才能は勇者様にだって負けないことを。
 そしてケイトもロットは勇者の魔力量にも負けないことを感じていた。

「なるほど、つまりあなたたちを引き離せばいいんですね!」

 意味なく繋いでいると思われた手が、魔力の供給源になっていることに気が付いた男は突破口を見つけたと歯をむき出しに迫ってきた。

金剛裂ダイヤモンドカット!」

 それを拒むようにアベンが攻撃を放つ。ケイトの変貌に魅入られていたがアベンもまた自身の爪の威力を上げるコツをつかんでいた。

「ちっ、あなたの攻撃は効かないと言ってるでしょう」

 そう言いつつも先程よりも威力が高まっていたことを察知して避けている。

「でもさすがに無視ってわけにはいかないみたいだな。ロット、ケイトさん、遠慮なく魔力を練って打ち込んでくれ!」

「時間は私たちで」

「稼ぎますぅ!」

 勢いに乗りクリスとトリィも攻撃を叩き込んでいく。二人の連携は長年共にいることがわかる素晴らしいもので、脅威にこそならないがキチンとした足止めになる。

 そこに傷を負わすほどには威力を高めてきているアベンの一撃が来るので確実に足を止められていた。

「くぅ、羽虫がわさわさと。鬱陶しい!」

 なりふり構えなくなった男は必要以上に魔力を込めて手を薙ぎ払う。アベンの脇腹にヒットした一撃は肋骨を押し上げて数本を小気味よく音を立てて折った。さらにはその威力にアベンの体は宙に浮き吹き飛ばされた。

「がはぁっ」

 壁に激しく打ち付けてうめき声が上がる。

「アベンさぁん!」

「クリス、私たちも気にしている暇はないぞ」

 3人の攻撃バランスは一人が欠けると崩れ落ちるのは早かった。あっという間にクリスとトリィも払いのけるように弾き飛ばされていく。しかしそのおかげでケイトはさらに魔力を練り上げることに成功した。

大風刃波トルネードウェイブ!」

「小賢しい、大氷波!」

 さらに大きく濃くなったケイトの一撃が嵐のように男へ向かう。今度は準備していた男は迎え撃つために最大出力、自身の限界である5本分の威力で放った。

 ぶつかり合う2つの魔法は属性こそ違えど激しくぶつかり一瞬互いの威力が拮抗したがすぐにケイトの魔法が打ち勝った。

「ぐふぁぁ!」

 致命傷にこそならないものの自身の魔法を打ち破ってきたという事実に男は愕然とする。

「ケイトの魔法が打ち勝った!」

 ロットが歓声を上げた。

「な、なぜだ!私は今最大魔力で撃ちましたよ!5本分、私の限界で放ちました」

 完全に取り乱した男は全身を怒りに任せて腕を振り回しながら叫んだ。到底受け入れられない結果に目を疑う。しかし魔法は男がもつ最大出力で放たれており、いとも簡単にケイトが超えただけである。

 そのため体内の魔力量もすでにかなり減っており、表面の無傷に近いとみられる見た目と違い、裏腹に追い詰められていた。

「そんなの簡単よ、私はそれ以上でやってみた、それだけよ」

 ケイトは男の問いに笑顔で答えた。男の目に絶望が映る。
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