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優しい眼差し

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「そしたら…腹が減ったなぁ…タウロス牛のステーキでも食べさせて貰おうかなぁ…?でもウチの分だけやで…アンタは食べたらアカンよ!ええな?」

「…分かった。」



僕はナギさんにお願いしてステーキを運んできてもらった…

「あの…一人前で良いんですか?」

「それで良いんです…ありがとう…」

彼女はステーキを優也の前で美味しそうに食べた。

「ああ、美味しかったわ…じゃあウチは壺に帰るわな…サイナラ~!」

そう言うと彼女は優也と話もせずに壺の中に帰って行ってしまった…



そのうち腹が減ってここから出て行くやろ…アイツはウチに何一つ嫌な事してへんけど…憎っくきジュエラの関係者や…ウチの痛みを思い知れ!



そして夜になってまたジーナはお腹が空いたと言って自分一人だけ食事を摂ってすぐ壺に帰った…


夜も更けた頃、優也はナギさんを呼んで牢屋から出た…

壺の中からその様子を見ていたジーナは笑いながらその表情は何処か悲しげにも見えた。

「ほら…とうとう根を上げよったで!ずっと食事も出来なかったら辛いやろ…ウチの事なんかどうでもええんや…どうでも…」


ところがすぐに優也は帰ってきた…


ナギが涙を浮かべて心配そうに見守る中、フラつく足取りで牢屋へと再び入った…


「な、なんや…トイレか…」


そして…次の日も優也はジーナに食事を届けてもらうだけで自分は一切食事を摂ろうとしない…



ジーナは壺から飛び出して優也に向かって叫んだ…

「ア、アンタ…食事も摂らして貰わんと辛うないんか?

ウチのことなんて気にせんと食べに行ったら良かったん違うの?明日も食べさせて貰えへんかも知れんのやで…何でこんな所に帰って来たん?」

「…だって君は故郷を追われてもっと辛い想いをして来たんでしょう…?」

優也の目に涙が光った。

「そやかてアンタがそんな事する必要が無いやろ…」

優也は首を横に振りながら

「僕は何とかして君から故郷の事を聞き出さないといけないんだ…」

「…何の為に…?」

「そんなの決まってるじゃないか…君のご家族や国の人を一緒に助け出すんだよ…」

「……!」

ジーナは優也の目を見た。


自分の事を本当に心配してくれている眼差し…

それは自分の家族や、優也を初めて見た時に彼に重ね合わせて見た…遠い日に憧れたあの人の瞳と全く変わりは無かった…


思えばこの人が解いてくれた壺の封印は…心に一点の曇りも無い人しか解けない筈…



「殿…ゴメン…ウチ…ウチ…うわぁぁぁぁん…」



ジーナは優也の胸に飛び込んで思い切り泣いた…そしてそのまま泣き疲れた彼女は眠ってしまった…

優也も空腹と疲れでジーナを抱きしめたまま壁にもたれて眠った…



しかし彼はジーナが自分の所に来てくれた事が嬉しくてその寝顔は嬉しそうな笑みを浮かべていた…
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