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ウチの大事な人

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優也はジーナに支えられるようにしてフラフラの足取りで牢屋を出た…

「ダーリン!」

「優也さん!」

「優也くん…」


優也のやる事を見守ろうと心に決めていた王女達だったがそれでも彼の変わり果てた姿に涙した…


優也はティナに頼んで実家の都合という事で会社に連絡を入れて貰って仕事を休んだ…

マサムネの呼びかけで集まった一同に対してジーナは「ウチが悪かったです…お願いですから殿を…ウチの大事な人を助けて下さい…ううう…」と泣きながら頭を下げた。


ゴルドもジーナの前で深々と頭を下げる…

「ジーナさん…すまん…ワシは嘘をついていたんじゃ…実はジュエラの王は今はワシでは無くて娘のプラティナなんじゃよ…」

「…えっ!それじゃ…」

「そう!ジュエラ王というのは存在せん…現在はジュエラもソーディアもミラールもこの大陸の国は王女が治めておるのじゃ…」


「じゃあバビロナを襲ったのは…」


「うむ…誰かがジュエラ王を語っておったのじゃ…許されない行為じゃな…」


「ウチ…誤解してて…こんなに優しくして下さる皆さんになんて失礼な事を…」

明らかに以前とは違うジーナの態度に皆、驚いた…


優也の体調が回復するようにと特にプラティナ、ナギ、アイの三人は彼を手厚く看護した…

ソーディア王宮の貴賓室のベッドで横になる優也…


「ダーリン…大丈夫?添い寝しましょうか…?」

「優也さん…ソーディアで採れたフルーツですよ…アーンして下さい…」

「優也くん…私なりに考えてサプリを調合してみたの…体力が早く回復するようにね…」


「あ、ありがとう…」



モテモテの優也をジーナは浮かない表情でずっと見つめていた。

「お主はあの中には加わらんのか…?」
実体化したヴァルプルギスが声をかける…


「ウチは…そんな資格ありません…本当にウチの事を大切に想ってくれる人にあんな事をしてしもうたんやから…」


「そうか?あやつは…優也はそんな事、これっぽっちも気にしておらんぞ…むしろお主に少しでも信じてもらえたら飛び上がるほど喜ぶような奴じゃ…

そんな優也の純粋さにわらわも惚れておるのじゃがの…ホッホッホッ…」

ジーナはヴァルプルギスのその言葉を自分自身に言い聞かせて二度頷くと優也のベッドに寄り添った…



ジーナの顔を見た優也は「やあ…」そう言って嬉しそうな笑顔を見せた。


彼女は涙を浮かべながら「殿…」優也をそう呼んで涙を浮かべながら思い切り抱きしめた…



その様子を見て三人の王女達も顔を見合わせて微笑んでいた…




その時、ヴァルプルギスのそばにもう一人…
英霊様が実体化した姿で現れた。


「おひい様…」


「パルテ…!!どうじゃった…?」


「やはりその通りでございまする…

バビロナは…もう…千年以上前に…」
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